見出し画像

アランはよみがえったが……ポーの一族『青のパンドラ』小休止

クライマックスシーンでは、荒々しく見苦しい闘いが5、6ページにもわたってくり広げられ、
自分のことしか考えていない人たちばかりが出てくる物語の割りには、
バリーがなぜ、エドガーとアルゴスとの闘いで、
エドガーに加勢するのかわからなかったし
(『ユニコーン』の章でアランを口説いていたように、バリーはほんとにアランが好きなわけ?)、
ようやく手にした大事な「炎の剣」で敵に立ち向かうというのもいささか不自然だったし
(万一破損したら、お兄さんを助けられなくなって困るはず)、
結局、その剣を次に握りしめたエドガーがアルゴスに向かっていって、
アルゴスがキョロキョロと左右を見回す、誰が見ても不要とわかるコマを経て、
剣によって壺がたたき壊され、
そこから出てきた「神」がアランにとりついて……と、
どうすんだ、こんなに話を複雑にして。
なんか物語が変な方向に進んでしまったんですけど。

ある点では、この章は、ポーの一族の出自がわかるのと同時に、
その始祖となる大老(キング)ポーにスポットが当たる回かと思っていたのだけれど、
話がさらに込み入ってしまって、
かつその続きは何月号とも明確にされず、あいまいにただ「来春」と。

来春って……? 7月号ぐらい(5月発売)?

しかも、お決まりの「落ち着け」のせりふが今回早くも2ページ目から!

前回、「落ち着け」とキングポーに言われたファルカ自身が、
毎度の役割交代で今度はエドガーに向かって言うことになり、
そして、どうしてエドガーがそう言われたのかというと、
バリーに対して
「いつか…この借りは返してやる 覚えていろよ!」
とぶるぶる震えながら言ったから。

それ、チンピラの吐くせりふなんだけど……。

そして、口を聞くことがないと言われていたベラの孫、オリオンが初めて発した言葉が
「死ね!」
それも、親とも言える関係のアルゴスに向かって。

お願いだから、こんなひどい言葉を登場人物たちに吐かせないでほしい。
怒りに駆られてにしても、
せめて、「たわけ!」とか「ばかやろう!」じゃすまなかったの?
「死ね」って、人に向かって言うには最大の嫌悪や悪意を突きつける言葉なんだけど。
これはいまだに作者の心の中に渦巻いている、親に対する心情の表れなのだろうか(と、思ってしまう)。

というわけで、もう読んでいて頭が痛くなるというよりも、ただ作品との距離が増えただけだった。

来春、この物語がどのようにまた再開するのかというと、
それはもうまじめに予想する気にもなれないが、
一つ考えられることとして、不倫カップルの片割れのカミラがアルゴスによって本物の吸血鬼となり、
病弱な娘を持つ不倫相手を、娘に永遠の命を与えてやる、ということを餌に、吸血鬼仲間に誘い込む、
そしてまた新たなバンパネラファミリーが生まれる……
とかいうことぐらいなら思いつくんだが、
話の核となるのは、神に乗っ取られたアランのはずだよね?

いや~、長引かせるなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?