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Ep.11 パンツ一丁で早朝の街を駆ける女


やっと…この日の話が書ける…
この日の話が書きたくてnote始めたようなもんだよ…
途中で切ろうか迷うくらい鬼長くなったけどよかったら読んでいただけるとうれしいです。


いろいろあって、やっぱりちゃんと面と向かって「お別れしたいです」と伝えようと決心した。

性格が合わないかというと、たぶんそんなことはない。
もちろん、めんどくせえなあと思うポイントはいくつかあるが、何気なく話している分には楽しい。
一緒のベッドで眠れる(わたしにとってはこれ結構なハードル)。

ただ、どうしても無理な点があった。

声優やめろ
事務所やめろ

って言われること。

「ちょっと憧れて始めただけだろ」
「その年齢で、その実力で未練があるのがおかしい」
「早く正社員で働けよって思ってる」
「それだけ人数がいる事務所で、お前に仕事回ってくるわけがない」
「万が一まわってきたとしても、普段の仕事の方行かせるけどね。だってどうせ事務所はすぐクビになるんだから」

「で、いつ事務所辞めるの?」

度々出てくるこんな言葉にうんざりしていた。
それに加えて、先日の豆乳事件。

まあ…もう… 無理ですよね…

逆に(?)、こんなこと思いながら一緒にいるのも申し訳ない。
結婚したいなら他の人を早く探してくれっていうのはほんとにほんと。


忘れもしない8月26日。

この日は彼が朝からスタッフさんたちと打ち合わせ。
わたしもマネージャーさんとごはん行くため外出。

夕方ごろ、彼から「終わった」の連絡が。

「お疲れのところ申し訳ないのだけど、戻ったら先にちょっとお話したいです」

と送ってみる。
内心ドッ…キドキ。
なんてったってホラ、彼、瞬間湯沸かし器だから。


するとすぐさま電話がかかってくる。


ええええ電話で話す心づもりしてなかったってえええ…ちょっとまってまってむりむりむりむりむり

…と思いながら何度かスルー。

しかし電話は鳴りやまない。

しゃーないので出る。

「もしもし?話って何?」
意外と穏やかな声だった。

『いや…あの…帰ったら話すから…』
「なんの話なの?気になって何もできないんだけど」
『いや…だから…』
「なに?結婚の話?」

おお・・・ばれておる・・・
まあ、あらたまって話すことなんてそれくらいしかないよな…

『…やっぱり今すぐ結婚とか考えられなくて、でもこのまま時間奪いつづけるのも申し訳ないから、お別れも含めて話したいなって…』

「…結婚したくないってこと?」

『…そう、だね』

「…………じゃあ俺もいやだね



あれ?解決した?話終わった?

…なんてこともなく、変な空気のままいったん終わって続きの話するためにとりあえず彼の家に向かう。

気が重い…逃げ出したい…



家について、インターホンを鳴らす。
いつもは鳴らしたら開けてくれるけど、中の方から「開いてる」と聞こえるだけ。

…中には腕組みしてソファーに腰掛ける彼。

目が…すごい怒ってるよお~\(^o^)/

無言で促されて彼の向かいに座る。



しばし沈黙。



「・・・で?」

言え!いうんだわたし!!
もうはっきり言うしかない!
この間みたいにごちゃごちゃしたままずるずる続けるわけにいかないんだから!
言え!!!

『…やっぱり、今すぐ結婚は考えられません。このままわたしが席を占領してるのも申し訳ないから、結婚できる人を他に探してほしいです。』

↑こういう言い分って、下手に出てるようでものすごく自分勝手ってよく揉めてるよね。笑
たしかに、一方的で非常識な言い分だとは思う。
でも、無理なものは無理だしそもそも声優やめろって言われる時点で無理なんだ。


…再度、しばし沈黙。


俺が何したの?


