見出し画像

3年間、採用を徹底的に見直して、ようやく会社が安定した話(前編)

本日、6期目に入った、わたしの会社に新卒の新入社員が2名、入社しました。

左から、わたし、新入社員2名、バックオフィススタッフ、取締役

小さな会社が新卒の社員を採用するなんて、あちこちで「そんな無謀な!」「うちでは新卒を採るのは無理」など聞いたので、何がそんなに?!とビクビクしていたのですが、よくよく聞くと、新卒は最初の数年間は生産性がないのと、研修をきっちりやって育てる必要があるから、その体力がない、とのことでした。(違ったら教えてください〜〜!)

その点で言うと、この子達は、音楽教室ミューレの2歳児クラスから所属している、筋金入りのミューレっ子で、いわば、人材育成に20年間かけた子たちなのです。

引き継ぎを考えてちゃくちゃくと準備してきた

周りの人にはいつも驚かれるのですが、わたしはいつも「辞める」ということを頭に入れて経営してきました。嫌でもなんでも、いずれ、必ず辞める日が来ます。歳を取るからです。歳を取ってクオリティが下がってくるならば、それはお客様のためにはなりません。(絶対に下がるだろうしね)

辞めることは決定しているので、「どう辞めるか」を考えておかないと、悲しい終わりになってしまうかもしれません。

これまで、自分の考えのみでやってきましたし、経験も実力も身につけての現在ですから、引き継ぎは容易ではないだろうと思いました。だから、長い時間、考え続け、模索し続けました。

そうして、以下の方法にすることにしました。

1.講師は増やさない
2.会社を引き継いでくれる経営者を探す
3.ストーリーを持った社員をスタッフにする

講師は増やさない

自分の教室がうまくいくと、多くの先生たちは「仲間の講師を増やす」という方向で動くことが多いです。

・・・わかります。

なぜなら「楽しそうだから」です。ならいごとの個人教室って、とても孤独です。仲間ができると楽しそう・・・。わたしもそう考えた時がありましたが、自分がポリシーを持っていればいるほど、これは難しいという結論に至りました。良い先生はポリシーを持っています。ひとつの教室にふたつのポリシーは要りません。

また、良い先生であればあるほど、「レッスン以外の仕事をさせる」のは非効率だし、もったいないし、そもそも、マーケティングや経理事務が苦手な人が多いのです(笑)。苦手なことをやってもらうより、得意なことを存分に活かしてもらう方がいいです。

そうなると、講師を雇うということは、必然的に「その他の仕事を自分がやる」ということになります。

自分の教室がなんとなくうまくいくと、「もう一人、講師を雇えば今までの2倍、募集ができ、教室が拡大する」と思ってしまいますが、それは違います。バックオフィス作業が増えるのと、「自分の教室」と「雇われ講師」では、覚悟や集客への意識が全然違うので、結局は自分の「レッスン以外の仕事」が大幅に増えます。

これはナシだな、と考えました。いい先生に来てもらうためには、バックオフィスを整えないと、ただただ、自分がレッスンに割く時間が減っていく一方です。

そこで、「ひとりでやる」形態で最大の利益を出すように整えていきました。たぶん、「これをひとりでやってた」と言うと、驚かれるほどの規模と売り上げまで引き上げました。

なぜそうしたかというと、ひとりでもアップアップの会社を「経営したい、面白そう」と思う人はいないだろうと思ったからです。なので、「ひとりで最大限まで伸ばしたけど、この先はあなたの力が必要で、手伝ってくれたらもっと伸びる可能性があります」という状態にしました。

コーチングで採用方針を決めた

講師を社員にして「仲間」として双頭になるのは諦め、経営者やバックオフィススタッフを探すことにしました。

なかなかうまくいかないので、関澤ゆりさんのコーチングを受けることにしました。

うまくいかないのは、自分のマインドのせいだろうと思ったからです。

すると、2回目のセッションで既に答えが導かれました。わたしのマインドブロックはこういうことでした。

求めている人材のレベルはものすごく高いのに、会社に対する自己評価が低いために、望みと採用基準が合っていなかった

これは、多くのならいごと講師が陥ることではないかと思います。つまり、提供しているレッスン内容や講師としてのレベルアップの努力は高いので、そこに合わせるならば、相当な自覚とスキルを持ったバックオフィススタッフが必要なのに、会社経営や事務を低く見積もってしまい、「うちなんかに来てくれる人はいない」と思い込んでしまっていたのです。わたしはそうではありませんでしたが、「自分は数字や事務が苦手」と思っている先生はとても多く、そのため、自分を基準に「たいしたことができなくてもいい」と思い込んでしまっているのではないかと思います。

