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ゲーム制作という戦いの中で僕はベホイミを唱え続ける

noteで初めてちゃんとお題に対して書いてみようと思います。

お酒を飲むとね。
昔話をしたくなるんです。

どうも、ゲーム会社のバックオフィス担当、ねじおです。
名前の通り後方支援が私の仕事です。
(ドラクエでいうと、僧侶か遊び人ですw)

今日書いてみる話は私が人事になって1年目に起きた、ゲームプランナーの若い男の子、パンダ君(仮称)とのお話です。

●前提:ゲーム開発は過酷である

そもそもですが。

だいぶかなり非常にマシにはなりましたが、
ゲーム開発は過酷です。

もはや書くまでもないかもしれませんが、
「正解のないたぶん楽しいもの」を一生懸命考えて、限られたリソース(人と予算と納期)の中で形にしていくのですから、そのリソースのどこかに無理は生じます。

当時、家庭用ゲームの開発プロジェクトに入っていたパンダ君は、
転職してきて半年くらい。

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▲パンダ君(20代男性/当時)

前職は有名ゲーム会社でプランナーとして勤務し、3Dアクションパートを若くして担当するなど、
プランナーとしての能力とセンスは光るものがありましたが、体育会系な環境で体を壊して退職。

一般職のアルバイトでリハビリ期間を経て、ねじおの会社にやってきました。

パンダ君は、大学が私と同じだったこともあり、
割とすぐに仲良くなり、現場のことを色々気兼ねなく聞くことができる間柄になりました。

●僕の前提:僕は開発者をあきらめた

私も少しだけですが、ゲーム業界でプランナーの仕事をしていました。

20代後半の時に、ふとしたご縁とキッカケから、
「芸大出たんだから、クリエイティブな仕事を一度はしてみたい!」

と考えて業界に飛び込みました。

まだ若かったですし、Excelと資料作成のスキルは得意だったので、
お手伝いとして潜り込めた感じです。

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▲元営業マンです。

ゲーム開発や運営は難しいですし、「深く考える」という独特の思考が必要になるので最初はとても苦戦しました。

なぜここのステージ構成は4ステージなのか。
ここでこの属性のキャラクターを配置するのには何の意味があるのか。
この苦難を乗り越えることでユーザーに何を与えてどうなってほしいのか。

例えばこんな感じの思考です。

当然、テストを重ねて時間がかかったり、
他の人の意見とぶつかったり、修正になったり、
そもそも大どんでん返しで何もなくなったりしながら仕事をしていました。

そんな仕事をやっていると、すごく楽しくて、
多少夜が遅くなったりとか、土日に出たりとか、あんまりその辺は不満ではなく、●●さん居るかなー?くらいの感覚で土曜日に会社に出てきたりしていました。

(当時まだ残業規制とか緩かったです。今は厳密に管理されている会社さんが多いのでやりたくても残業出来ません。)

そんな感じで2年くらい?時はあっという間に過ぎ。
30歳の誕生日が近づいてきたある日。

「このままゲーム作るの?」とふと考えました。

周囲のすごい方々を見ていて、自分とのレベル差を感じたこと、
その差を埋めるだけの努力を仕事が終わってから出来るのかということ、
30歳を超えて落ちていく体力の中でこれが出来るのかということ、
何より自分にはデザインもプログラムも実際に作る能力がないという無力感。
こんなことをもんもんと考えて、

無理かな。

とねじおは判断しました。

●そんな僕にできること

前置きが長くなりましたが。

ある日、パンダ君が会社に来ていません。

遅刻の連絡もありません。
すぐに電話をしますが、留守電。

パンダ君は一人暮らしなので、家の電話はありません。

さて。

行くか。

割と即断即決で、ご自宅訪問です。
ねじおの脳内は万が一ぶっ倒れていたら取り返しがつかないということだけ。寝坊ならオッケーです。

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▲ご家庭訪問

ピンポン。

出ません。

管理人さんに開けてもらおうにも、常駐しないタイプのアパート。
オートロックなので、パンダ君の住んでいる階にも入れません。

仕方ないのでポストに手紙を書いて入れ、
アパートの管理会社に連絡、空けてもらえないかと相談することに。

雇用主の証明が居るとのことなので、
一度会社に戻ろうかとしたところで鳴る携帯。

パンダ君。

「すいません…今起きました…」

よかった。

とりあえず顔洗って外に出れるようになったら出ておいでと連絡。

改めて話を聞くと、仕事でバタバタしていて寝坊したとのこと。
気を付けます!すいません!というので、そっかそっかと話して明日から改めてがんばれーと話す。

そこから2週間で2回の無断欠勤と2回の遅刻。

さすがに、いや、どうしたのと面談することに。

●これが僕の戦い

パンダ君は話しにくそうでしたが、
誰にも言わないし、仕事をどうこうするつもりも権利もない、
ただ、後輩が困っているなら聞いてあげたいだけだと話すと色々話をしてくれました。

仕事が立て込んで業務量とチェックする項目が多くなってきたら余裕がなくなった。
そんな中でミスをしてしまい、周りの方に迷惑をかけた。
前職でそんな時に激しく叱責されたトラウマがよみがえった。

簡単に言うとそんな話。

そっかーと聞いて、ファミレスでも行くかとお肉を奢って、
最後にどうしたい?と聞くと、パンダ君はがんばりますとのこと。

強いなぁ。

その判断は僕には出来なかったこと。

しんどくなったら休んだらいい。
ただ、連絡はしてほしいし、前日に危ないなと思ったらショートメールでもチャットででも入れておいてくれとこの点だけは約束。

しんどくなった時にそれでも立ち向かおうとする子を止めることも私の仕事なのですが、応援してあげて壁を乗り越える手伝いをするのも私の仕事です。

これが「僕の必殺 いっぱいのMEET(肉)」
略してベホイミ(B・H・I・M)です。

名称苦しい・・・。
まぁベホイミは後付けですが、この判断はいつも迷います。

能力不足だったり、精神的な何かだったり、持病だったり、
色々な要因があってしんどくなったりしていますし、
頑張りたいと思うからこそしんどくなるので。

●その後

なお、パンダ君はプロジェクトをやりきる直前。

マスターアップ(ゲームが完成すること)の2週間前に、体調を崩して病院に行ったところ、糖尿病が発覚。

強制的にドクターストップとなりました。

プロジェクト中、3回はベホイミをかけたのですが、
ねじおのベホイミは所詮HPを70~80程度回復させる程度の効果しかないので、糖尿病には効かなかったです。

パンダ君はその後、療養が必要なことと、
一人暮らしで糖尿病の心配もあるので、地元に帰ることになり、ねじおの会社を退職。

今でも彼が最後に担当したゲーム(無事に発売されました!)を見るたびに、「あいつ…人の金だと思って500gとか頼んで食ってたなぁ…」というやたらでかい肉の思い出が浮かびます。

書きながら…これドラマですかね?

あんまりシナリオとかドラマとかよくわかってないので、
ただ長いだけの文章になってるのではないか疑惑で、公開するの止めたほうがいいのでは…とか思ってきました。

不評そうだったらこっそり消します。。。


ちなみに、パンダ君は今は地元で普通の仕事をしていますが、
趣味だったシナリオ制作で同人誌を出しているので、新刊が出るときは連絡をくれます(笑)

#創作にドラマあり

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過去記事はそれぞれマガジンでまとめています、宜しければご覧ください♪

人事的な記事⇒https://note.com/negikojyo/m/mb13243fd1754
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ジュース奢ってくれるんですか!? え!?コーヒーでもいいんですか!? 今から超がんばります。