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1on1で話すべき3テーマと使い分けチャート

1on1で何をテーマに話していますか?

企業の役員・管理職をコーチする仕事を通して、みなさんの話を聞いているとこんな回答が多く聞かれます。

「日頃話せないキャリアの話をするようにしています」
「なんだかんだ、業務の話をして気が付いたら時間がたっています」
「リモートワークで相手の様子が分からないので、悩み事を聞くようにしています」
みなさんもあてはまるでしょうか。

みなさんもご存じの通り、1on1でどのテーマを扱うと正解というのはありません。ただ、「だから何でも話していい」と言われるとかえって何を話したらいいのか困ってしまう。というのが1on1のひとつの悩み事です。
(「何か食べたいものある?」と質問して「なんでもいい」と言われると困ってしまうのと似てますね 笑)

そこでこの記事では、1on1で主に話すべき3つのテーマを整理します。その上でどのテーマを扱うのが効果的なのか、その使い分けについて紹介していきます。


1on1で扱う3テーマ

1on1の3テーマ

1on1で扱うテーマは大きく分けると3つあります。(上図)



1、環境

業務そのものについてではなく、仕事を進める上で土台となる環境は具体的には次のようなテーマがあります。

・働き方・・・残業時間、育児や介護による就労時間の希望 等
・人間関係・・・チームメンバーとの衝突、人間関係のストレス 等
・プライベート・・・体調、ライフイベント 等

環境のテーマは、複数人の会議では話しにくい内容であることが多く、1on1でだからこそ話すべき内容です。
人間関係やプライベートの悩み事が大きい場合、仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすのは言うまでもありません。定期的な1on1で現状を共有し、組織としてサポートしていく機会としましょう。

注意すべきは、マネージャから「今日の1on1では何を話したい?」と聞いても環境のテーマが出てこない場合があることです。メンバーが切り出しにくいと感じている場合もあるため、マネージャから問いかける働きかけが必要です。

2、業務

なんだかんだ1on1では業務について話しているケースが一番多く、エクサウィザーズの調査でも1on1で一番扱われるテーマであるという結果が出ています。企業によっては「1on1では業務のことを扱わず能力開発について話す」という方針もあり、その場合は業務テーマは1on1では扱わないことになります。(とはいえ、メインテーマにしないだけで、ある程度は話されるのが実際でしょう)

業務テーマを具体化するとたとえば次のものです。

・日々の業務・・・進捗の共有、これからの行動計画、困りごと 等
・目標・・・目標設定、目標進捗、目標の見直し 等

よく扱われるテーマだからこそ、2つの注意点があります。

ひとつ目は「本当に1on1で実施する必要があるのか」ということです。
メンバー全員の業務を1対1のコミュニケーションで対応するとマネージャの時間が不足します。また、上下のコミュニケーションを頻繁にして強化するとチームの横連携が弱まるという研究結果もあります。
1on1でははく、チームでの定例にしてお互いの情報共有・サポートを促進した方が良いという場合があり、1on1でやる必要があるのか一度点検をしてみましょう。

ふたつ目は「なんとなく業務の話」になっていないかです。業務の話は一番身近であり話しやすいテーマが多く存在します。反対に環境成長の話は日常業務で扱うことが少なく、とっかかりにくいテーマです。重要性ではなくなんとなく話しやすいから業務の話に逃げているということはないでしょうか。この場合、1on1をしていたのに「いきなりメンバーが退職したいと言い出した」「心療内科の診断書をもってきた」というようなことにつながってしまいます。

3、成長

1on1を能力開発やキャリア開発というメンバーの成長のために実施しているという企業は多くあります。1on1の取り組みで有名はYahoo!も「社員の才能と情熱を解き放つ」というスローガンの元に取り組んでおり成長を目的にしていることがうかがえます。

成長に関するテーマは例えば次のものです。

・キャリア開発・・・数年後のキャリア計画 等
・能力開発・・・強みや伸ばしたい能力の明確化・向上、経験学習サイクルを促進する 等

成長は、これまでの環境、業務と比べると少し時間軸の長い目で考えるテーマとなります。
メンバーが、今の業務が何につながっていくのか物語をつくったり、成長を実感する機会になり、仕事のやりがいにもつながります。
マネージャからの関わりとしてはコーチングスタイルをとることが多くなります。日々の業務管理とは異なるやりとりが多く、コミュニケーションスキルを学ぶと役に立ちます。(こういったスキルは書き出すと長くなるので別の機会に)

では、環境・業務・成長の3テーマどうやって使い分けたらいいのでしょうか。

3テーマの使い分け

1on1の3要素_2

テーマの使い分けのひとつの重要な軸にメンバーのコンディションがあります。
コンティションが悪いとは、ストレス度合いが高い、非常に悩んでいる、モチベーションが低いという状態を指します。

当たり前ですが、コンディションが悪い状態で成長のためにストレッチした課題を伝えたり、未来のビジョンを質問されても、実のなる会話にはなりません。ただ「1on1でメンバーに成長してもらうぞ!」と意気込むあまり、相手のコンディションを考慮せず成長について扱ってしまうというアンチパターンがありますので要注意です。

1on1のはじめに相手のコンディションを確認して、「良くないな」と感じたら環境のテーマに話をふってみる必要があります。次に業務の課題についてヒアリングします。だいたいどちらかで課題があるので、その回の1on1はそのテーマで時間を全て使うことになるでしょう。

反対に相手のコンディションが「良いな」と思ったら、未来を描いたり、自分の強化ポイントを直視する土台があります。積極的に成長のテーマを扱い相手の能力をあげる機会にしましょう。

まとめると相手のコンディションと扱うテーマの割合は上の図のようになります。
マネージャとしては事前にどのテーマを扱うか案を持っておき、相手のコンディションにあわせてその場で調整するという進め方がよいでしょう。1on1では基本的にメンバーが望むテーマを扱いますが、メンバーが成長について話したいといってきてもコンディションが悪そうであれば環境について尋ねてみるというような柔軟性も必要です。

まとめ

この記事では1on1で話すテーマ3つ「環境・業務・成長」について整理しました。また、その3テーマは相手のコンディションに応じて使い分けることを紹介しました。
1on1において「なんとなく話をする」というのではなく、話すテーマを頭で整理しながら、よりメンバーのためになる時間をつくっていきましょう。

こちらの記事でも書いた「赤べこ」状態だと、主体的にテーマを選ばない「なんとなく話をする」状態になりそうです。

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<関連トピック(未執筆)>
・いいだしにくい環境テーマについて話すための関係づくり
・成長テーマを扱う1on1の進め方
・コンディションの見分け方
・実は環境、業務と成長のテーマはつながっている
・1on1のテーマをふたりで合意する。

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