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感情と文章.


街中でとある香りをかぎ、どこか懐かしかったり、反射的に好きだなと感じたりすることはないだろうか。
たとえば、お気に入りの香水やパートナーの吸うタバコのにおい、近所に咲いている金木犀などなど。これは嗅覚から入る情報が、まず記憶や感情に紐づく脳の部位に届いていることが原因らしい。

冒頭からライターっぽい小むずかしいことをいってしまったが、つまり、鼻でかいだ香りはたちまちに記憶・感情を揺さぶり、「懐かしい」「好き」「嫌い」などに振り分けられるということ。頭で考えてなんの香りかを導きだす前にだ。

そして脳に直結するのは、五感のうち嗅覚からの情報だけといわれている。だから、参考書に書かれた文章はちっとも頭に入らないのに、香りは少しかぐだけでも記憶に刻まれるということが起こりうるのだろう。

とはいえ、視覚から引き起こされる感情や記憶も、侮ってはいけないとわたしは思う。嗅覚より遠回りとはいえ、脳を通らないわけではないのでまぁ当たり前のことだ。
しかし、前回重い腰をあげてnoteを書くに至ったのは、まぎれもなく「文章によって記憶が鮮明によみがえり、当時の感情がまざまざとおそってきた」からに他ならない。
該当の記事は、お気に入りのコップを割ってしまったときの痛烈な想いをつづったこれだ。

これだけ聞くとただのトラウマ報告ではないかといわれそうだが、そうではなく、「感情と記憶に強く作用する文章のチカラ」に驚いたのだ。(自身の文章力を褒めちぎっているわけではないので悪しからず。)

noteの一投目で、忘れっぽい私はこの場所を記憶のカケラを書きとめる場所にしたいと宣言している。今となっては、物忘れのはげしさはややアダルトチルドレンが影響しているのかと思っているのだが、記憶の残し場所として成功しているし、とにもかくにも、文章のチカラはすごい。これに気づけたことは、ライターとしても大きな一歩かもしれない。


前置きが長かったわりに幼稚な着地であるかもしれないが、人の記憶に深く結びつき、感情を揺さぶる文章を届けていけたらと思う。あらためて。


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