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高知の八彩帖(ヤイロチョウ)59・「ルーズソックス」

 かつてとある会社のサイトに連載していたショートエッセイです。普段は高知のあれこれを書くのですが、時々私の思い出なども書いています。

 今回のテーマは「ルーズソックス」。はい、ワタクシはバリバリ「コギャル世代」でした。けれどコギャルはテレビで見る憧れの世界。とても羨ましかったのを覚えています。そんなお話をどうぞ。

 別にイカガワシイ話を書くつもりはないが、何となく妄想をかき立てられる単語「ルーズソックス」。最近女子高生の間で、再びルーズソックスが流行っているらしい。半ばコスプレ感覚でインスタなんかにあげるようだ。

 ちょうど今の高校生の母親世代に流行していたコンテンツが、その子ども世代には新鮮に映るとか。「昭和レトロ」ならぬ「平成レトロ」である。ルーズソックス…うーん、私の高校時代ドンピシャじゃないか!!

 高知県内で一番校則が厳しいと言われる学校に通っていた私。ちなみに市内中心部の学校ではない(特定できるな・滝汗)。

 当時都会で大の「女子高生ブーム」が起きているのはテレビなどで知っていた。ミニスカ&ルーズソックス、茶髪に細眉。手にはPHSを持ち、渋谷を闊歩する「コギャル」が、なんともうらやましかった。

 しかし自分は田舎の地味な高校生。制服のズロズロしたプリーツスカートはひざ小僧が見えたらアウト。ミニスカにするなんてとんでもない。

 けれど夏は暑くてたまらなかったから私なりに工夫し、ウエストを最大限緩めてサスペンダーで吊っていた(←校則違反ですよ)。当然憧れのルーズソックスも禁止。仕方なく長めの靴下を少したるませて履いていた(逆にダサい)。

 母曰く、あの頃はルーズソックスしか売っていなくて、普通の靴下を探すのに苦労したとのこと。はぁ、一度でいいからスミスのスーパールーズを履いてみたかったなあ(遠い目)。

 高校生の頃は自分をいかに「イケてる」ように見せるかばかりを気にしていた。些細なことだけれど、スカート丈のほんの数cmの違いや靴下の微妙なたるませ方が、クラスでの自分の立ち位置を決めた。

 声高におしゃべりしながらトイレで化粧をする派手な同級生の隣で、隠れるようにリップクリームを塗っていたあの頃の私。本当は私も、あの子たちの仲間に入りたかった…。

 制服姿の女子高生を見ると、苦しく切ないあの頃の記憶がよみがえってくる。今なら思える。私にルーズソックスは似合わないと。
 

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