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卒業

 卒業シーズンである。慣れ親しんだ学び舎、楽しかった友人達との別れ。そんなイメージだけれど、私の卒業は全くしらけたものだった。

 そもそも中高一貫校で、中学校の卒業式ほど白々しいものはない。翌月にはまた同じ面々が会うわけだから。もっとも高校からの入学組もいて、そこだけ新鮮だった。

 中学校から高校に上がる時には、制服が少し変わる。ブラウスの丸襟が角襟になる、リボンとブレザーの刺繍の色が変わる、ジャンパースカートの襟の形が変わるなど、微妙な変化だった。

 高校生になるという実感もなく、卒業式の時には「大学受験の対策を本格的にせよ」と言われたのをうっすら覚えている。進学校はどこに行っても勉強なんですよね。

 中高一貫といえど一応中学校の卒業アルバムもあって、私は寄せ書きに「猫足をいぢめるのはやめませう♡」って書いてた(意味不明)。まぁ皆んな似たようなくだらないこと書いてたけど。

 高校に至っては寄せ書き用の色紙すら回って来ず、私らはクラスでどうでもいい人扱いされていたのを知った。中高一貫の悪いところは、中学生気分を引きずったまま高校生になることだ。変なイジメや嫌がらせも卒業できない輩がいるもんだ。

 ちなみに母の卒業アルバムを見てみると、中学生の時には寄せ書きに「友情もあるでヨ」、高校の時には「ハヤシもあるでよう」と書いている。当時母の頭の中では何が流行っていたのか。あんまり恥ずかしいこと書くと、後々まで笑われますよ。

 私はこの悪しき生活習慣から卒業したい。あとはきちんと仕事に通えるように、体調を整えたい。今寄せ書きが回って来たら何て書くだろうか。

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