5月8日

シンプルに寝坊した朝、頭の中で「休む」という選択肢が浮かぶも、無理矢理かき消して出勤。通勤の音楽はeastern youth。今日はNUMBER GIRLとeastern youthのライブである。

泣く泣く出勤して11時。年下の先輩と、新しく入った人に遅刻を謝罪する。結構寝ているのだが眠たくて船を漕ぎ出す始末。新しく入った人はすごくあたらが良さそうな落ち着いた女性で、なんか仕事ができそうな人だ。どうか、少しでも長くいてほしい。できればわたしより仕事ができるようになってほしい。必死でメールを返すも返しても返しても追いつかない。頭がは足らなかったからだ。すぐ昼になった。お弁当を持参していた。レンジで温めようと思ったが、若者2人が並びながらしゃべっており、ここで並ぶと急かしてるみたいできまずいと思い、あたためるのを諦めた。わたしはよく、気まずさと引き換えに、自分が少し我慢するくらいならいいやと思ってしまうところがある。

遅刻したのに、ライブがあるため、17時で早上がりさせてもらう。各所に小さく謝罪し、退勤する。体感では3時間くらいしか働いていないから元気である。いつもこれくらいで帰れたらいいなと少し思う。以前の仕事は21時終わりで、客の満ち引きによってもは22時を回ることもあったので、現在の18時退勤でも踊り出すくらい嬉しかった。映像の素材にしようと、日比谷に行くまで動画を撮ろうスマホで動画を撮影した。電車を乗り換え、日比谷公園到着。道路も公園も大きくて、海外みたいだ、なんて初めて東京来ました、みたいなことを思った。公園前には音漏れを聞こうと人が酒を交わしていた。それに釣られて、Googleマップを頼りにコンビニをめぐるが、一向に見当たらなかった。今冷静に慣れば、オフィスビル内のコンビニだったのだろう。日曜日だったのでどこのビルも閉鎖されていた。ギターの嗎。

や、やば!やばい!!!!!わたしが冷凍都市で迷っていると、あの!!!!!あの曲のあの!!!!!!イントロが流れて、その瞬間、待っていた信号が青になって、駆け出した。ああ、わたし、走っている。あのときも、あのときも、あのときも、いつもそそっかしくてドジでまぬけで。日比谷公園の有名な噴水が噴き出す。あの頃、あの時の肌で感じた空気や、空間から感じる舌触り、光の色。なにもかもがこの、ギターのノイズを伝って眼球の、水晶体に流れ込んでくるみたいに、映像が、見えた。この、ああ、この、ノイズ。日比谷野外音楽堂。通称野音。野音にくるのは初めてで勝手がわからず、チケットの席番号を探す。自分の席、というか、ベンチ状の椅子、場所を見つけたものの、既に人がぎゅうぎゅうの状態。完全にしくじってしまった。ちょうど席の近くにスペースがあって、「いや、チケットもxっってます、席、そこなんです」という風に、チケットをちらつかせながらポジションを構えた。目の前に見えるは、NUMBER GIRL。うわあ。もう、この、耳いっぱいの響きが、この、えっ、たった4人で!?!?響かせている!?!?と、当たり前のことをあたらめて疑うほどのかっこよさ。中学時代、孤独にCDプレイヤーでNUMBER GIRLを聴いていた自分の背を叩きたい。「お前!!センス良すぎだろ!!」って。お前はその孤独を、自分の働いた金で癒すことができる。それは、すごいことなんだぞって。よく生きてこれたぞ、って。あの、イントロ、タッチからはじまり、ZEGEN VS UNDERCOVER、鉄風 鋭くなって、透明少女、人生で一番好きと言っても過言ではないNUM-AMI-DABUTZ・・・。「リハーサルの合間に、チャリンコでぴゃ〜っと行った神社で(寺?)南無阿弥陀仏って10回言ってきた」と謎の報告をする向井秀徳。拍手や、拳を突き上げるしか反応ができず、少しもどかしかった。でも、やっと、見れた。

時間と共に当たりが暗くなり、ライトの光がより際立つ。空は鉄風のような曇天が、風が吹いていた。

向井秀徳は、歌い終わるとすぐにマスクをつけて、丁寧に頭を下げた。何度も、頭を揺らすこのノイズは、耳じゃない、脳に直接刺激を与えている。

ライブは、なんと、17時開演ということを全く知らなかったわたしは、いつもの思い込みで18時半開演だと思っていた。そもそも、日比谷なんてオフィス街で、日曜日と言っても19時半や20時までこんな爆音を鳴らせるわけがないと気づくまでには時間がかかった。しかも世間はGW最終日なわけだったが、シフト制のアルバイトであるわたしがそこに気づくきっかけがなかった。久しぶりに聴くeastern youthに想いを馳せながら通勤したのに、eastern youthが聴けないだなんて夢にも思わなかった。本当に、今週のわたしはもうダメすぎる。NUMBER GIRLが聴けただけでもよかったことにしよう。

NUMBER GIRLと出会ったあの衝撃や、「これだ!!!!!」っていう感覚を、もう感じられないのかと思うと悲しい。けれども出会えてよかった。時を超えてもあの衝撃が鳴り止まない。

いつも「福岡から来ました、NUMBER GIRLです」というけれど、もう20数年経っているわけだし、ということは東京の暮らしの方が長くなっているわけだから、「福岡から来た」わけではないということでは?と考えると面白くなって、スーパードライのプルタブを開けた。


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