笑っていた理由

　なぁ、ネネ。
　俺な、ネネに聞きたいことがあるねん。

　さっき俺のこと見て笑ってなかった？

「……笑った」

　なんで笑ってたん？

「……」

　教えてや、俺も笑いたいねん。

「えっと、回し車で走りながらウンコして、ずっとそのウンコと一緒に走ってたから」

　うわ、めっちゃ恥ずかしいやん。気付かんかった。

「コロコロいうてたやん」

　でもそんなんで笑うとか意地悪やわ。
俺はネズミやから仕方ないやんか。

「だからおもしろいねん」

　なんかムカついてきた。
ほんとは俺もいつもネネのこと笑ってるねんで。
言ってないだけで。

「例えば？」

　アイスクリーム食べてる時とか、段ボール開ける時とか。
　あ、あとそれ見てる時。

「スマホ？」

　うん、それ。スマホいうやつ。

「それのどこがおもしろいの？」

　……どこって。俺にとってはおもしろいねん。
いつも爆笑してまう。

「そうなんや。まぁ、笑いのツボってそれぞれやし」

　そやな。でも、あんまり俺のこと見て笑わんといて欲しい。嫌な感じやわ。

「なんかごめん」

　……でも、ウンコと一緒に走ってたとか。
俺、ウンコと一緒に走ってたんか。
ちょっとおもろいな。

「やろ？」

想像したら笑えてきたわ……
なぁ、ネネ！
次に俺がウンコと走ってたら教えてな。

「おっけ」

　2個いけるかな？
うわぁ、なんか燃えてきた。

「楽しそうでなによりです」

質問しがちなネズミとのひととき