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前を向くこと~対称性から考える~

 ねこっちです。

 まだ体調が安定しませんが、今読んでいる本の一つに『群論入門』(小野寺嘉孝 著、裳華房)というものがあります。この本の第1章「対称性と群」を読んで思ったことを書きます。


対称性

 円や正方形のような図形は、「対称性が高い図形」として知られています。では、この「対称性」とはどのような意味でしょうか。

 例えば、円は中心を軸に何度回しても、形が変わりません。正方形の場合はというと、「□」の状態から45度回転させると「◇」になりますが、さらにもう45度回転させると「□」に戻り、はじめと変わらない形になります。

 つまり、円の場合はどんな角度回転させても形が変わらず、正方形の場合は「90度、180度、270度、360度」回転させても形が変わりません。


円は何度回しても元の形のままで、正方形は90度、180度、270度、360度の回転で形が変わりません。

 対称性が高いものは、このように何か変化させても変わらないという性質があります。逆に言うと、変化させても変わらないものは対称性が高いといえます。

 つまり対称性を言い換えると「ある変化をさせても変わらない性質」となるのです。

なぜ多くの動物は左右対称なのか

 ここからは私の思考です。

 多くの動物は、左右対称な形をしています。例えば人間は、臓器の位置こそ左右で異なりますが、見かけは左右対称です。確かに、ある人物の写真があって、それが普通に撮った写真なのか、鏡に映った姿を撮った写真なのかは、写真だけからは判別できません。つまり、人は見かけ上左右対称なのです。

 ほかの動物もそうです。例えば「ネコ」も「イヌ」も、模様などを除けば左右対称です。「ウマ」も「ヒツジ」も「スズメ」も「クジラ」もそうですね。今思いつく限りでは、「シオマネキ」というカニの雄以外はすべて左右対称でした。

 左右対称であるということは、左右をひっくり返す変化をしても同じということです。つまり、「左右の役割を入れ替えても同じように機能する」ということを意味しています。つまり、現実世界に左右の区別がないので、そこに適応するように進化した結果、左右対称な種がほとんどになった、と考えられそうです。

 たしかに、右利きが多数派と言ったような左右の区別はあるので、全ての物事が上の限りではありませんが、多くの動物が左右対称なのは、この世に左右の区別を必要とする要素があまりないことを示していると言ってもよさそうです。

動物は前後対称でない

 動物のほとんどは左右対称で、それは「この世に左右の区別がないこと」が理由なのではないかという推論を述べました。それを踏まえて、もう一つ考えてみようとおもいます。

 今までは動物の「対称の軸」として左右を考えてきました。しかし、ほかにも軸があります。それは「上下」と「前後」です。このうち「上下」は重力が下に常にあり、その時点で対称ではないため、考えないものとします。しかし、重力のある「上下」を考えなければ「前後」にもまた外界としての区別がなく、対称であってもよいはずです。それでも前後対称な動物が存在しないのはなぜでしょうか。

 現在の私は、まだこの疑問に答えることができません。しかし、前後対称でないことは何を示しているかということは考えることができます。

 それは、「前」という方向が特別だからではないでしょうか。左右移動するカニであっても、目は前についています。また、鳥が飛ぶ方向も、犬が駆けていく方向も前です。確かに外界には前後の区別がありませんが、動物の世界では前後の対称性がありません。動物はみな、前に進みます。

前に進む

 ということは、前に進むことは、動物たちの本能のようなものではないでしょうか。自然界は前後に特別な向きを与えなかったにのにも関わらず、動物たちはみな前に進みます。

 前というのは、私たちが進む方向なのです。そのため、前後対称ではないということなのかもしれません。

 「前を向いて進む」「前向きに考える」という言葉があるように、人の世界でもまた前という方向は特別です。私たちの身体が前後非対称になっているように、私たちもまた、前を向いて生きていくことが大事なのだと思います。

 とはいっても、困難や不調の中では、前を向いていくことが難しいこともあります。私は「それでも前を向けー!」というようなきついことを、疲れ切ってしまった人に言うことはしたくありません。そのような時は、いつかまた思いきり前に進めるように、少し後ろを向く時間も大事なのではないでしょうか。

最後に

 今日は『群論入門』を読んで思った、前という方向の特別さについてを書いてみました。人の身体が前後非対称であるという数学的な話と、「前を向くことの大事さ」という人間的なことが自分の中で結びついたのは、面白かったです。

 この記事の内容は検証したわけではないので、誤りがあるかもしれません。今後、「なぜ動物は前後非対称なのか?」という疑問について、時間がある時に考えてみようと思います。

 体が前後非対称にできており、前の方向に「目」があることなどを考えると、前という方向は大事なのだと思いました。いわば体は「前を向く」ようにできているのですね。私もなるべく前を向けるように、体調を整え、出来ることを淡々とやっていきたいと改めて思ったのでした。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

   ねこっち

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