Never let me go

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星の王子さま0「はじめに」

これから、「星の王子さま」の話をする。 サン・テグジュペリ著の本作は200以上の国と地域のことばに翻訳され、刊行されてから77年経った今でも世界的に親しまれており、言わずと知れた名作である。ただ、そういった数字などの話は、この作品にとっては重要ではないため、ここでは割愛する。 これは、本作を繰り返し読んできたなかで、どのように考え、感じたのか、「精読」をしている時の思考を言語化してみようという試みなので、1章読むごとにnoteを書いていきたい。 タイトルについては、以下

    • 星の王子さま4「天文学者(年をとったこども)」

      ここでは、人間が発見した星々について「僕」の考えが語られる。 天文学者が発見した星は‘番号’がつけられる。おとなの大好きな‘番号’である。そして、「王子さま」が住んでいた星、「小惑星B612」についても発見された当時の話がある。 「小惑星B612」は一度トルコの天文学者によって発見されたが、その時は天文学者の服装が原因で、誰もその発表を信じなかった。ヨレヨレの服を着た天文学者の挿絵がある。 その十数年後、もう一度発表する機会があり、洗練されたスーツで発表をしたら、おとな達

      • 星の王子さま3「王子さまの星(遠くに行けない場所)」

        3章から、男の子こと「彼」の呼び方が「王子さま」に変化する。「僕」は砂漠で出会った小さな男の子のことを少しずつ知り始めるからだ。 「王子さま」は「僕」に質問をたくさんするが、「僕」からの問いにはおかまいなしである。 そのため「僕」は「王子さま」の言葉から断片的ではあるが、「王子さま」について知ることになる。 「きみのくれた木箱だけど、あれは夜、ヒツジの小屋にできるからいいよね」 「そうさ。きみがいい子なら、昼間ヒツジをつないでおく綱もあげるよ。それから綱を結ぶ杭も」 (中略

        • 星の王子さま2「ヒツジ(想像力を働かせること)」

          1で言及したとおり、想像力を失ったおとなたちとの表面的なやり取りに、失望感を抱いていた「僕」は、砂漠で飛行機が不時着し、遭難してしまう。 孤独に包まれていた「僕」は不思議な雰囲気の男の子と出会う。「彼」の一声はこうだった。 「おねがい……ヒツジの絵を描いて!」 画家の夢を諦めた「僕」は戸惑いながら、「描けない」と告げる。それでも良いと食い下がる「彼」に、「僕」は‘ボア’の絵を描いてみせた。すると「彼」はその絵が‘ボア’であることを理解した。 つまり「彼」には‘想像力’が

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        星の王子さま0「はじめに」

          星の王子さま1「ボア(想像力の喪失)」

          著者が6歳だった頃、猛獣を飲み込む大蛇ボアの話を本で読み、そのイラストを描いた。というところから話は始める。ボアについての説明はこうだ。 〈ボアはえものをかまずに、まるごと飲みこみます。すると自分も、もう動けなくなり、六か月のあいだ眠って、えものを消化していきます〉 6歳であった「僕」は、ジャングルの冒険に思いを馳せ、自分で絵を描いた。それは自身の身体よりも大きな象を飲み込み、象の形に膨らんだボアである。 こどもの想像力は豊かで、おとなが思っているよりも、こどもの見てい

          星の王子さま1「ボア(想像力の喪失)」