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『三体』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。

劉慈欣著 『三体』 大森望/光吉さくら /ワン チャイ訳  立原透耶監修 (早川書房 、2024)


中国語のペーパーバックは、2008年に発売(私調べ)
日本語版は、2019年にハードカバーが発売された。
そして、個人的に超待望の文庫本は、2024年に発売!!

三体問題は、天体力学の分野。
宇宙という、とてつもなく壮大なスケール舞台での、「そんなバカな」と思うような話がある。
しかし同時に、まったくのファンタジーとは言い切れないような、程よい緊張感に溢れる。
中には、同意出来ずにモヤっとさせられるところもある。

長編大作なので、全部で3部構成となる物語の第1部を読んだところで、
この記事にまとめる。




あらすじ

タイトルについて触れておく。
天文力学には、三体問題が存在する。

質量が同じ、もしくはほぼ同程度の三つの物体が、たがいの引力を受けながらどのように運動するかという、古典物理学の代表的な問題。天体運動を研究する過程で自然とクローズアップされ、十六世紀以降、大勢の科学者たちがこの問題に注目してきた。オイラー、ラグランジュ、及びもっと近年の(コンピュータの助けを借りて研究してきた)科学者は、それぞれ、三体問題のある特定のケースについて、特殊解を見出してきた。後年、フィンランドのカール・F・スンドマンが、収束する無限級数のかたちで三体問題の一般解が存在することを証明したが、この無限級数は収束がきわめて遅いため、実用上は役に立たない。

劉慈欣著『三体』大森望/光吉さくら /ワン チャイ訳  立原透耶監修(早川書房 、2024)、288頁。

三体文明とは、太陽3つに囲まれた星の文明である。
恒紀と乱紀から成り立ち、度々文明は根っこから滅ぼされる。
恒紀は春のような気温と天候で成り立ち、生物が生きやすい。
しかし、乱紀では極寒か灼熱しかなく、生き物が存続することは不可能であり、たちまちすべてが滅ぼされる。
三体文明は、これ以上滅びることがないように宇宙へと発信する。

この物語は、1967年、中国の文化革命から始まる。
科学を、彼自身の信念を曲げなかった葉哲泰(イェ・ジョータイ/よう・てつたい)。
※中国史や中国について知らなくても、物語を読むことに支障はない(持論)

時は流れ、葉哲泰の娘である葉文潔(イェ・ウェンジェ/よう・ぶんけつ)の生きる時代の話に変わる。
彼女の時代に並行して、現代を生きるナノマテリアルの研究者、汪淼(ワン・ミャオ/おう・びょう)。

三体文明を疑似体験出来る選ばれた知識者たちは、Vスーツを着用し、
VRゲームをプレイし、文明が滅びないように導く者としてプレイする。

ステージが進むごとに明らかにされていく、三体文明。
頭脳戦と知能戦が、壮大なスケールと時間で描かれる。


感想

本書は、私の書店散歩経験で多分、初めての経験をした本。
本屋で見つけた瞬間、「これは絶対面白い」と、何も知らずに確信を持ったことだ。
直感は裏切らなかった。

全部で3部作だが、あまりにも壮大なスケールなので、第1部を読み終わったところで感想を書くことにした。

実に緻密に書かれている文章によって、ミステリ要素も多く含まれている。
突然生じる、不可解な出来事や事件の連続。
カウントダウン。
誰がどこまで知っていて、誰が裏切るのか。
どこまで、本当の話なのか。

個人的に痛烈な印象を受けたのは、三体文明が抱く科学者たちへの恐怖。
何かの研究を誰かが出来なくなっても、誰かがその意思を引き継ぐ可能性がある。
それならば、その思想ごとくじけば良いという発想。
学問は、難しいことほど根底を問い直される。
基礎論を研究するような科学者は、徹底してマークされる。

知人に数学基礎論の話を聞いた時に、ゾッとしたのを覚えている。
物事の根底を問うという姿勢であれば、哲学も入ると思うのだけれど(持論)

ネタバレしたくないので、フワフワした感想しか書いていないのですが、自分の覚え書きのための記事でもあるので。

マイク・エヴァンスの船の名前が<ジャッジメント・デイ>なのは、なんてこったい!!としか思えない。

第1部の最後では、智子(ソフォン)が登場し、地球人はもはや三体文明から隠れることが不可能となった。
人類の見聞きするあらゆる情報は、彼らのもとに届く。

約400年後に到着するかもしれない三体文明。地球人(人類)は、距離も時間もある、見えない敵(三体文明)とどのようにして戦うのだろうか。

Netflixで、シーズン1は鑑賞していたので、だいぶ小説へのハードルが下がった(映像化した監督も凄すぎる)
こんな物語を、あれだけの時間にテンポ良く収めてしまうなんて。

あまりにも壮大な物語で日常のことが、どうでも良くなってしまうことも、この物語の魅力の1つ。
面白過ぎるので、仕事に支障が出ないようにしないと。
重厚な物語ですが、SF好きはもちろんおすすめ。


とんでもなく面白い!!








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