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カバラ物語 第五章 ぼくの善と美 #5「真相究明のための追跡」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第五章

ぼくは毎月高額のお金を非営利団体に寄付している。そのお金で南の国には医療品や食料品が届けられていると聞いていた。ところが南の国で偶然見つけたオフィスに立ち寄ってみると、送られてきたはずの物資は影もかたちもない。

アルバイトで雇われている現地の娘はぼくに詰問されてオロオロする。すっかり頭にきたぼくは国際電話をかける。非営利団体の団長を呼び出して、現状を問いただす。団長は物資を送っていると言う。しかし実際に届いていないのだ。何がどうなっているのかさっぱりわからない。ぼくがあまりに怒っているので、買い物についてきたガールフレンドはすっかりしらけてホテルに帰っていく。

ぼくはアルバイトの娘と一緒に警察署に乗り込んだ。娘に通訳をさせて、ぼくの国から送った物資が届いていないことを訴えた。警察はのらりくらり、真剣に調べようとしない。ますます怒ったぼくは遊び仲間の官僚に国際電話をかける。官僚が警察出身者だったことから、ようやく現地の警察は重い腰を上げた。

プライベートビーチでぼくの帰りを待つ仲間たちを放っぽりだして、ぼくは原因究明にのめり込む。警察署を出たぼくはアルバイトの娘を連れて税関に乗り込んだ。ぼくの追求でボロを出した職員が物資を横取りしていたと白状する。ぼくは即座に返還を求めたが、物資はどこかへ流れてしまって行方はさっぱりわからないという。

ぼくはふたたび非営利団体の団長に国際電話をかける。

「国際弁護士に連絡して裁判を起こしてください。善意の奉仕活動がこのように踏みにじられたままではいけない」

ところが驚いたことに、団長はこのようなケースには慣れていると言った。

「それでも私たちが送った物資は誰かの役には立っているはずだから、それでいいじゃないですか」

ぼくは反発する。

「ぼくは貧しい子供たちに衣料品や食料を送るというから多額の寄付をしてきた。税関の職員が横領して贅沢をするためじゃない」

「でもそれがその国の常識なんだから、我々が怒ったってどうにもなりませんよ」

ぼくの怒りは沸点に達する。

「あなたのせいで人間不信になりそうだ」

ぼくは電話を叩き切った。


…#6へつづく。

◆現在公開中の連載はこちらからまとめてご覧いただけます。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。


◆連載小説「ユニバーサル・カバラの物語」が本になりました。

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モダンミステリースクール 形而上学BOOKシリーズ
「カバリスト ぼくの成功物語」〜永遠の生命の木の謎〜(上巻)
イプシスマス・中込英人 著 税込2,500円

物語の裏に秘められた神秘の教え「カバラ」の奥義を解き明かす解説つき。カバラを学ぶ人、そして真理を探求する人に必携の一冊です。

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制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。

中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』『カバリスト ぼくの成功物語』
谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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