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【俺は人間に聞いてみたい。】3

気がする


 はぁ〜あ。
 シッポが痛い気がする。
 なんか痛いような気がする。

 なぁ、ネネ。
 俺な、ネネに聞きたいことがあるねん。

「うん」

 やっぱり出かけるん?

「そうやね」

 俺、さっきからシッポが痛い気がするって言うてるのに?

「どうしても出かけないとあかん」

 俺、言うてるのに?

「気がするだけじゃないの?」

 今は痛い気がしてるだけやけど、ほんまに痛くなるかもしれんやん。

「ほら、痛くないんやんか」

 ほんまネネって意地悪やな。
 アレやな、なんぼ言うても俺を置いて行くんやな。

「ごめんやけど、連れて行けんね」

 はぁ〜あ、ガッカリやわ。
 ネネに期待した俺がアホやったわ。
 置いて行ってください。
 シッポが痛い気がする俺を置いてどうぞどこへでも行ってください。

「…そしたら行かんとこか?」

 ええよ、もう。
 どこでも行ってきたら?
 俺はネネに期待するのはやめた。

「ひどい言われようや」

 だってそうやんか。
 ネネは俺がいつもひとりでどれだけ寂しい気持ちでおるか知らんやろ。

「でも、今日買い物に行かないともう君のご飯無いよ」

 え、そうなん?
 なんや。そうなんや。
 早く言うてや、もう。
 それとこれとは話が違うやん。

「でもネネにガッカリするんでしょ?」

 ちゃうちゃう!ちゃうねん。
 そういう風なこと言ってみたかってん。
 行ってきて、ほんま俺のこと気にせんと。

「ええの?」

 うんうん。なんか回し車で遊びたくなってきた気がする。
 もはや早く行ってきて欲しいとさえ思ってる気がする。

「ほな、行ってくるわ」

 わかった!……なんかワガママ言うてごめんやで。
 ネネ、いってらっしゃい!

「……簡単」


質問しがちなネズミとのひととき

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