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 page7 endless wave

it's the story of Mr. 八木快

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   コウは蓮の事をずっと好きだった
           
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   高校時代いつも3人で居たから
 
言葉にしなくてもお互いの思いは手に取るように分かってしまっていた。

  クラスの中でも飛び抜けた人気の蓮が
  他校の1つ先輩の汐音さんと付き合う
  ようになってから
  
    コウは心から笑わなくなった

  いつも視線の端っこで蓮を見てた事
  3人のバランスを取る努力をしていた事
  コウにとって蓮が初恋の相手だった事

  俺はずっとコウの側でそれを見て来た。

   だからコウに想いを伝えるまで
   物凄く時間がかかってしまった。

  こうして2人で暮らすようになっても
蓮を見ているコウに手が届かないんじゃないか
      って感じてしまうのは
      あの頃のままで…


    汐音さんと蓮とコウの夏は
 繰り返す波の動きのようにずっと終わらない


        カタッ

   「今年は暑くなりそうだな」

      
     「コウ、その素麺、
    責任持って全部食べろよ!
 お前がいっぱい食べたいって言ったから
  そんなに大量に茹でたんだから」


        ボソッ
   「想像してたより水がぬるいし
      流れが遅い」

   「お前なぁ、
   だからそんな流し素麺マシーンなんか
   買うのやめようって言ったのに
   そんなの買う前に想像つくだろ」


    「みんなで集まった時
     盛り上がるしいいかなって」

  その‘みんな’の中には蓮も居るのか…

「冬はタコパー、夏は流し素麺で最高じゃん」

 「大人数でやるには一台じゃたりねぇよ」

   「各自持ちよりでいいじゃん」

     「素麺マシーンを?」

        「うん」

    「こんなの誰も持ってねぇよ」

         
          ・

      近すぎて遠すぎる距離
      こんな距離感だから
    プロポーズの返事も聞けずに居た。

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         〈7〉

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