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「人的投資」に関する企業調査(2023年1月)

ファーストリテイリングの派手な賃上げのニュースがあったりと、今まで人材は人件費などの「コスト」として見られてきたが、人材を「資本」としてとらえ投資する、人的投資への関心が高まっている。

今回は、人的投資に対応している・対応を準備・検討中の企業が8割以上という人的投資についての調査結果が出ていたので、20代の就業意識調査とともにまとめていく。

■調査概要
・調査期間:2022年12月9日~12月14日
・調査対象:企業・団体の人事担当者
・有効回答数:370 件

「人的投資」に関する調査 約6割の企業が対応を準備・検討中

▼対応している企業は21.4%、約6割の企業が対応を準備・検討中

担当者からは「人材の定着のために取り組みが必須だと考えている」「人材の流動化が進んでいるため、選ばれる職場になるためにはキャリア形成支援の充実や年収アップが不可欠だと感じている」「従業員のエンゲージメントを高めたい」「若い世代を中心に、スキルアップの機会を重視する声が拡大している」「特に20代の社員を中心に、スキル習得や専門性の発揮、成果に応じた評価を重視する人が増えている」といった声が寄せられた。

▼20代の意識調査

実際にパーソルの「働く 10,000人 の就業・成長定点調査」では、20代前半正社員の仕事選びの重視点は、休みの取りやすさ、人間関係、収入などが減少する一方で、社会貢献や、知識・スキルが得られるといった「自己成長」に関する項目が上昇傾向となっている。
今後のキャリア形成を見据え、自身を成長させてくれる会社を選びたいという意向が強まり、またSDGs 世代として社会貢献意識の高まりも見える。
20代前半の学習・自己啓発実施率も、過去5年間で微増傾向にあり、他年代と比べて最も高い。

▲仕事選びの際の優先事項

また20代前半は、他年代と比べて転職へのイメージがポジティブに変化している傾向。転職を「積極的にしていくほうがよいこと」と捉えている20代前半社員は、78%。

▲転職の回数/ イメージなど

独立・起業意向も増加傾向にあり、会社を辞めて独立したい人の割合は、男性20代の前半が最も高く、2017年に20%であったのが、2022年には31%まで上昇し、1社に囚われない意識が強く見える

▲独立・起業意向


しかし、20代の転職意向、転職回数はともに横ばいで推移。
実際に転職する若手社員が増加しているわけではなさそう。

▲今後の勤続意向


▼人的投資によって解決を期待している課題

人的投資によって解決を期待している課題は「社員の定着における課題」37.6%が最多。次いで「採用における課題」25.8%。
人への投資を強化することで、社員の定着や採用力の向上を図り たいと考える企業が多かった。
「社員が働き甲斐を感じられるようにしたい」「業績拡大のために は、新規採用だけでなく社員の定着が必須だと思う」「人が生み出す付加価値が競争力の源泉になるので、優秀 な社員の定着を図っていきたい」などの声が上がっている


▼人的投資強化のために、対応していること・対応を準備していること

人的投資の強化のために対応していること・対応を検討していることは「研修機会の拡充」62.4%が最多。次いで「人事評価制度の変更」50.2%が続いた。社員の活躍を支援し、その活躍を評価する基準を 明確にする動きが活発になっていると言える。
「時代に合わせて、人事評価制度も変更していくことが必要 だと思う」「リスキリングを実施し、自社で DX 人材を育成できるようにしたい」「競争力強化のためには、 社員のスキルアップ支援が必要だと感じている」「管理職の若返りを図っている」といった声が上がった。


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