nene.

私の欠片が、誰かの琴線に触れて欲しい。

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最近の記事

30分680円で買えるほくほく

今日、店じまいを少し早めて、推し声優がPVのCV(キャラクターボイス)をつとめたという漫画を読んだ。 漫画の内容はもちろんよかったのだけど、それ以上にたった30分680円で得られた心のゆたかさに、まだほくほくしている。 たぶんこれは、通常であればカリカリと仕事をしているであろう半時間をサボったことへの背徳感と、ただただ推しへの対応性の高さ、そしてマッサージ機にかかりながら読んだことがすべてかけあわされたハイブリッドタイムだったからに違いない。 至福、と言い表せば簡単なものを

    • 感情と文章.

      街中でとある香りをかぎ、どこか懐かしかったり、反射的に好きだなと感じたりすることはないだろうか。 たとえば、お気に入りの香水やパートナーの吸うタバコのにおい、近所に咲いている金木犀などなど。これは嗅覚から入る情報が、まず記憶や感情に紐づく脳の部位に届いていることが原因らしい。 冒頭からライターっぽい小むずかしいことをいってしまったが、つまり、鼻でかいだ香りはたちまちに記憶・感情を揺さぶり、「懐かしい」「好き」「嫌い」などに振り分けられるということ。頭で考えてなんの香りかを導

      • ついには洗濯機まで直したはなし.

        にんげんヤル気にさえなれば、なんでもできる。 これは外出を控えざるを得なかったコロナ禍における格言であったが、今日あらためて実感した。 表題のごとく、我らの手によって洗濯機が直ったからだ。しかもドラム式の。 詳細にお話する前に、我らのこれまでの実績をご紹介しよう。 カーテンのレール・ロールカーテンの取り付け CSアンテナの取り外し・取り付け ベッドの組み立て×2 ゲーミングチェアの組み立て×2 テーブル・デスクの組み立て×4 大型ストッカーの組み立て×1 お

        • 一枚のパンツから学んだこと。

          タイトルにつられてきた人がいるかどうかはわからないが、念のため注意喚起しておく。これはけっして色っぽい記事などではなく、わたしの成長の軌跡だ。 パンツが主役になっているわけではない。ただ、きっかけがパンツだっただけ。とはいえ、パンツを取り上げることになるのは変わりないので迷ったが、価値観が少しばかり変わった記念として記しておくこととする。パンツと何度も記すことをおゆるし願いたい。 わたしはいつもと同じ手順で、お風呂上がりに身につけるパンツを選んでいた。色や柄は想像におまか

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          本当に守りたいものはどちらか

          目の前に差し出された救いの手 揺るがずそこにある社会の規律 本当に守るべき、否、守りたいものはどちらだろう。 …… ドラマのなかでゆらいでいた選択肢はその二つだった。自分を頼ってきた被災地の人の声と、待機命令という名の組織の決まりごと、どちらを守るのですかと。 立場や条件などによってその問いに対する答えは分かれることが予想されるものの、なにも考えない本音で選べるならば、前者をつかむ人が多いのではないだろうか。(これは私の世間に対する理想かもしれないが。) しかし私が

          本当に守りたいものはどちらか

          燻った人生も、お気に入り一つさえあればご機嫌。

          今日読んだ本の中の主人公は、自分の才能に疑問を抱く漫画家見習い。パッと一花咲かれられないでいる地味な人生だけど、コーヒーへの熱意だけは誰にも負けない。 彼が深入りのコーヒーとたまごサンドのベアリングを楽しむ一時が、その物語の主軸を担っていた。 そう、燻る人生の中でも「お気に入り」や「ゆずれないモノ」が一つでもあれば幸せなのかもしれない。それは食べ物以外でも、服や雑貨、食器1枚だっていい。 触れると心がふわりとあたたかくなる、そんなものがあればそこそこの人生だって立ち回れ

          燻った人生も、お気に入り一つさえあればご機嫌。

          ≪ポートフォリオ/nene.≫

          はじめまして、フリーランスのnene.と申します。 この度はポートフォリオをご覧いただきありがとうございます。以下に自己紹介や実績をまとめておりますので、よろしければ最後までご覧ください。 -自己紹介-関西在住の30代女です。現在お付き合いして17年目、16歳年上の同性パートナーと暮らしています。持病持ちパートナーとの時間が生活の軸。 神戸学院大学の人文学部・芸術文化コース卒業。主に演劇について学び、自身も学生の演劇集団に所属しておりました。 自他ともに認めるディープ

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          クリアブルーの透けた世界

          針葉樹のお湯、そう書かれた入浴剤がつくりだしたのはクリアブルーの世界だった。森林というよりかは、まるで南国の海のような波紋がくっきりたゆたうお湯。 面倒見がいい、丁寧な対応、そういわれる今があるのは、ある後輩を踏み台にしたからである。彼女はいつも自信なさげで不器用で、少しおどおどした佇まいだった。最低なことに、名前は覚えていない。 人と接することは好きだし、人になにかしてあげることも好きだ。しかしそれは対等な立場からであって、誰かを立派に育てたい。そんな思いは1ミリも抱え

