ブルースミュージシャンの「これまで」と「これから」 vol.2
━じゃあ20代はずっとカバーしてて、30歳くらいになってからからオリジナル、みたいな流れですね。
うん。おれ、それすごいよかったなと思う。このときの流れはいまの自分のスタンスに繋がってると思う。
━どういう意味ですか?
早弾きとかで指も慣れて、あと耳コピもしてたから。黒人のブルースのカバーをしてた時に、リズムとかすごく大切だなーと思って。「これをマネよう」みたいな。そういうなのを考えてる時期が長かった。リズムが好きで、カバーをずっとやってた時期が長くてよかったと思う。やっぱりそういう勉強する時間は大事。
━確かに。自分の中にあるものでしか表現はできないわけですし。
あと、ブルースの「カタ」とか。すごく便利というか、身になってると感じる。最近けっこうギターで有名な人を見たんやけど、やっぱりそういう「カタ」を知ってる人の音楽はいいなと思った。そういう人が好き。
━基本がわかってるから、「はずし」ができる、みたいな感じですか?
そうそう。ルーツ系の音楽で最初から「はずす」と、根底がない感じになっちゃうから。土台がない状態でやってもなっていう。
━オリジナルをやり始めた30歳くらいの時と、今とは違いますか?
違うと思う。昔の音源が出てきて聞いたりもしたけど、全然違う。
━どう違いますか?
えっと、多分経験が大きいかな。アメリカ行った経験とか、旅をした経験とか。その辺が自信になって、音になってる気がする。昔の聞いてたら、すごく音軽くて。でもその当時は最高のことが僕の中ではできたと思ってて。いいライブやった!みたいな。でもいま聞くと全然ブレてるなーみたいな笑。厚みがない。
━歌詞についてはどうですか?
歌詞はちょっとおとなしくなってるかな。
━10年でも結構変わるんですね。
年は重なってるからね。
━自分が変わって行く中で特に大きかった経験は?
なんか、僕の音楽もそうなんじゃけど、僕の考え方で大きかったのは、沖縄に行ったこと。
地元で暮らしてると、「まともな」人が多かった。その時は社会に馴染めてなくて。バイトしてたんだけど。やり方がわかんなかった。僕けっこう、ちょっと変なヤツやから笑。そういう変な奴がハマるところがなかったんだろうなと、今は思う。
でも沖縄に行ったらいろんな人がおって。そういう人たちと会って、なんかしっくりきた。
地元では音楽の先輩や友達はおもしろい人たちがたくさんいたけど、生き方や仕事はマジメにしないといけないと思ってた。でも沖縄に来て、力抜いてもいいなあというのがわかって、そこから考え方がガラっと変わった。
━なるほど、沖縄まえ、沖縄あと、みたいな。
うん。旅に出ようと思ったのも沖縄に行ったからだし。いろんな生き方あるなあ、みたいな。自分の生き方で生きればええかな、みたいな。30歳くらいまでは、バイトだしどうしようかとか、どっか農業とかで就職しようかとか思って面接行ったりもしたけど、いま考えたら全然面白そうじゃなかった。自分を閉じ込めるような生き方しか見えてなかったかな。
━でも今は沖縄を離れて東京にいますね。ずっと沖縄にいようとは思わなかったんですか?
そうね、それは思わんかった。仕事がうまくいかなくて、生活できなくなってたから。それよりも旅に出て行きたいなと思った。
━じゃあ沖縄は自分の考え方とか生き方を変えてくれた場所、みたいな感じですか?
そうそう。沖縄離れて10年くらいになるけど、帰ったらいまだに相手してくれる人がたくさんいる。これからも縁のある場所だと思ってる。
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