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<本と映画の答え合わせ(第1~5回)>「ティファニーで朝食を」、「冷血」、「私を離さないで」、「白鯨」、「そして誰もいなくなった」


(第1回)ティファニーで朝食を

【本】
〇タイトル:ティファニーで朝食を
〇作者:トルーマン・カポーティ
〇感想:
 ・ホリー・ゴライトリーの自由奔放な生活、主人公の心情、それらをカポーティが滑るように美しい文章で表現しており、とても印象的
 ・当時のNYの社交界が目に浮かぶ
 ・物語の先が読めないので途中で飽きることがない、また、後味も悪くない
 ・何年か後にもう一度読みたい作品、そのとき自分がどのように感じるか楽しみ
〇評価:◎

【映画】
〇タイトル:ティファニーで朝食を(1961年)
〇監督、主演:オードリーヘップバーン
〇感想:
 ・ホリーをヘップバーンが演じるのはやはりイメージが少し違う
 ・内容、特にエンディングが本(原作)と異なり驚いた
 ・あらためて撮り直した場合、誰がホリーを演じるのか考えることが楽しい
〇評価:△

【総合】
〇感想:
 ・「ティファニーで朝食を」と言えばオードリーヘップバーンといった漠然としたありふれた印象しかなかったが、本を読んで認識が覆った。
 ・洗練された文章、先が読めないが流れるように進んでいく展開にカポーティの虜になった。
 ・本を読んで想像力を膨らませるのがおすすめ(映画はおまけ)
 ・映画でムーン・リバーをヘップバーンが歌うシーンは一見の価値あり

(第2回)冷血

【本】
〇タイトル:冷血
〇作者:トルーマン・カポーティ
〇感想:
 ・長文だか全く苦にならず読み進むことができる。カポーティの文章、構成がすばらしいからであろう
〇評価:◎

【映画】
〇タイトル:冷血(1967)
〇主演:ロバート・ブレイク、スコット・ウィルソン
〇感想:
 ・犯人の二人がイメージ通り、見事に演じている
 ・被害者の家族は両親が思っていたより年配でイメージと違った
 ・当時のカンザスの制度、慣習等映像化されている
 ・本(文章)と映画(映像)に最初から最後までギャップ無し
 ・白黒が残念、カラーで観たい
〇評価:◎

【総合】
〇感想:
 ・本を読んで映画を観ることで本作品に対する理解が一層深まる
 ・カポーティとペリーの関係など実話に基づく余談もあり作者の人間味を感じる
 ・トリックも巧妙な手口もない事件に関する作品であるがここまで夢中になって読み進めることができるのはその表現力、緻密な取材に裏打ちされたストーリー展開によるのであろう。
 ・カポーティの文体がとても綺麗で魅力的。全作品読破したが、おすすめは本作品と第1回で取り上げた「ティファニーで朝食を」

(第3回)私を離さないで

【本】
〇タイトル:私を離さないで
〇作者:カズオ イシグロ
〇感想:
 ・ネタ(話の内容)は読み進めるにつれて明らかになる。当初はこのようなSFとは思わず意外、衝撃的
 ・主人公と親友、恋人の関係(友情、愛情)が共感を呼ぶ
 ・取り扱うテーマについては今後の問題の1つでもあり、人道的な面も含めて読むべきと感じた
〇評価:◎

【映画】
〇タイトル:私を離さないで(2010)
〇主演:キャリー・マリガン、キーラー・ナイトレイ
〇感想:
 ・本の内容が深く、なじみのあることではないので、ほぼ全て盛り込んでいるが限られた時間で伝えるには無理がある、本を読んでいないと理解が不充分になるのではないか
 ・トミーが瘦せていてで本での印象と異なる
 ・本で想像が膨らみすぎてしまい、映像化されると足りない感じを抱くことが否めない
〇評価:〇

【総合】
〇感想:
 ・本を読んで想像力を膨らませるのがおすすめ(映画はおまけ)
 ・カズオ イシグロの作品はテーマが多岐に亘るが一貫して読みやすく頭にすんなり入ってくる。

(第4回)白鯨

【本】
〇タイトル:白鯨
〇作者:メルヴィル
〇感想:
 ・上下巻の大作、捕鯨業についてその仕組み、当時の風習、ナンタケット島、鯨油の価値等興味深く読むことができた。逆を言えば鯨、捕鯨業等に興味が湧かないと読み進めることが難しい
 ・想像外の結末、キリスト教、世界の宗教について関心が湧く、海外文学を読んでいくなかでそろそろ聖書も読んだほうが良いかと感じる
 ・クジラは哺乳類であることは知っていたが尾びれが水平であることを初めて知った。尾びれは垂直と水平どちらが泳ぎに適しているのだろう、水面に浮き上がるという点では水平の方が有利か
〇評価:◎

【映画】
〇タイトル:白鯨との闘い(2016年)
〇監督、主演:ロン・ハワード監督、クリス・ヘムズワース
〇感想:
 ・白鯨、捕鯨船等映像の迫力があり、一見の価値あり
 ・鯨の体内に人間が入るシーンではあらためて鯨の大きさを感じるとともに強烈な匂いが漂ってくる気分になる
 ・モビィ・ディックの白い大きな体と対照的な小さな瞳、この瞳の奥から発せられるメッセージをどのように受け止めるのかは視聴者次第であり、無限の可能性を秘めている
 ・語り手が当時のことを思い出して物語が進んでいくスタイル、当時と現時点で時間の切替がアクセントになるので冗長さを感じることはない
〇評価:◎

【総合】
〇感想:
 ・本が捕鯨業についてかなり専門的に述べている。鯨、捕鯨業等に関心がなければ内容はそれほど難しいものではないので映画を観るのみで十分。
 ・結末は想定外であったが、確かにメッセージを含んでおり納得

(第5回)そして誰もいなくなった

〇タイトル:そして誰もいなくなった
〇作者:アガサクリスティー
〇感想:
 ・何のため(For what?)という思いは最後まで消えなかったが、明らかにおかしいと感じる筋書き、展開はなく、ミステリーの傑作と納得
 ・登場人物が多いので名前と特徴がなかなか一致しない
〇評価:〇

【映画等】
〇そして誰もいなくなった(2015年)
〇イギリスのテレビドラマ
〇感想:
 ・本(原作)を忠実に再現
 ・既に本を読んでいるので犯人が分かる。推理小説は先に映画を観るほうが犯人が誰なのか、次は誰がいなくなるのか楽しめる

〇評価:〇

【総合】
〇感想:
 ・推理小説は映画→本の順に読むほうがよい。
 ・犯人の巧妙な手口は思いもつかず、その動機についても完全に納得はできないもののあり得る。1級の推理小説

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