あ、それはしんどい。
それに答えるためにはまた強い言葉を言わなきゃいけないじゃないか。
頼むから察してくれ。頼むから。

わたしの願いは届かず、返事を待つ彼。


もうこれで終わりにするって決めてきたんだから。
がんばれわたし。全部言ってやれ。

『…何したとかそういうのじゃなくて、声優やめろ、とか、今仕事もしてないしお金もなくなってきて余裕もなくなってきて、そんな中で結婚なんて考えられない。送り迎えしたり家事したりするだけで1日が終わって、今は虚無感しかない。そういう、自分に黙って従うかわいい子が必要なら他を探してほしい』

心臓バクバクしてて何言ったかあんまりはっきり覚えてないけど、そんな感じのこと言った。
そうしたら案の定、帰ってくる言葉の嵐。


「まだ声優とか言ってんの?事務所に大事にされてないの気づいてないの?養分として取られただけって気付いてないの?」
「自分の実力がどれくらいか分かってないの?その時点で向いてないよ」
「そもそもお前からもらってくださいって言ったから始まったことだろ。自分で始めたゲームを自分から終わらせていい世界があるわけ?ないよね?」
「お前がもらってくださいって言うから優しくしてやったのに。じゃなかったらお前みたいなブス相手にするわけねーだろ。こんなことになるならもっとぞんざいに扱って捨てればよかった」


瞬間湯沸かし器通り越して暴走機関車になりました。


「俺、いまKとMさんのことしか考えてないから」

K:5年間同棲していた元カノ
Mさん:彼が推してるモデルさん(今まで出会った人の中で唯一結婚したいと思った人、らしい)(あれ?元カノは…?)

「やっぱりKの方がよかったなー!あいつはそんなこと言わないし!料理だって掃除だって文句ひとつ言わずにやってくれたし!あいつの方がよかったわ」


そう言われてわたしの心が変わるわけもなく、
ごめんなさい、もう無理なんです
というスタンスを変えずにいたら

攻め方を変えてきた。

「…俺、りとちゃんのこと大好きなのになー…毎日一緒にごはん食べれるだけで幸せなのになー…」

…こういう急激な変化にももううんざり。
演技だって分かってるからね!

これでもわたしが
ごめんなさい、もう無理なんです
を続けていたら

「…わかった。愛がないのはもう十分わかった。」

「もう、終わりにしよう」


ここまでの攻防、5時間ほど。
やっと、終わる…

って、ホッとするじゃん…?


ついに

大魔王が覚醒した。



ここからはどうやって壊滅していくかを考える



・・・はにゃ?


お前が俺に与えた精神的ダメージを清算していく。

これも俺が買ったやつだろ!脱げよ!

つって、その時来ていたTシャツとスカートを脱がされる。


わお\(^o^)/

ドラマでも最近見ないやつ\(^o^)/

(笑い話ですよ~~~~笑ってね~~~!!)


数分後、
「汚くて見てられないから」ってTシャツだけ返してもらいました。笑


「お前の親族全員に土下座させるわ」
「実家の住所書け」
「お前の免許証の写真撮って俺に送れ」

「今から俺が言うこと書け」

【私、りと(本名フルネーム)は、彼(本名フルネーム)に多大な精神的被害を与えたため、下記のことを約束します。
1. 声優、事務所を辞めます
2. Twitterアカウントを削除します
3. 薬剤師免許を返納します
4. 
(なんだっけ…わすれちゃった…)
5. 坊主にします
なお、この文章は脅迫されて書いたものではありません。
2021年8月26日 りと】


これ書きながらわたしが考えていたことは、

『これフリクションペンやけど有効なんかなあ…』

でした。



っていうのは冗談で(ほんまにちょっと思ったけど)。
さすがにやばい状況になったな、って。


もう壊滅するしかないっていうのは、わたしに対してもそうだけど自分の周りも全て壊すって言いだして。
筋トレで使う長い鉄の棒?みたいなのを振り回して周りにあったもの壊したりするし。
殴りはしなかったけどその棒をわたしの喉元につきつけてきたし。
お前が俺を殺すんだから先にネコ殺せよ!ってネコ寄越してきたり。


「殴ったらお前の正当防衛が認められるから手は出さない」
とは言うものの、目の前で棒振り回されたら普通に怖い。

落ち着いて、逃げるタイミング探そう、と。

今は、彼が玄関側にいるから無理。
もうちょっと様子見よう。
冷静に冷静に。



「じゃあまず…坊主からね


かの有名な元アイドルの坊主謝罪のオマージュらしい。

大丈夫…坊主なんかどうにでもなる…ここは従おう…
と思って洗面台へ移動。

わたしがハサミとビニールが必要だと訴えると
「俺が用意すんの?自分でやれよ」
と言うので取りに行く。

その時、彼が一瞬パソコンのメールチェックする。

彼と、少し距離ができた。



あれ・・・
これ、

今じゃない・・・・・・??????



