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【一人読み】桜

性別不問 人称変更可 語尾変更可
分岐ありますのでご確認お願い致します。

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公園の桜も散り始めた頃。
俺はいつもと変わらないベンチに座り弁当を食べていた。
もう結婚適齢期も過ぎ。
友人や同僚はどんどん結婚していく。
それなのに俺は結婚どころか相手もいない。
俺の幸せって何だろうなと思いながら。
行きつけの弁当屋で買った日替わり弁当に箸を伸ばしていく。
弁当も食べ終わりぼーっと景色を眺めていたら。
遠くから何となく見覚えがある女性が近づいてくる。
「佐々木君?」
俺の名前を呼んだ女性の顔を見た瞬間。
俺は立ち上がっていた。
「えっ!もしかして三浦さん?」
彼女は照れくさそうに頷いてくれた。
同僚が俺はいつもこの公園で弁当を食べていると教えてくれたらしい。
何となくぎこちない雰囲気の中で。
俺たちはベンチに座りお互いの近況について話していた。
彼女は大学を卒業後地元の企業に就職して。
東京にはたまに仕事で来るらしい。
俺は大学を卒業してからそのまま東京で就職した。

休憩時間も終わりに近づいてきた頃。
僕は彼女に「また会えますか?」と聞いていた。
彼女は優しく。
「私もまた佐々木君に会いたいです」と微笑んでくれた。
手を振りながら離れていく彼女の姿を見ているのが辛くて。
俺は桜を見ながら「君の事が好きでした」と呟いていた。
きっと届いていないと思っていたけど…。
「私も好きだったよ」と風に乗って聞こえた気がした。
驚いて彼女を見ると少し照れくさそう
「私も佐々木君の事が好きだったよ」と笑っていた。

風に乗って舞い降りた桜の花が一つ俺の肩に落ちた。

☆それは幸せの便りのような気がしたんだ。
俺は幼き日の思いが溢れたのか君に叫んでいた。
「俺は君の事が大好きだ!!」
「ありがとう。またここで」
彼女は嬉しそうに公園から離れていった。

★それは慰めの花のように感じた。
彼女はもう既婚者だから…。
「幸せになれよ…」
「…ありがとう」
ここでまた彼女に会う事は無いだろうと俺は感じていた。
お互いの想いを知ってしまったのだから。

おわり

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手に取って頂きありがとうございます。
分岐部分がありますのでよろしくお願いいたします。
拙い文字たちですが可愛がってくださると嬉しいです。

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