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『ポーの一族』の新章――『青のパンドラ』――についてちょっと

そろそろまたやるはずだよなあ、と思っていたら、
"再開"『ポーの一族』の新しい章が<flowers>の今月号から始まったが、
それを知ったのは、先月号の予告でではなくって(ふだん、<flowers>を買ってるわけじゃないから)、
先週の日曜日の、朝日新聞の全5段「カラー」広告。

きっと昔より新聞の広告料は下がっているんだろうけれど、
普通、少女まんがの宣伝でこんなことする……?
話題だけで売りたいのが見え見え、しかも、「アラン復活……!?」ってアオリはなに?
さっそく買って読んでみたけど、復活してなかった。女性週刊誌のやり口のようだった。

で、肝心の作品自体だけれど、
線が太くなったのは作者の年齢的にしかたがないとはいえ、なんかせりふでの説明が多過ぎる。
そして、登場人物がすぐ興奮して、ぎゃあぎゃあ騒ぐのでうるさい。
いちいちわめかないでほしい、特に18から19枚目の見開きがひどい。
絵がごちゃごちゃで見づらいし、わけのわからないことで互いにののしり合っていて、読んでいても全然心に訴えてくるものがない。
そもそも、ページの下に注釈をつけてまでの世界史的な説明は、
このフィクションに対してはいらないと思うんだが……(読んでない)。

肋骨の浮き上がったエドガーの姿もグロテスクでいやだった。
かじかんだようすでがに股になって、庭の隅に突っ立っていたエドガーも見たくなかったけれど。

人間関係(あ、バンパネラ関係か)や事情が込み入っていて、
話の筋を知っている人にさえ複雑に感じられるので、
これは話題だけで読んでみようとした人にはとても読み続けられないと思う。
すなわち、広告費はその割りに見合わないと思った。

最後のページの大老(キング)ポーの登場の仕方だって、謎めかせて出てきたところで、
これがキングポーだってことは、『ポーの一族』を読んできた人には誰にでもわかるし、
その5ページ前からもわかるし、あまり次の回に引き込む役目は果たしていないと思うんだが。

推測するに、アランはこの章ではよみがえらずに、さらにまた次の章まで持ち越しではないかという気がする。

これだって発表当時に現代だった(作品中の時代と、現代とをほぼ同調させて描いた)『ユニコーン』の5年越しのようやくの続きなわけでしょ。
また、舞台は現代とはずれてきてしまっているし、いつまでもたせんだろうか。

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