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子どもたちが結婚して学んだこと

夫の両親とは
うまくやっていけている方だと思う。


夫亡き後も行き来をし
これまで通りの関係性が続いている。


しかし、若い頃はやはり
経験したことのないつらい思いもしたことが数あった。


結婚が22才と若かったこともあり
大人になりきれていないし
初めてのことでたくさん悩むことも多かった。


子どもができて、年を取るににつれ
私も段々意見を言えるようになってきたし
右から左に聞き流すこともできるようになってきた。


だから、つかず離れずの関係性でこれまできている。


夫を介護したことで
最後は感謝しているとお礼を言われたし
こちらも色々お世話になったこと
感謝したことをお互い話せたりした。


2年半前にまず次男が結婚し
ついで長男が結婚した。


その経験が、随分と私を成長させてくれたと思う。


介護しながらの、一人で行う、両家の顔合わせや
結納、結婚式等、コロナの中、本当に大変だった。


けれど、目の前のことを一つ一つやっていたら
コロナがかなり収まった頃を見計らって
沖縄で家族婚を挙げることができた。


いろんな方のおかげで
全く動けない夫を連れてみんなで沖縄に行けた。


それが、本当に良かったと今でも思っている。


誰もが自由に動くことが
できなくなってしまった時に
見事にタイミングが合って
全員元気で結婚式を祝えたこと
もう奇跡としか思えなかった。

本当はごく少ない人数で行いたい
と、長男夫婦は考えていたらしいけれど
私はどうしても両方の祖父母も参加させて
みんなで祝ってあげたかったのだ。


直前に大変な大雨になり
道が寸断されてしまうハプニングもあり
当日、空港まで行けたことがすでに奇跡だった。


重度障害者と、高齢者を連れて、寸断された道を進む。
これほど、神経を使ったことはないと思う。


けれど、蓋を開けてみたら
全てがスムーズに運び、とても良い結婚式になった。


あの日のみんなの笑顔を私は一生忘れない。
泣いて喜んだ夫の姿が今でも目に浮かぶ。
みんなを連れていけてよかった。
大変だけれど、頑張ってよかった。

この式の後に、夫は疲労困憊したのか
やり切って生きがいを失ったのか
急に元気がなくなってしまった。


そして、肺炎を起こし
胃ろうの手術を受けることになる。


胃ろうには絶対したくない
肺炎で死んでもいいから、口から食べたい
そう言っていたのに
医師である息子に背中を押されて
結局胃ろうになってしまった。


本人の意思のままにしてあげたらよかったな。


医師としての息子の気持ちもわかるけれど
結局、命は本人だけのものだから。


けれど、食べさせる側の私としては
もう限界に来ていたのは間違いない。


動かない口を動かして食べさせるのはハードな仕事だった。
1日中食べさせているのではないかというくらい
ずっと夫と向き合って食べさせていた。


途中、誤嚥したら、吸引器で吸引をする。
喉に詰まらせて顔がどんどん紫色になっていくことを
何度も経験した。
それほど、夫も私も命懸けでご飯を食べることに真剣だった。


いつも気持ちは張り詰め
神経はとんがったままなので
本当につらかった。


胃ろうにすることを勧めた息子は
そんな姿を見ていたから、私が限界だと感じたようだ。
息子は正しい選択をしたのだ。

と、かなり話が逸れてしまったが
いろんな思いで子ども2人の結婚式をそれぞれ終えて
うちには新しい家族が増えた。


そして今、孫もできて、さらに家族が増えている。

自分が嫁の立場の時には感じていなかった
息子の母としてのいろんな思いが
ようやくわかるようになった。
そうか、義母はこんな風に感じていたのか
さみしかっただろうな、とか。


自分が同じ立場になって
わかることがたくさん出てきた。
そして、学ぶことがたくさんあった。


今も学んでいるところだが
お嫁さんたちのおかげで
少しは優しくなれたような気がする。


まだまだだけれども、家族が増えなければ
決してわかることはなかったかもしれない。


結婚してすぐのお嫁さんたちは
いきなり葬式等の別れを経験することになるのだけれど
それぞれ若いのにたくさん私を助けてくれた。


家族がいるって本当にありがたいと思う。
一人では決して乗り越えてはいけなかった。


お嫁さんから学んだことはたくさんあるけれど
一番すごいなと思ったことがある。


長男のお嫁さんが
「お母さん」と私のことを文字で表現するのだ。


普通は「お義母さん」だと思っていた私は
「お母さん」の文字が近く感じられてとてもうれしかった。


それをそのままお嫁さんに伝えたところ
素直に喜んでくれた。


そうかぁ
距離を感じさせないこの「お母さん」って
とてもうれしいんだなぁと、感じた。


それから、私も早速、夫の両親にも
「お父さん」「お母さん」
と読み書きするようにしている。


何も感じない人もいるのかもしれないけれど
私はこの方が好きだ。
家族である感じがするから。

今流行りの「義実家」という言葉がとても苦手だ。


多分こう言っているお嫁さんが実際
自分が姑の立場になった時
「義実家」と言われたらどんな気分がするだろう。


その時になってみて初めて気がつくかもしれないし
全くなんともないかもしれない。


が、私は、嫌だ。
自分が嫌だと感じることはしたくない。
そして、「お母さん」と呼んで
好かれる人でありたいなぁと思う。


どうせ家族をやっていくのなら
仲の良い方がいい。


大切な人を産んで育ててくれて
大変な子どもと一緒に暮らしてくれて
これから家族になる人だからこそ
どうせなら仲良くありたい。


こんな大切なことに気づかせてもらえて本当によかった。

人間関係はほんの些細なことで良くも悪くもなる
それに気づかせてくれたことに感謝している。


そもそも
大好きな子どもたちが選んだ大好きな伴侶が
私が嫌いなはずがない。


好きな人の好きな人はやっぱり好きな人
なのだから。
子どもを大切にするように
そのお嫁さんたちも大切にしていきたいと思う。


そんな今日は次男のお嫁さんの誕生日だ。
おめでとう!人生を楽しんでね!!!
いつもありがとう。
          (7ヶ月目)

振り返り
2人のお嫁さんは、バリキャリです。専門の仕事をし、第一線で働いています。若いのにすごいなぁと素直に思います。女性はいつの時代もすばらしいですね。

新堂きりこ

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