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渡米から一年。駐在帯同で失った自信を探しに行く話

家事をしながらポッドキャストを聴くのが好きだ、という話を夫にしたら、AirPods Proとケースをプレゼントしてくれました。
LightningじゃなくてType-Cのやつです。
思った以上に嬉しくて用もないのに首からケースをぶら下げ、LightningのAirPodsを使っている夫に見せつけるようにType-Cのケーブルを挿して充電しています。贈ってくれた人を相手にすることではない。

聴くのはもっぱらお悩み相談系のもので、いろんな人の悩みやそれに対する回答を聞きながら思い当たる節があるな…と日々自分を省みています。

自己を他者と比較してしまうという悩み

ジェーン・スーさんのポッドキャストで聞いたお悩み相談の中に、こんなお話がありました。

「周りの人と年収や学歴、結婚相手など色々なことを比較してしまう。自分に自信を持ちたい」

相談者の方は育休中の会社員の女性の方で、このままだと我が子までもよその家庭と比較してしまいそうで怖い、とも仰っていて、私も他人事ではないなと痛いところを突かれた気持ちになりました。

スーさんの回答は「育休中など人との関わりが減っているタイミングだと、自分の持っているもののスペックを他者と比較することでアイデンティティを確認するようになってしまう」「正しいプライド(=自信)を持てていない時はいらぬ見栄が増える」とのことで、正直耳が痛い思いでした。
家族も友人もほとんどいないアメリカに住み、毎日のほぼすべてを子供と過ごしている私はまさしく自分という人間の輪郭や自分の持つ価値を見失い、にもかかわらず誰かに認められたい、きちんと海外生活を楽しんでると思われたいと無意識のうちに考えていたからです。

若い頃はSNS上のキラキラした投稿に反応しがちだったのですが、20代半ばに転職や結婚を経験し、紆余曲折ありながらも自分の人生なかなか楽しいじゃん、と思えるようになってからは特に気にせずいい距離感で付き合えていました。

それが今はどうか。
日本の友達が仕事を頑張っていたり私生活を楽しんだりしている様子を見ては「もうちょっと仕事を続けたらどうだったかな」「日本にいたら子育てももっと楽しめたかな」と思い、
アメリカの友達や見知らぬインスタ上の駐妻が充実した海外生活を送っている姿を見ては「私ももっと都心に住んで毎日お出かけしたかった」「もっと日本人がたくさんいるところに住めば友達も増えてアメリカを満喫できたかな」と情けないほどにいちいち人と比較して、自分の現状を嘆き落ち込んでいました。

一番嫌だったのは、自分のこの状況が子供になにか損をさせているような気さえしてしまっていたことです。それを断ずるには早すぎるし、そもそも私が決めることではないのに。

こういう思考に陥るようになった当初は、なぜ自分がこうなってしまうのかがわからず、やり場のない気持ちを夫にぶつけてしまうことも少なくありませんでした。
夫もしっかりと話を聞いてくれ、意見を交わす中で「産後でホルモンバランスが崩れているから時間が解決してくれるかな」や「車の免許をとって行動範囲を広げたら変わるかも」とひとまず自分を納得させたのですが、件のポッドキャストを聞いてそれだけでは根本的な解決にはなっていないことを思い知りました。

海外生活とアイデンティティロス

今の私には圧倒的に自信が足りず、また自信を得られるほど他者と会話ができていないのです。
全員に当てはまることかはわかりませんが、自分で自分の短所は見つけられても、長所を見つけることはなかなかできないように思います。
日常生活で何か上手くいかないことがあれば自分のどこにその原因があるかを考え、改善点として短所を自覚することができます。
一方で上手くいってしまっていることを細かく振り返ることはそこまで多くなく、自分の長所がその成功に結びついていたとしても、私はそれになかなか気がつけません。自信を持つ根拠である長所が迷子なのです。

仕事をし今よりも社会との関わりを持っていた頃は、上司や同僚、あるいは友人とのコミュニケーションで自分の長所も短所も客観的な意見をもとに知ることができていました。また、仕事上での能力も努力も評価という形で可視化され、自信につながっていました。
仕事を辞め日本を離れ、限られた人間としか関わらない今、そういったフィードバックが得られず自分がどういう人間なのかを判断する材料が極端に減ってしまっています。
夫は慣れない育児と海外生活に四苦八苦する私を頑張っていると褒めてくれますが、バイアスかかりまくりの身内の意見だしな…と100%喜べないのが現状です。

スーさんの言葉通り、自分に自信が持てていないから、わかりやすいスペックを一つ一つ人と比較してしまうのだと思います。そして比較する先のSNS投稿などは「他者があえて人に見せている部分」なので、等身大の私が劣るのは当然です。加工済みと無加工です。比べるまでもなく惨敗です。

自信と実績を両手に握りしめてこ

自分に自信を持つにはどうしたらいいのか。すぐにできることとして、人と関わる時間を意識的に取ろうと思います。別にアメリカに住んでいる人でなくてもいい。日本にいる家族や友人も含め他者を通して「自分ってこんな人間だったな」を再確認することで、自信を持つべき点とついでにまだまだ改善できる点を見直したいです。

もう一つは、小さな目標をいくつか作ってみようと思います。生きてるだけで褒めてほしいくらいのタフな海外生活、自分で自分を認めてあげるポイントが必要です。車の免許を取る、勉強を再開する、作ったことのない料理に挑戦する、運動を習慣化する、公園で会う現地ママと仲良くなるなど、1〜2ヶ月あればある程度成果が出そうなものをいくつか設定して、一つでもできればもう良しとしたいと思います。

渡米2年目。ここからはこんな感じで「自分にはこんな長所がある」と「自分はこれだけのことができた」を両手に握りしめて、毎日ハッピーに生きていきたいものです。

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