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中国によるイジメは世界と自身に対する危険になりつつある

2021年10月19日

トーマス・L・フリードマン(オピニオン・コラムニスト)

 1970年代後半に鄧小平が中国を世界に開放して以来、西側諸国の多くの人々は彼の国の成功を望んでいた。なぜなら、我々は中国の体制が残忍で権威主義的な政治構造であるにもかかわらず、より開かれた経済と社会への道を歩んでいると考えていたからだ。しかし残念ながら、習近平国家主席は中国の将来の発展を阻害し、世界に対する危険をもたらす可能性のある方法で、解放への方向性を覆そうとしている。

 周氏が現在行っていることの全ては、中国国内のビジネスルールに対する中国や海外の企業家の信頼を毀損していると同時に、香港を飲み込んだ中国が、すぐには台湾に手を出さないだろうと予測していた海外からの信頼を損ねることである。ともすれば、それがアメリカとの直接衝突の引き金になるかもしれない。

 周氏が主導する強硬戦略が成功すると、太平洋地域における全ての自由主義国家や経済に危険が及ぶことになる。だが、だからと言って、私は中国が失敗したり分裂したりすることも望んではいない。なぜなら、14億人もの人々が暮らすこの国が不安定化したならば、呼吸するための空気が汚染され、靴の値段や家のローンの金利など、あらゆるものに影響が及ぶからだ。これは真にジレンマと言えよう。しかし、残念ながら、周氏は自身の最近の行動が、中国の内外にどれほどの不確実性をもたらしているのかを理解していないと、私は考えている。

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