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親子3代でスカッグス追悼試合を観戦して感じたこと

大谷翔平とエンゼルスは、2019年7月12日を忘れられない一日にしてくれた。

チームの人気者タイラー・スカッグス投手が突然亡くなってから最初のホームゲーム。エンゼルスは選手全員が彼の名前が入った背番号45のユニフォームを着て、2投手の継投でノーヒットノーランを達成。シアトル・マリナーズを13-0で破った。

「素晴らしい瞬間だったなとは思いますし、ああいう試合を出来たことがまずよかったなと思います」と大谷は翌日の囲み取材で米記者団に話した。

私のようにチームの周りにいる人間にとっても、スカッグスの死は辛い出来事だった。

私はエンゼルスを7シーズン取材してきた。そのうちの6年間をエンゼルスで過ごしたスカッグスは、最も話していて楽しい選手の一人だった。彼はいつも礼儀正しく、快くインタビューに応じてくれ、面白く、正直で、そして洞察力があった。

彼が亡くなってからの最初の一週間の取材はとても難しかった。オールスター戦に行ってもスカッグスについての記事を書いた。

エンゼルスが本拠地に戻ってきた金曜は、スカッグスが亡くなる前から決めていたオフ日だが、年に2度ほど訪ねてくる父と、16歳の息子と一緒にファンとして球場で観戦した。スカッグスへの追悼をこの目で見ておきたかった。

その選択は正しかった。

私は約2500もの野球の試合を生で見てきたが、間違いなくその中で最も素晴らしい試合の一つだった。

エンゼルスは、初回に7得点をあげ、わずか一つの四球しか許さない準完全試合を達成。守備にミスはなく、ピッチングも見事だった。

テイラー・コールとフェリックス・ペーニャはトップレベルの投手ではないが、この日のピッチングは傑出していた。

最後のアウトをとった時、球場にいた全てのファンが興奮していた。私の息子も含めて。息子はそれまでノーヒッターを生で見たことはなかったが、今回の偉業がどれだけ特別かは分かっていた。

試合後、エンゼルスの選手たちが背番号45のユニフォームを脱ぎ、そっとマウンドに並べた。そこにいた誰もが今後忘れることがないであろう瞬間だった。


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