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生成AI時代、神話の作り方

FASE1 / AIが創造する時代

チャットボットや画像生成AIなどが急速に進化する昨今、我々、人間とAIの関係性は大きな変化を迎えつつあります。

そして、その変化の段階として現在、AIは人間の能力拡張を体現しつつあり、それは、今まで人間が行ってきた仕事の効率化は勿論のこと、本来、仕事の根幹をなす創造性すらも保管するに至っています。

そこで本日は、展示企画NEOYOROZUのストーリーである神話、ネオと万神をAIと執筆した経緯から、その方法論を開示することで、AIを使い物語を執筆する方法について触れていこうと思います。


FASE2 / 必要なAI、アプリケーション

まず、前提として必要なアプリケーションから触れていきましょう。

生成AIのジャンルとしてはチャットボットと言われるAI、つまりは、ChatGPTに代表される系統の、AIが搭載されたアプリを利用することとなります。

大規模言語モデルともいわれる、このような生成AIの特徴は、まるで、自然言語を理解しているかのように、チャットでの対話が可能であり、質問や、特定の仕事の依頼を自然言語で指示できるという所に、最大の特徴があり、昨年から、急速にこの手のAIが隆盛を極めたかのように見えるのは、プログラム言語ではなく、通常の話し言葉で、指示が出来るようになったことが最大の要因となっています。

今回利用するのはチャットボットの中でもGPT4以降、リアルタイムでAIが情報を検索してくれる機能を持つモデルの中で、マイクロソフトがリリースしているBing AI を活用していきます。

現状、マイクロソフトがリリースしているブラウザEdge、またAndroidや、I phoneのアプリで利用でき、無料で利用できるチャットボットの中では一番優秀な部類と言えると思います。


FASE3 / AIと神話を執筆する方法論

さて、それではさっそく神話を生成する方法について触れていきましょう。

AIと神話を執筆する際、AIに指示するべき項目は以下です。

①企画の説明(神話を作る理由の説明)
②神話の基本構成を調べさせる
③話の大筋を指示して生成を依頼
④神話の方向性や結末を指示して再構成を依頼
⑤話の細かいディテールなどを人間が修正
⑥修正した神話の改善点をAIに要求
⑦改善のアドバイスを基に最終調整

ここでは、簡単な神話を実際に作成しながら、工程を確認していきましょう。

なお以下の神話は、説明上、あまり長いものだと複雑性が増してしまうことから、文字数を限定した説明用の簡易作成バージョンになります。

①企画の説明(神話を作る理由の説明)

まずは前提条件として、神話を作る経緯を説明することで、なるべくコンセプトに沿った形での文章の生成を促します。チャットボットは、話の文脈を学習することが出来ますので、ここでの積み上げが重要です。

②神話の基本構成を調べさせる

特定の物語の構成方法などを検索させることで、どのようなジャンルの物語を生成して欲しいのか、方向性を示すことが出来ます。特定の論文や書籍から検索させることも可能ですので、自身が書きたい物語がどのような物なのか、具体性を持って、AIに指示することが重要です。

③話の大筋を指示して生成を依頼

前提条件を満たしたら、話の大筋をAIに指示して、神話を生成させます。設定のコツは、主人公の名前、物語の舞台設定、話の大筋くらいシンプルに指示を行うことで、最初から複雑すぎる設定にすると、現状のチャットボットでは拒否される可能性もあるので、何処までが限界なのかを試すことも重要です。どの道、方向性の修正は随時出来ますので、話の方向性さえ、正しく指示できていれば問題ありません。

④神話の方向性や結末を指示して再構成を依頼

生成された文章の結末や、細かい設定の修正などを指示して、再構成を依頼します。何度も再構成させながら、想定の内容に近づけていきます。

⑤話の細かいディテールなどを人間が修正

ある程度、想定の内容に近くなったら、細かい表現などを自身で修正していきます。この段階はどれだけ改変するかにもよりますが、文章が不得意な方の場合は、言葉の言い回しや表現を理解しやすく改変する程度でも問題ありません。AIに行わせることも④の方法で可能ではあるので、どちらが効率が良いのかを判断して、行ってください。

