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アレクサンダー=アーノルドのMF起用はどうなの?

適材適所




ジョークだと思ってたらマジやったのか。

というのが、トレント・アレクサンダー=アーノルドのMFコンバート。常にと言われてきたTAAの右SBにおける守備問題なんですが、右足のキック精度の良さを中盤で活かしてみないか?とクロップからのお告げでやったところ意外とよかった。「じゃあ来シーズンから検討してみようか」と思っていた矢先に、イングランド代表のサウスゲートが「リバポで中盤やったの?じゃあやってみよ」とお試し程度でしかやっていないTAAの中盤をマジになってやったわけです。しかも背番号10番を与えてまでの本気っぷり。いや、他に10番適任者いるだろ!

ジョークじゃなかった




MF、トレント・アレクサンダー=アーノルド

■スリーライオンズの右SB事情

TAAを本気でMF起用しているイングランド代表ですが、本業の右SBはどうなんだと。

そういえばTAAは世界最高峰の右SBですが、あまりイングランド代表のイメージはないですよね。その右SBなんですが、今や選手層が厚すぎるイングランドの中でも1番厚いです。

今のレギュラーはニューカッスルのキーラン・トリッピアー。

セットプレー蹴れるという点ではTAAと同じですけど、守備に関してはトリッピアーの方が上ですね。

あとはカタールワールドカップでレギュラーだったシティのカイル・ウォーカー。

ウォーカーは日に日に欠点が無くなっているSBですよね。攻守にビルドアップでも能力は高い。


そして気付いた時には下の世代からも突き上げが来ています。チェルシーで早くもキャプテンマークを巻きだしたリース・ジェームズ。

ケガでカタール行きは逃したものの、能力は折り紙付き。

たった1つのポジションだけでえぐ過ぎる層。誰がピッチに出ても文句言わないわ!


そのなかでTAAは攻撃におけるステータスはこの中でもNO.1だと思います。僅差だと思うけど。ですが守備に関しては断トツで下だと思う。比べる相手が相手なんで「大学行くなら慶応か早稲田か」のレベルの話なんですが、TAAとウォーカーを比べてどっち使った方が安心感あるかと聞かれれば、大事なゲームならよりウォーカー選ぶよね。と。短期決戦なら同じ特徴持っていれば守備力あるトリッピアー使うよね。と。



■ボランチ起用におけるメリットとは?

それでもTAAを使いたいというサウスゲートからすれば、クロップが提示してくれた「ボランチ起用」という案は目から鱗だったでしょう。TAAをコンバートしてまでボランチ不足なのかと言われると全くそうは思わないですけどね。

TAAをボランチで使う最大のメリットは展開力。レンジ関係なく制度のいいボールを前線に配給できる。

このロングレンジのフィードを足元にピタッと合わせられるのはTAAならではの魅力だと思う。


あとは、、、

戦術次第だと思うんですけど、TAAをコンバートしてまでボランチで使うメリットはそんなに分からなかった。相手ディフェンス揃っているのに飛び出して、そんなにダイナミズムを生んでいるわけでもなかった。



■スリーライオンズの狙い

今のイングランド代表がTAAをわざわざコンバートしなくてはならないほどのボランチ不足かというとそうではないです。サウジに移籍したヘンダーソンは引き続き招集されているし、ベンチにはイングランドNO.1ボランチではないんでしょうかデクラン・ライスもいる。そして今回のインターナショナルマッチには招集外でしたがジュード・ベリンガムという世界最強のbox to boxもいる。コンバートするならリコ・ルイスという新栄も、、、あっ!!リコ・ルイスいたやんけ!!TAAよりボランチ性能あるぞ!!


サウスゲートがTAAをコンバートしてまでMF起用する戦術的理由。まずは右ハーフスペース占拠。

サウスゲートがTAAに求めている役目は偽SBの延長線。右SBのトリッピアーが背後から完全バックアップしているので、守備のことはほぼ考えなくてもいい。右ハーフスペースを占拠することにおいてウイングが解放される。特にマルタ戦では中央エリアでのプレーを得意とするフォーデンが右アウトだったので、フォーデンが内側に入る→TAAが大外に出るのバランスの取れた攻撃ができる。

MF起用でもTAAがやっていることのほとんどはSBで求められるプレーで、守備に関してはSBの位置に戻る必要はないので、それほどの負担はない。右ハーフスペースさえ支配してくれたらあとは自由にやってくれみたいな。


あとはこの逆で、右ペナ角を取ってクロスを上げる。これはフォーデンが右大外で相手を引っ張ってトリッピアーで起点。TAAに右ハーフスペースでプレーできる環境を整える。

これは本業でも同じくTAAの生きる展開ですね。



■サウスゲートの本気度

実質、中盤スタートのSBという使い方のTAAなんですが、これをEURO本大会でやるとは思えないんだよなぁ。クロップが「オプションとして計算出来たらデカいよねぇ~」程度の本気度のシステムにサウスゲートが本気で取り組んでチームビルディングしているので、今回はベリンガムがいなかったからというのはあるでしょうけど、イングランド代表としては今後もあり得る選手起用ですね。

だけど「本大会でやるとは思えない」と考えられる根拠に、わざわざコンバートしてまでのメリットを感じなかったから。展開力に関してはチーム1ですけど、MFとしてのTAAは行方不明になることが多く、やっぱSBの選手でしたねというのが見た感想。MFとしての使い方はもちろんちゃんとあるんでしょうけどね。


リバプールとは違って右SB事情は贅沢な悩みを抱えるイングランド代表においては勿体ないといえば勿体ないんですが、どうするんでしょう?




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