ダーーーーーーーーーーッシュ!!!!!!!!!!!



迷うな、迷ったら失敗する…!
とりあえず走れ!!!!!!


通り道にあったカバンとスマホだけ拾って、
ダッシュ!!!!!

スカート履いてるヒマはない!!!
走れえええええええええええええええ



もちろんすぐ気づいて追いかけてくる彼。
でもメールチェックしてて不意をつかれたからか差はけっこうある。

彼の家は5階。
階段を死にもの狂いで降りていく。


この時のわたしの服装、
Tシャツ、パンツ、靴下。


靴下滑るうううぅ…!
うしろから彼が大ジャンプして階段駆け下りてくる音が聞こえるううう

おい!!りと!!!りと!!!!
なんでこんなことするんだよ!!!!!

めっちゃ叫ばれてるけど振り向いたら負け!!!
走れ!!!!!!!



階段降りて、外に出て、アスファルトの地面を全力疾走!

もう一度言おう。
この時のわたしの服装、
Tシャツ、パンツ、靴下。


3分ほど走ったら多分交番に行けるから、とりあえず交番目指そう…!もう日が昇ってて完全に明るいけどしゃーない!パンツ履いてるから捕まらんやろ!

と思って走ってると、
うしろから、


りと!!!!たすけて!!!!!!!!!


俺、怪我した!!!!!!こっち見て!!!!!!


たすけて!!!!!!!!!!





…ちらっと、
うしろを見る。見てしまった。


そこには、
おそらくアスファルトで転んだであろう、
顔面と上半身血まみれの 彼。


心臓がヒュッ…となって、

思わず、立ち止まってしまいました。



それを見て、
ヨロヨロと近づいてくる彼。

・・・わたしももう、走る気になれない。



「・・・とりあえず、戻って」


そう言われるけど、ここで戻っちゃいけないことくらい混乱した頭でもわかる。
なんとか離れなきゃいけない。
でも、どうやって…?

『と、とりあえず救急車呼ぼう・・・』
「…トラブルになるだけだから、いい」


どうしようどうしよう、って思ってると

「大丈夫ですかあ・・・・?」

わんこの散歩中マダムに話しかけられる。


現在、AM7:00
爽やかな青空の下で、
Tシャツ、パンツ、靴下の女と
裸足で顔面上半身血まみれの男。


そのマダムの声で、とんでもない状況だと認知したわたし。
とりあえず彼の部屋に戻る。


全身が心臓になったんじゃないかと思うほどの鼓動。


会話がないまま、部屋に入る。

途端、玄関で彼が泣き崩れる。



「ひどいよ…ひどいよ…毎日必死に頑張ってるのに、なんでこんなことするの…俺が何したっていうんだよ…ひどいよ…」


とんでもないことになってしまった。
これから、どうしたらいいんだろうか…


今の混乱した頭で考えても仕方ない。
とりあえず、今は考えるのやめよう。


傷の手当をして、
「とにかく休まないと…」
と言うので寝る準備をする。

手当中、彼がつぶやく。
「どうやって許したらいいのか分からないよ…」
許す…?
あれ?
なんでこんなことになったんだっけ…?


一緒にベッドに入るけど、当然眠れるわけもなく。

心臓バクバクしたまま、どうしようどうしよう…
と思いながら、時間が過ぎるのを待つ。

目バッキバキのわたしを見て
「・・・寝なよ。」
っていう彼の穏やかな声にさらなる恐怖を感じながら。





笑い話にしたかったのに\(^o^)/

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