⑥修正した神話の改善点をAIに要求

修正した文章の改善点を要求、アドバイスに沿って文章をブラッシュアップします。実は、AIはこの手の文章の改善点を見つける作業は得意です。なぜなら、AIは世界中の有名な物語が、どのような構成で執筆されているのかという情報を学習しており、その精度はディープラーニングにより常に更新され向上していく仕組みだからです。そもそもAIには主観がありませんので、文章を客観的に見て、改善点を指示することに、人間よりも向いているということも言えるかもしれません。


FASE4 / AIと執筆した神話・ネオと万神(簡易作成バージョン)

それでは、ついに神話の完成です。

以下が、AIと執筆した神話の全文になります。

ネオと万神

暴力と貧困に満ちた世界にネオは生まれた。

ただ、そんな世界にあって、ネオは心優しい少年だった。

どんな時にも、絶望しない強さ、意志の強さも持ち合わせ、世界に安寧がもたらされることを強く願っていた。

ネオは、大陸の向こう側に、かつて栄華を極めた社が在り、万神という世界に安寧をもたらすことが出来る神が眠るという伝説を信じていた。

その社をもとめ旅だった者は、誰一人として帰らなかったが、ネオの意志は固く、身一つで大陸を横断する旅に出るに至る。

ネオの眼差しは光をおび、足取りは確かだった。

ネオは、長い旅の中で、多くの危険に遭い、数々の傷を体にも心にも負った。

幾度となく絶望し、倒れそうになったが、その度に不思議と世界への思いが、ネオを目的へと繋ぎとめた。

やがてネオは、荒れ果てた社の奥にある神殿にたどり着く。

出立から8年の歳月が経ち、ネオは青年になっていた。

そこには、不思議な雰囲気を放つ像が鎮座していた。

ネオは、直感的にそれが伝説にきいた万神の石像であると確信した。

ネオは像の前にひざまずき、世界の安寧を強く願う。

すると像は、様々な色の光をまといはじめ。

そして、頭の中に直接語りかけるような声がした。

「心の正しく善き者よ、お前の願いを聞き届けよう。しかし、お前の願いを叶える為には、心正しく強いものの命を燃やさねばならぬ。心の正しく善き者よ、我と同化し、世界に安寧をもたらす覚悟があるか?」

ネオは驚愕した。

ネオは、自分が神に取り込まれることなど、夢にも思っていなかった。

ネオは、自分の仲間や家族の顔、故郷の景色を思った。

ネオは、自分の人生や夢や愛を思った。

ネオは、自分の使命や責任や選択を思った。

一度、目を閉じ、やがてネオは決断した。

「わかりました。私はあなたと一つになりましょう。」

万神は、ネオの強い意志と優しさに感嘆した。

すると、ネオの体を煙のようなものが巻き付き、煙の中から強烈な光が放たれると、ネオの体は光に溶けるように消えていった。

それは、ネオの命の輝きそのものであり、その光は遥か大地を駆け巡り、世界を包んだ。

その後、世界を混迷に導いた戦争が、権威者の突然死により収束し、世界は急速に平和をとりもどしていった。

ネオは、人々の幸せや希望が育つ姿が好きだった。

ネオは、人々の文明が発展していく姿が好きだった。

ネオは幸せだった。

ネオは人であり、神であり、世界そのものだった。

やがて時が経ち、世界に安寧がもたらされた後、人々の間では世界を覆ったあの大きな光は、万神の思召してであるという話が広まり、万神の社には、多くの参拝者が集まった。

社は荒廃していたが、新しい王が民に権威を示すために再建造された。

その新たな万神の社は、ネオヨロズの社と呼ばれ、人々の新世界の信仰となった。



以上が、AIと神話を執筆する方法になります◎

現状、もっともクオリティの高い物語を執筆する使い方としては、長い物語を制作する際、自然な長文で構成を作ってもらい、それを、人間が修正していくという、使い方になるかと思われます。

物語は長ければ、長い程、構成が難しいですから、話の構成が上手なAIに、得意分野を任せるイメージです。

前の記事に、長文の神話を投稿していて、そちらの神話の方がクオリティは出ていますので、そちらも合わせてご覧ください。

中々、面白い作業ですので、是非、様々な物語の執筆に役立ててみてくださいね。

著・金子 歩孔登×Bing AI


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