雨宮_加藤00000000

シングルマザーのシェアハウス(NEWS23 17年7月11日 オンエア)

離婚などのため、女手一つで子育てをする女性が一つ屋根の下に集って暮らす家があります。母と子だけの生活から、入居者の間で徐々に育まれていく”絆”。全国初の試みを取材しました。

「初めまして!」

2歳の男の子と、シングルマザーの、A子さん、32才です。

2016年12月27日。

暮れも押し迫ったこの日、二人は、千葉県・流山市に引っ越してきました。

「Aさん:はい、どうぞ」
「息子:いやだ、いやだ!」

離婚をきっかけに、地元・東北を離れ、仕事も辞めざるを得なかったA子さん。見知らぬ土地で、女手一つ、息子を育てます。

新しい住まいに選んだのは、シングルマザーとその子供専用のシェアハウスです。

「周りに人がいるっていう安心感。一人になって悩まないから」

今年2月。

入居からひと月あまり。

「Aさん:きょうは何の日ですか?」
「息子:ちらし寿司…」

共有スペースで、夕飯の支度をする二人の姿が。

「おててぱっちん、いただきます。お誕生日おめでとう!」

この日は3歳の誕生日。食事中、誰かが帰ってきました。

「息子:アイス食べよう、一緒に!」

年明けに入居した、三十代のシングルマザーと息子が加わりました。

「ハッピバースデー…♪」

シングルマザー向けのシェアハウスは、2012年以降増え始め、現在、全国でおよそ20か所あります。

ここ「マムハウス」は、去年10月にオープンしました。家具・家電は備え付け、水回りも個室ごとにあって、家賃は、月4万9000円です。

「オーナー・加藤久明さん:ここに右側に5世帯と、左側に4世帯という形で、それぞれ部屋が分かれていて…」

シェアハウスのオーナー、加藤久明(かとう・ひさあき)さん(45)。駐車場だった土地に、シェアハウスを建てました。

「加藤さん:お布団・カーテンも全部備え付け、この状態で入居できる」

「雨宮キャスター:何も買わなくていいんだ」
「加藤さん:なので、今まで入居された方で、スーツケースひとつだけで入居された方もいます」

離婚後、シングルマザーが直面するのが、住む場所、さらに、子育てと仕事の両立という課題です。

これらをまとめて解決したいと、加藤さんは全国で初めての仕組みを作りました。建物の2階・3階は、住居スペース。1階に、市の認可保育園があり、さらに、誰でも利用できる病児保育室も完備。

最大の特徴は、「洗濯代行サービス」の店舗が入っていて、希望者は、働くことができる点です。

「雨宮キャスター:全ての不安要素がチェックされていて、いいですね」
「加藤さん:シングルマザーを支援する、自立を支援するために作っている」

シェアハウス入居者のA子さんは、1階の保育園に息子を入れ、同じ建物内の「洗濯代行サービス」の店で働くことに。

店長は、シェアハウスオーナーの加藤さんが兼ねています。


家庭で出る洗濯物をまるごと預かって洗い、綺麗に畳んで返すというサービスです。

「加藤さん:意外に難しいんですよ」
「Aさん:ですよね。ちょっとバランスが…悪い(笑)」


我が子のすぐそばで働けるのは、このシェアハウスならではの大きな安心材料です。

「かんぱーい!!」

1人っ子の子供たちも兄弟のように打ち解けています。

「Bさん:シングルマザーって、疎外感というか、孤立しがちだから、いいかなと思っていて」
「Cさん:私が心の余裕が生まれます。二人でもし暮らしたとしたら、狭い空間のなかで、イライラをぶつけちゃうこともないとは限らない」


ここにいられるのは、子どもが小学校を卒業するまで。それまでに、“自立”を目指します。

「雨宮キャスター:そのビジョンをゆっくり考える時間が、この環境のおかげで普通よりありそうですね」
「Aさん:ちゃんと自分の仕事も、子供のことも、しっかり組み立てていって、卒業できればなと思っています」

オーナーの加藤さんの思いは、最終的に、シングルマザーに自立してもらうこと。

家賃の4万9000円という設定については、民間がやっていることなのでビジネスとしても息が長くつづけられて、かつシングルマザーたちも払えるように練りに練った値段だといいます。

#tbs #ニュース #news23 #シングルマザー #シェアハウス