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データ社会実現の秘策、「情報銀行」「データ取引市場」って何?

これからの時代、経済や社会を発展させて人々の生活を豊かにしていくためには、何より「データの活用」が不可欠だと言われています。しかしその一方で、データの不適切な利用によって私たちのプライバシーが侵害されるリスクが指摘されているのも事実。そこで現在、制度整備が急ピッチで進められているのが、個人情報を含むデータを安全かつ円滑に流通・共有できるための仕組みです。具体的に「情報銀行」「データ取引市場」と呼ばれるものの実体を探ってみましょう。

「データ」が未来の社会像を形作っていく

 「データ活用」「データ経営」「データドリブン」といったキーワードは、ITの文脈だけでなく一般のビジネスシーンでも頻繁に耳にするようになりました。私たちネットアップは「データ」を扱うIT製品のメーカーとして知られていますが、最近ではIT業界のみならず、世間一般でもデータへの注目度が高まっているように感じます。

 現在日本政府が提唱している未来の社会像「Society 5.0」においても、「データ駆動型社会」なるキーワードでデータが持つ重要性を前面に打ち出しています。いわく、IoTなどを通じてリアル世界から収集した大量のビッグデータを、バーチャルの世界でAIを使って分析し、その成果を再びリアル世界にフィードバックすることで豊かな社会を実現していくと。

 データと言えば、これまで企業や公共機関はたくさんのデータを内部にため込んできました。これを広く流通させ、互いに組み合わせることで新たな商品・サービスを実現したり、社会課題の解決につなげたりすることができないか、こんなことが期待されています。例えば電子カルテ情報をはじめとする各種医療データを病院や地域の垣根を越えて広く共有できるようになれば、患者一人ひとりの過去の既往歴に基づいてより的確かつ効率的な医療サービスが可能になるでしょう。

 また企業にとっても、自社が保有する顧客情報や市場データだけでなく、他社が保有するデータを拝借して自社のデータと組み合わせることで、顧客により価値の高い商品やサービスを開発・提供できるようになるかもしれません。このように、データを社会全体でより広くオープンに流通・共有することで、個人と企業の双方が大きなメリットを得られるようになると言われています。



個人情報の安全な活用を促進する「情報銀行」

 ただし、データは決して野放図に流通させるわけにはいきません。企業や公共機関が保有するデータの中には、私たち個人のプライバシーに関わる個人情報が含まれることもあります。これらが無断で第三者の手に渡ると、重大な情報漏えい事故やプライバシー侵害につながる恐れがあります。

 そのためデータの流通や共有は積極的に促進しながらも、同時にデータ流通のルールを定め、それがきちんと守られていることを担保できる仕組みが不可欠です。こうした考えの下、現在世界各国でデータ流通の仕組みやルールの整備が進められています。その1つ、我が国独自の取り組みとして世界的に注目を集めているのが「情報銀行」と呼ばれる制度です。

 通常の銀行は個人から「お金」を預かり、これを運用しながら利息を支払いますが、情報銀行は個人からお金の代わりに「情報」を預かって運用し、そこで得た利益を情報提供の対価として個人にフィードバックします。

 もう少し具体的に、その仕組みをひも解いてみましょう。私たちがECサイトで買い物をしたり、企業が提供するスマホアプリを利用したりすると、「個人プロフィール」「購買履歴」「行動履歴」といった各種データがサービス提供元企業に蓄積されます。私たちは現状、自身のどんな情報がどの企業に渡り、そしてどんな使われ方をしているかを詳しく知ることがなかなかできません。

 そこでまずはこれらのデータを、情報銀行のデータベースに集約します。その上で、もし企業が個人情報を含むこれらのデータをビジネスに利用したいと考えた場合は、情報銀行を通じて本人に利用許諾を申請します。その際には、個人情報を利用する見返りに提供する報酬(クーポンや特典サービスなど)を提示します。

 ここで本人が許諾すれば、企業は個人情報を含むデータを堂々と商品・サービスの開発などに生かせるようになります。一方、情報銀行にデータを預ける個人も、自身の個人情報がどの企業でどのように利用されているか知ることができ、かつその利用を許諾することでさまざまな便益を受けられるようになります。

安全にデータを取引できる「データ取引市場」

 一方「データ取引市場」と呼ばれる制度。これも、データ流通を活性化させる仕組みとして大きな期待を集めています。こちらは「株式取引市場」や「先物取引市場」と比べてみると理解しやすいでしょう。株式取引市場が不特定多数の取引者の間で株式を安全に取引できる仕組みを提供するように、データ取引市場は企業間でデータを安全、かつ円滑に取引できる環境を用意します。

 企業間でデータを取引する場合、これまでは個別に契約を取り交わしたりルールを決めたりする必要がありました。これでは取引の数が増えるに従い手間も増えていくことになるので、どうしても取引の規模や幅に限界が出てきます。また中にはデータの持ち主や当局に内緒で、こっそり不適切な取引が行う企業も出てくるかもしれません。

 そこで、一定のルールに基づきオープンかつ安全にデータを取引できる市場を作ろうという動きが、現在世界各国で進んでいます。既に海外ではそうした動きが具体化しつつありますが、日本も遅ればせながら「データ取引市場」という形で制度の整備が現在進められています。

 なお、このデータ取引市場や情報銀行のような仕組みを実現するには、大量のデータを安全に管理する仕組みが欠かせません。また不特定多数の個人や企業、団体が参加するオープンな仕組みになるので、クラウド基盤の利用が前提となるでしょう。そのため、クラウド基盤上で従来のオンプレミス環境と同じぐらいセキュアで堅牢にデータを管理できる技術が必要になります。

 これを可能にする技術にはさまざまなものがありますが、私たちネットアップではこれまで長年オンプレミスのストレージ製品の開発を通じて培ってきた高度なデータ管理の仕組みを、そのままクラウド基盤上でも利用できる製品を数多く提供しています。来るべき「データ駆動型社会」においては、こうした技術や製品が私たちの生活を下支えしていくことになるでしょう。


ネットアップについて

ネットアップは1992年の設立以来、ユーザーのデータを保存・保護・管理するストレージシステムとソフトウェアを一貫して開発してきたデータ専業企業です。日本をはじめとするワールドワイドで製品及びサービスを提供。エンタープライズ規模のNAS市場では世界トップシェア、国内NAS市場でも売上高および出荷容量でトップシェアを誇っています。

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Cloud Insightsとは

オンプレミス環境およびクラウド環境からなるハイブリッドクラウド環境のITリソースを一元的に管理できるSaaSサービス。ネットアップ製品だけでなくサードパーティー製の機器をモニタリングできるほか、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)をまたいだマルチクラウド環境の一元管理が可能。

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ONTAPとは

ネットアップのすべてのストレージ製品・サービスを管理するOSです。豊富な機能を備え、オンプレミス型のストレージ製品のOSとしてだけでなく、クラウドストレージのOSとしても利用可能。また30種類を超えるセキュリティ機能を搭載し、ランサムウェアをはじめとする高度なサイバー攻撃から企業のデータ資産を効果的に保護します。

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Cloud Volumes Service / Azure ネットアップ Files / Amazon FSx for ネットアップ ONTAPとは

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Astraとは

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Keystoneとは

ネットアップ製のストレージ製品をサブスクリプション方式で利用できる「SaaS(Storage as a Service)」サービス。オンプレミス環境に導入するストレージ製品を一括購入する代わりに、事前に取り決めた利用容量とサービスレベルに応じた利用料金を、月次もしくは年次で支払いながら利用する。

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