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#054 わたしの物語 理科「人のたんじょう」

 学級閉鎖になった。また、2年前のこの時期は私の家族のコロナ感染による自宅待機。ということで、この時期の5年生にオンラインで授業をするのは2度目である。対面で授業を行うことが一番良いが、オンラインでも意欲的に学習を行えるような理科「人のたんじょう」の実践を考えたので紹介する。

なぜ、理科「人のたんじょう」?

 5年生の理科を担当したことがある人なら分かると思うが、この単元は調べ学習がメインになる。調べ学習なら家庭でも調べることができるため家庭学習に適している。また、産まれた時の様子をお母さんに聞くことで自分事として考えるため、家族のコミュニケーションが増える学級閉鎖中に、単元を移動させた。

工夫① 導入「あなたの物語」の読み聞かせ

「『あなたの物語』水野敬也(作)鉄拳(画)」という本がある。お笑い芸人でもある鉄拳さんが描いた本だと聞き、発売当初に読んだ。人の命が誕生する前の受精の確率をイラストや言葉を用いて表現していて、命の希少さ(3億分の1の確率)や有り難さが子供でも分かるようになっている。
 道徳「生命の尊重」や保健「からだの発育・発達」の学習で紹介することが多いが、今回は理科「人のたんじょう」の導入時に読み聞かせをした。
 オンラインで新たな単元にい入る際には、導入がいつも以上に大切だ。だからこそ、『あなたの物語』の読み聞かせを行い、自分自身の生命誕生後(受精後)のことを調べるという課題『わたしの物語』を設定した。

工夫② NHKforschoolのプレイリスト活用

 NHKforschoolを使っている先生は多いと思う。私は、調べ学習の時は、プレイリストを活用することが多い。NHKforschoolは、理科や社会などの実験や観察・見学が行うことが難しい内容も映像と解説を使ってわかりやすく伝える最高の資料である。一方、情報が多いため教師が意図するもの以外にもアクセスできる。私が授業で子供たちへNHKforschoolの活用を促すときは、プレイリストにまとめ参考となる映像を送るようにしている。

工夫③ オクリンクで提出

 調べた成果物をオクリンクで提出するようにした。事前にカードを配付し、そのカードに調べた内容をまとめ送るようにした。今回は、カード①「羊水について」、カード②「母体と胎児の栄養のやりとり(たいばん、へそのお)」、カード③「お母さんに生まれた時の様子を聞く(→単元の学習内容とは関係ないが。自分の物語について聞く)」の3枚とした。
 カードの提出は、タブレット上で作成したデータでもノートに書いたもの撮影しても可とした。そして、オクリンクの提出ボックスを公開し友達がまとめたものを見ることができるようにした。 
 登校後、調べたものを基に交流し「わたしの物語」新聞を作らせて単元を終えるようにした。

工夫④ 教師の体験談

「人のたんじょう」において、子供達は経験しているものの記憶にない。一方、教師は父母であれば立場が違っても経験している。そこで、校内の職員による経験談を語ったり質問に答えたりする時間を取った。導入時に『わたしの物語』という話をしているため、子供達は自分事として聞いていた。単元終了後に取ったアンケートでは、この経験談によって、よりリアルに考えることができたと答える子もいた。
 また、生命の誕生は神秘的である一方、人の誕生となると性教育の観点も含まれ恥ずかしい感情を持つ子もいる。しかし、オンライン(タブレット)上で家庭で話を聞くとなると周りに冷やかすような友達がいないため学校より集中して聞いていたように感じる。さらに、教師の体験談を受け、保護者が我が子が生まれた時の様子を伝える時間が生まれたり学校での性教育の様子を知れたりするというような副次的な効果もあったように思う。

成果と課題

 今回行なった理科「人のたんじょう」は、オンラインに適していた。また、映像資料は家庭の方が落ち着いて見ることができるため、子供たちの興味に沿った学習となった。
 一方、オクリンクの課題提出には課題を感じた。調べた成果物として、課題に対する答えが2〜3文と内容が薄いものが多かった。実際には、映像を見たり資料を読んだりして理解が深まっていても、どの程度調べたかをオンラインでは確認できないと感じた。タブレットでまとめることに慣れていない子に対しては、ノートにまとめさせ成果物を写真で撮って提出を薦めれば良かった(伝えてはいたが、)。しかし、登校後書かせた新聞では図やイラストを用いてオリジナリティがあったため、理解は深まっていたように感じる。

まとめ

 今回は、学級閉鎖に伴うオンライン学習の取り組みをまとめた。タブレットを用いた授業ができるようになっても子供たちが登校し、対面で行う学習が一番良い。それを前提としつつも、オンラインで行わざる得ない状況において、今回の実践は良かったと思う。
 一番は、子供たちの学びを止めなくて済んだことだ。さらに、子供たちが自分の力で学習を進めることができた。課題設定こそ、こちらが行ったがあとは自らで学ぶことができた。これは、子供にとっても教師にとっても大きな自信となった。
 もう一点、感じたことがある。それは、日常的にタブレット用いた学習を行うこととの大切さだ。今回は、隣のクラスも同じ時期に学級閉鎖となったため、この理科の実践を合同で行なった。わたしの学級は、オンラインでも加速度的に学習が進んだ。一方、隣の学級はイマイチ進めることができなかった。当然のことであるが、普段から行い使えるようにしておくことの重要性を感じた。

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