とんでもない天才小説家がnoteにいた 鈴木宗一郎さん

他人の文章を講評できるようなご身分でもないのですが。
何か良い小説はないかと、noteの小説をカチカチ漁っていたら。
とんでもない天才がいた。
普段は人の作品についてアレコレ書いたりしないのですが、もう、何か書かずにはいられない、この天才は絶対に大成すると思ったので、勝手に書かせてもらいます。

鈴木宗一郎さん。

めちゃくちゃ雑な感想ですが。星新一と内田百閒と阿部公房と井上ひさしをミキサーに入れてかき混ぜたような文章を書く。

話自体も面白いのですが。
文体がめちゃくちゃ洗練されている。
ちょっと見、ぐちゃぐちゃなのですが、何本か読むと完全に確信犯だということが分かる。

当人にコメントで聞いたところ、筒井康隆先生に影響されているとのことですが、筒井先生って、そんなに読んではいないけれど、昔読んだことあるはずだけど、えー、こんなに感動しなかったし、こんなすごいリズムで文書いてたっけ、え、筒井康隆、明日、ブックオフで買わなきゃ、と。

「漂流少女」は人物の名前がとにかく読めない漢字で作っているのですが、本当に絶妙です。
途中の擬音語なんかでも、会話文なんかでも。
普通なら漢字で書くところをひらがなで書いていたり、ひらがなのところを漢字で書いたりのセンスも秀逸。
これ、アマチュアが書けるレベルを完全に越えているぞ、これ、完全に天才だぞと驚き続ける。

文体の良し悪しなんて語れるほど、文が上手いわけでもないけれど。
一文の長さが長くても、綺麗にすっと頭に通るように入ってくる文っていうのは、すごい。
一般的にnoteの短編なんか書いている人って、とにかく改行が多い。
そりゃ、スマホ文化だし、短い文の方が読みやすいけれど。谷崎潤一郎じゃないけれど、文は長けりゃ長いほど良いって側面はあると思う。長い文はボロが出る。長い文でも綺麗に読める作家っていうのは、素晴らしい。

「衛星分離に成功」はこの短さでこれを表現できるのかと感動する。

すごいなと思うのが、これ、文章でしか出来ないことやってるな、ってこと。
多分、映画とかアニメにしても上手く行かない。
いや、それはそれで面白い気もしますが。
よくある普通の面白いショートショートって、話のオチが面白かったり、何というかストーリー自体が面白いってだけだったりするのですが。
この人の作品は、文章がまるごと面白い。
文体とストーリーと書く目的がシンクロしている。

またすごいのが、どの話もとんでもなく面白いのです。
普通、「あ、この人の文章面白いな」と思っても、アマチュアってムラがある。一定のレベル以上でどんな作品も書ければ、そりゃプロですから。でも、この人は、どの作品も面白い。やっぱり文体が良いんでしょうね。
そりゃ、当然ながら、たまにはあまり自分には響かないものもあるのですが。

そして、掲載のペースがものすごい。
分からない。この人プロなんでしょうか。ただ、ググってみたけれど、やはりアマチュアで、コツコツ作品を出しているだけのようなのです。
えー、うそー。
出版社、これを見付けられていないのか?
それとも、マニアック過ぎて、金にならないと踏んでいるのか。そうだとしたら、出版業界、馬鹿だろう。
はたまた、本人が、出版社からの声を蹴っているのか。
それとも、僕だけ度ハマりして、こんなに面白いと思うのか?

何にせよ、面白かった。
天才だった。
読み漁ってたら、すっかり深夜になってしまった。
「小説って、文章っておもしれーんだぞ。こんなこと出来るぞ」
って教えてもらったような気がします。
次の小説、何書こうかな、書くってしんどいなと思っていたのもあって、すごくパワーもらえました。

あとは個人的には長編に期待。
でも、ショートがフィールドなのかな。
いやはや、次の作品が楽しみですね。これはすごい小説家を発見してしまいました。嬉しいですね。

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