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『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。


谷川嘉浩 『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』 (筑摩書房 、2024)



こういう本の感想は、書きづらい。
考え方や、方法は提示されているのだけれど、断定された答えが明記されていないからだ。
しかし、そこに魅力があり、考える面白さがある。

まるで、ポケモンのゲームのような本。
ストーリークリアをしてからが、始まり!!的な。
本書を読んでから、始まり!!というわけです。

本書を片手に、自分で模索していく。
初めていく場所で地図が必要なように、こういう考え方は自分にないと思ったら、考える際に常に片手に所持したいもの。
谷川先生の本は、そういう印象だ。
「なぜ?」「どうして?」という時に、ガイドしてくれるような本だ。

本書内では複数の漫画や、ラノベが引用されている。
しかし、書いてあることは、やはり重厚なので消化に時間を要する。

興味深かった点

さて、本書の内容に触れていこうと思う。
興味深く、考えさせれれるところばかりの本なので、まとめることが難しい。
ちゃんと書こうと思ったら、レポートのようになる。

本書で、1つ恐怖を覚えたのは、177ページから始まるコラムの最後。
バーンアウト(燃え尽き)や抑うつ状態のことだ。
夢中になればなるほど、これは注意したいこと。

個人的に面白かったのは、202ページ最後から始まる「ライブで体験しなければ意味がないのか問題」。
面白いだけでなく、ライブ性(同時代性)は、私が日々考えていることでもある。

この箇所で引用されている、キルケゴール。
私は、本当はキルケゴールの研究をしたかった…というのは、今は昔。
(キルケゴールに同意する箇所の多いこと、多いこと)

「ライブで体験しなければ意味がないのか問題」。
これに関して、キルケゴールは「同時性」と表す。

居合わせることに本質的な意味があるのか。

谷川嘉浩『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』(筑摩書房 、2024)、204頁。

キルケゴールは、この問いについて、聖書の出来事から考える。
そこで示されていることは、デンマークのキルケゴール(聖書と異なる国に生きたこと)と、聖書の出来事(時代と国ーー時間と空間ーーが異なること)は、本質的な論点とは異なるということだ。

キルケゴールの同時性についての考察の後、物語からも考えられている。

どこかの誰かの物語ではなく、私に起きている出来事。
著者は、キルケゴールの「同時性」を換言して、「ジャックイン」という言葉も用いて説明している。
物語や出来事が、自分の時間と空間ではなく、我々の神経が「接続」される。

自分自身が、その時代に生きていない古典作品や、物語を読んでジャックインする。

他人事は、いつまでたっても他人事だ。
漫画や本を読んで、訴えかけられるような体験をしたら、それはとても特別なことなのだと思う。

「ライブで体験しなければ意味がないのか問題」の冒頭では、映画「THE FIRST SLAM DUNK」も引用されている。

私は、実際にアニメを見ていない(なぜか歌は記憶にある)
漫画は第二の学生生活で、娯楽を1つ!!と思って手元に置いた唯一の漫画。
けれども、映画館で年齢の違う友人たちと、同時性を感じ、ジャックインし、「物語的移入」している。
同世代特有の話を完全に出来なくても、素晴らしい体験だった。
(そもそも完全ってどんな条件だ)

まとめ

この本は、衝動について、複数の視点から説明されている。
今回、私が「衝動」を分かりやすいと思ったのは、自分自身の経験の中に思い当たる出来事があったからだ。

仕事辞めて、大学行くわ。

これを、本書で言うような「衝動」以外になんと説明出来るだろうか。
ただ、本書にある「それっぽい説明」回避のために、細部に注目し、
セルフインタビューを続けていこうと思う。

もう1つは、最近「一体なぜ?」と、思っている、知人の猪突猛進具合に似ていたからだ。
あの人は、こんな風に考えているのかな?
衝動によって、突き動かされているのかな?
などと、本を読みながら解体図を見ていくような印象を受けた。

◯◯さんは、それっぽいこと言ってるけど、本当だろうか?
猪突猛進しているけど、一体何が動かしているのだろう?
猪突猛進の方、バーンアウトしてない?

夢中になる誰かを、理解するのにも助けになる本です。

「あの、仕事辞めたいんですけど…」
「え!!何で?!」
「また大学に行って学ぼうと思っていまして。」
周りには理解され難い、自分でもどうしようもないエネルギーがある。
私は会社を辞めて、学びを終えて、現在は再び働いている。

事実は小説よりも奇なり。
時に人生は思いがけぬ方向にぶっ飛ぶ。
いや、「衝動」と、何かにぶっ飛ばされる。
しかし、それはなぜなのか。

私は、1つ目の大学を卒業する時、やりたいことなんてなかった。
転職も何度かしているけど、この人生は私が歩んできたものだ。


人生は、面白い方が良い!!!!
色んな方に、おすすめしたい本です。

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