それで、「本当はこういう人が欲しい」ということを、会社の規模を卑下せずに書き出してみました。それがこの記事です。

ゆりさんは、100社以上の企業の採用サポートを現職で10年間やってきた方だったので、コーチングのみならず、具体的な提案もたくさんいただきました。とりわけ、「インターンシップという形を取る」ということは、ゆりさんのアイデアで、わたしにとっても「バックオフィス社員募集」よりもしっくり来ました。

これは、ゆりさんの経歴ならではの強みで、コーチなら誰でもというわけにはいかないと思うので、ラッキーでした。

ゆりさんの助けを得ながら、この採用記事を書く中で、頭の中に常にひとりの女性が思い浮かんでいました。教室の保護者さんで、どんな人か、詳しくは分からないのに、なぜかずっと頭にありました。

そこで、最後のコーチングで「書きながらずっと一人の人が思い浮かんでいるが、一本釣りでも良いと思うか」と相談したところ、「いいと思います!」という即答をいただきました。コーチングのことはよく分からないけど、判断してくれたのではなく、もうわたしが本心では「あの人に」と決めているということが分かったのだと思います。

コーチングは、わたしの中の「わたしの本音」と対話するものだと思います。人間って、答えがないのではなく、答えはあるのに自分で勝手に作り上げたマインドブロックが邪魔をして、先に進めない、もしくは進むのを無意識に拒んでいることがあります。ブロックを上手に避けて、「あなたはこう思っていますよ」ということを、人(コーチ)の口から伝えてくれるので、第三者のように素直に聞けるのではないかと感じました。

もし、ここでコーチングを受けていなかったら、わたしはまだぐずぐずとひとりで教室を経営していただろうと思います。そのぐらい、マインドブロックは強烈です。ここでお金をかけてコーチングを受けて本当に良かったです。ゆりさんのページの感想、「コーチングはターボエンジン」というのはわたしの言葉なのですが、かけた金額があっという間にペイできたので、とても効率の良い投資になりました。

バックオフィススタッフが加わった

頭に浮かんだ女性に、公開前のページを見てもらうことにしました。すると、予想以上にとんとん拍子で話が進みました。

なぜ、この女性が頭に浮かんでいたかというと、教室のやり取りの中で「ものすごく仕事ができそう、そして仕事のやり方でわたしと気が合いそう」と思っていたからです。

ただ、唯一、専業主婦であることが引っかかっていました。いかにも仕事が好きそうなのに、何かあったのか、はたまた、「仕事が好きそう」というのはわたしの見立て違いなのか・・・。そこで、ぶっちゃけ聞いてみました。そうしたら、シンプルに「子育てが楽しくて」という返事でした。経歴などもまったく知らずに声をかけたのに、予想をはるかに超える経験の持ち主でした。わたしの会社には来るべくして来た人。

1年間、ふたりで試行錯誤して、事務の効率を上げていきました。「わたしがひとりでやるために構築した事務経理のやり方」を伝え、それをリモートでもできるように、うまくツールを使いました。

社内チャットツールとして最終的にTeamsを使うことに決定しました。経理はMFクラウドを使うことに決めました。この2点で、こんな小さな会社でも、どれほど効率が上がったか分かりません。

また、新入社員を迎え入れる前に、いろいろあって、顧問税理士さんも変更しました。

こうして、バックオフィススタッフの華子さんがチームに加わり、「人を迎え入れる準備」を一緒に整えていきました。

取締役が加わった

鈴木健太さんとの出会いと経過については、こちらにまとめてあります。

「いっしょに何かコラボしよう」と話し合いを重ねる中で、ずっと引っかかっていたことがあり、帰り支度をしている健太さんに直球で聞いてみました。

「健太さんは、本当のところ、何がやりたくて起業したの?」

そうしたら、即答で「僕は経営に興味があるんです。経営がやりたくて、そこから事業プランを考えた感じです」、これを聞いて、いろんなことが一気に腑に落ちました。

わたしにとって、経営は手段です。ものすごく面白くてやりがいのあることですが、「経営そのもの」をやりたいか、と言われると答えはNOです。体が5つくらいあったら、やりたいことのひとつですが、わたしにとっては「子どもの教育」が最大の目的で、そのためなら寝食を忘れて没頭できます。経営はそこまでではありません。

それで、何度かの話し合いを経て、「健太さんが株式会社生きる力に取締役として入社し、いずれ経営を任せる」ということに話がまとまりました。ここまでに1年間かけました。

2023年の4月に試用期間を始め、事業を手伝ってもらいながら、雇用について調べてもらいました。「自分(取締役)の雇用と社員を入れた場合、何が必要か」ということを同時進行で調べてもらったわけです。

「人を雇用してやっていけるのか(給料を払い続けることができるのか)」、とても不安でしたが、「いざというときには自分が無給になればいい」と覚悟を決めてから、少し気が楽になりました。何しろ、「一人で売り上げを最大化」してあるので、わたしひとりなら、何をやってもなんとかできるし、息子たちの学費支払いも終わるし、タイミング的にはちょうどよかったです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?