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献血センターで軽食を

大学生の頃、帰り道に地下鉄を待っていると同じゼミの人と一緒になった。授業以外ではほとんど話したことはなかったもののとりあえず挨拶を交わし、電車に乗り込んだ後は隣に座って身の回りのことを話していた。

乗っていたのはせいぜい20分だが、直感で話が合いそうだと思った。相手も同じように「〇〇くんはそんなことを考えていたんだね」と言っていた。また話そうかと言って、駅で別れる。

後日、初めて二人で出かけた先は献血センターだった。どうやら相手は献血が好きらしい。「何がいいの?」と聞くと、「血を抜かれる感じとか、いろいろ」等と変なことを言っている。それで「いっしょに(献血)行く?」と誘われて行くことになった。

私にとっては初めての献血であったが、終わった後にお菓子食べまくれるとか、ジュース飲み放題とか聞いたことがあったのでそれに釣られたのもあるし、初めての体験だったので興味もあった。

駅で待ち合わせ献血センターに入っていくと、当たり前だが順番もバラバラ。各々の採血が終わって軽くお菓子やジュースを楽しんだが長居できる場所でもなく、「行こうか」と帰る。一体なんの時間だったのかと思いつつ、近くを歩いて洋食屋に入り帰った。

その後数カ月は一緒にいたが、ネトゲに夢中になってメールの返事を翌日、翌々日などにしていたら「意味ある?」と言われ関係は消滅した。

あれから十何年も経つが、献血の広告を見ると初めての献血センターで軽食を取った日のことを思い出す。


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