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19歳、秋②

「今月誕生日やに!」
「俺先月誕生日やったけん先輩やな」
「たったの2週間だけね」

多分、最初の会話ってこんなもんだった

テレビ局で働いてた時代
違う会社から助っ人で来た、今の旦那

出会った頃は白い肌に栗色の髪の毛
隣に座るだけでふわっと香るいい匂い
だけど必要以上に口は開かない
めちゃくちゃ落ち着いているような
いかにも「めっちゃモテそう」な男性
(でも感情が、無。マジで無表情)

私は正直、全然タイプじゃなかった
その頃の私は、黒髪でメガネで
いわゆる「陰キャラ代表!」みたいな
家では毎日カップラーメンを食べて
夜中の3時くらいまで
オンラインゲームをしてそうな
何事にも無頓着で、暗い人が好きだった

でも不思議と、

「うわっ……めっちゃ好き……」

と思った。意味がわからないけど、なんで
私は一目惚れなんて絶対したくないタイプ
だったので、振り払った「これは違う」って

私も彼も、人見知りのはずなのに
「どこかで会ったっけ?」とまで感じた

仕事での連絡用に、連絡先を交換した

「名前もかっこいいな、、、、、」

と思いつつ
何事もなく、その日が終わった


はずだった


気がつけばその日の夜、仕事終わり

なぜかカラオケにいた、

それも、朝の5時まで。2人で。

「ええ〜、めっちゃパリピじゃん……」

と思わず漏らした私に対して

「どこがだよ、女の人と話すの久しぶりだし」

なんて答えられたので、思わず

「え、彼女は………………?」と聞いてみた

「いたことすらないわ!」って返された

無論。

いやいやいやいや、嘘やん

こんなイケメンが童貞なわけないやん

話によると、彼は工業高校出身
元々感情がない、らしい、相談を受けた
女の人と話すのが苦手だし
人と付き合うなんてめんどくさそう、らしい

衝撃の一言も言われた

「もし好きな人ができたら

思いっきりぎゅーって、したいよな」

……おう

……?

!?!?!?!?!?!?!?!?

クッッッッッッッッッソピュア!!!

えっ…………

尊ッ———————————……

と思ったのも束の間で、

「泣けないし、悲しい事も嬉しい事もない
楽しい事もないし、だから恋なんか全く
しようと思わない、そう思う人までいないし」

ええ〜〜〜〜大丈夫かこの人……

闇深っ、、、、、、

と思いつつ「そっか〜。」とだけ返した

その日はカラオケを終え、朝5時に帰宅
そのまんまお風呂に入って、出勤。

でもなぜか、頭から離れない
気になって仕方がない、妙に気になる

ラインしてみようかなあ〜。
いやでも自分からは絶対嫌だな

そう思ってたら、来た

「昨日萌々ちゃんが歌ってた歌

心地よくて、今日朝聴いてきた!」

そんな感じのことだったと思う

めちゃくちゃドキドキした。

それから毎日連絡を取るようになった。
月に2〜3回、必ず会うようになった

あれだけ毎日荒れてた私が

「こんな人に、愛されたい」

いつのまにか、そう思うようになった

彼に出会ってからは1度も
自分を安売りすることはなかった

彼に出会ってから
愛のない「好きだよ」を
浴びるのを、やめた

“誰でもいい”って
縋るのを、やめた

関係を持ってた先輩からの
「今日会える?」の電話を
「会えない」と拒むようになった

人生が、変わった

#日記 #エッセイ #結婚 #写真 #恋人




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