          クリアブルーの透けた世界

          カムバック清荒神!もう一度住みたいあのまち

          皆さまこんばんは、nene.の「もう一度住みたいあの町」のコーナーです🎤(初回) 人生のすみかを決めるのはむずかしいと思うあまり、過去に住んだことのある場所をふりかえる現実逃避。その土地のイイトコロや思い出を混じえつつ、超個人的視点でつづっていく私得しかない案件です。 そんな第一回目の今回は、兵庫県にある清荒神をご紹介します!!! 清荒神とはいずこ?まず読めるかどうかもあやしいこの地名は、ズバリきよしこうじん。関西では「荒神さん」の愛称でも親しまれている、火の神・台所の

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          お気に入りがこんなにも重量のあるものだったなんて

          ものが壊れてこんなに悲しみに暮れたことはない、そう思う自分はろくでもない大人かもしれない。 お気に入りのグラスが割れたのは、このあいだで2度目だった。琥珀と萌黄、そう名付けていたふたりは、オレンジとグリーンのまるいペアグラスだった。内部に閉じ込められた気泡のデザインを眺め、手にしっくりと馴染ませながら悦に入った。おだやかに、ひそやかに。 萌黄が割れたのは食洗機のなかだった。ほかのグラスとかち合って、いとも簡単に破損してしまったのだ。カチ、と軽すぎる音しか聞こえなかったのに

          お気に入りがこんなにも重量のあるものだったなんて

          マイルドピンクの泉

          高級感を貼りつけたような袋の封を切る。なかから現れたのは、目を見張るほど鮮明な赤色。浴槽に注ぐとき、ざらざらと音が聞こえるような気がするほど。荒々しい赤にくらくらした。 私が浴室に足を踏み入れるまで、お湯と分かり合えなかったようで別々に静まりかえっていた。おそるおそる、小型の手桶でかきまぜる。するとひとたび、マイルドピンクの泉ができたのだ。小さい子がお姫さまに憧れるかのように、目を輝かせていたかもしれない。そんなおだやかでちょっぴりゆめゆめしい世界が誕生した。 マイルドと

          マイルドピンクの泉

          化粧しようと思い立ったのは、着飾りたかったわけではない。

          顔を化粧道具で塗り固めていくと、知らず知らずのうちに厚い壁となる。時間が経つにつれ重くなるようで、いつしか頭を垂れている。それを溶かしきったあとの軽さは、羽が生えたかのようだ。 私は飛び去りたかったのだろう。彼女と共に。 とくにまつ毛を重点的に塗り固めようと思った。かつてないほど、夢中でまつ毛を塗っていたかもしれない。まつ毛に漆黒の液を重ねていくと、細々としていた一本がやがていきいきとしてくる。 今までうっすらとした存在感だったそれが、時間をかけて丁寧に施しをかけると、

          化粧しようと思い立ったのは、着飾りたかったわけではない。

          レズビアンの私がウェディングカメラマンになったのは

          私がウェディングカメラマンを志すようになったのは、ロマンチックな欲からだった。レズビアンである私がなぜウェディングカメラマンを?と思われる程度に、日本は緩やかに自転している。パートナーシップ制度こそ拡大しつつあるが、同性婚が全国に広がるのはまだまだ先のことだろう。 結婚の2文字を前に、後ろめたさを感じるマイノリティは少なくない。物心がついた頃から結婚願望のない私ですら、全くないといえば嘘になる。それならなぜ進んでウェディング業界に?とさらなる疑問を抱かれるかもしれないが、私

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          彩凪翔は生まれつきの美形ではない

          凪様は何をしても美しい、私の口癖はそうだった。少年役、青年役、貴婦人、どれだけコミカルな役を演じようが気持ちは変わらなかった。その口癖の裏側には、凪様は生まれ持っての美形だという思いがあったのだ。 素材が美しいのは誰もが承知の事実である。楽屋口などで限りなくメイクを落とした姿を度々目にすることもあるため、裏付けもとれている。しかし、ありのままであの完成度なわけではないことを先日知った。目から鱗だった。 彼女は千秋楽の挨拶で、「できるまでに時間がかかる」「そのため多くの涙を

          彩凪翔は生まれつきの美形ではない

          記憶の欠片を書き留めたいので、noteを始めました。

           はじめまして、お初にお目にかかります。  32歳女、レズビアンのnene.と申します。  16歳年上の同性パートナーとお付き合いして丸15年。在宅で文章や写真のお仕事をしているフリーランスです。  このnoteでは、私の人生の中での『記憶』や『気付き』を綴っていきたいと考えています。皆様の琴線に触れる文章や物事を、少しでも提供できると幸いです。  提供しようと思ったきっかけを、少し掘り下げて綴らせてください。  突然ですが、皆さんは記憶力って良い方ですか? 私は3

          記憶の欠片を書き留めたいので、noteを始めました。