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〔詩〕修羅

許して終わって忘れたはずの
煮えたぎるような憤怒を
突如として呼び戻す生温い夜風

私の底の修羅が目を覚まし
動かない闇を睨みつける
その奥に
許し難い過去を映すかのように

寛大な振りをしても
優しさを装っても
生まれた修羅は消えはしない
ただ眠るだけ

目覚めた修羅に慄きながら
震える手でグラスを持ち
痛いほどの冷水を一気に流し込む
主はお前ではなく私だと
思い知らせておくために

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眠れない夜に

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