見出し画像

人の恋バナを聞いて思い出した「突然反転する気持ち」

今回の話

その男性には婚約していた女性がいたそうだが、突然彼女のことを何もかも嫌になってしまい、LINEで一方的に「ごめんなさい」と告げてブロック。一切の連絡を絶ったそうだ。

…とだけ聞くとドン引きな話なのだが、よくよく詳細を聞いてみると「突然」嫌になってしまったわけではなく、少しずつたまっていた不満をギリギリまで我慢して、気持ちが切れてしまったということのようだ。

その別れ方だけを切り取ると、過去に自分がしでかしたことと重なるところがあり、少しだけその頃のことを思い出した。
というのが今回の話。

突然イヤになった

しかし、この男性とわたしのケースは経過がぜんぜん違う。
わたしの場合はどう考えても相手にいっさい落ち度がなく、何らかの不満が蓄積していたわけでもなく、突然に気持ちが変わってしまったのだ。

付き合いだしてしばらくした頃、相手はクルマを買った。
ある日の朝、そのクルマで迎えに来てくれたのを見た瞬間、
「あ、だめだ」
と突然何かが切り替わり、反転して逃走した。
その後は徹底的に避けまくり、最後は電話で「君じゃなければ」に対し「もう無理」と返した。これがわたしのケースだ。

この突然の変化は何というものなのか、何か定義する言葉があるとしたら何と言うのだろうか。相手から見たらいきなり別人に変化したようなものだ。理解不能だと思う。自分でも、わからない。

最初の、婚約者と連絡を断った男性は、自分から別れを告げたのにもかかわらずダメージを長期間引きずったとのこと。
対してわたしは、相手と離れられたことにホッとしただけ。

ひどいことをしたという自覚はあるけど、この件においては罪の意識とか、申し訳無さとか、そういう感情が一切わいてこなかった。
これが今でも一番恐ろしい。

それでも。

実のところ恋愛沙汰以外でもこういうところがあると自覚している。これはわたしの根っこの部分の欠陥なのだろうと思っている。

幾年か経ち、何人かの好きな人がいたこともあるが、なるべくそのような関係にはならないよう注意してきた(なるべく)。おかげで、同じことを繰り返さずに済んでいる。

と言いながらも、たまに何かを大切にするということをしてみたいとも思って、こんな言葉に胸を打たれたりもする。

これをはおった時にふと思ったの
誰かを愛したり誰かに愛されたり
何かを大事にしようと思うことを
あきらめたりしないでいようって
(池辺葵「繕い裁つ人」より)

いずれにしてもこの欠陥は、一生埋まることがないような気がしている。
けれどせめて、こんな自分にでも関わってくれた人たちにはきちんと向き合い、感謝して、とにかく様々なことを、もっと丁寧にやっていけたらと。

ある日の忘年会、この男性のお話を聞きながら、そう思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?