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減塩の新常識!健康を守るための塩分摂取ガイド#食事編11

今回は健康に大きく関係する「塩」について書いてみようと思います。


減塩ていうけど、塩の何が問題なの?

健康な食生活を送るにあたって、気になる方も多いのが「塩」。
多くの機関で塩分の摂取はできるだけ控えるように言われていますし、これだけ世の中に減塩食品が多いことからも、皆さんの中にも気にされる方は多いのではないでしょうか。もちろん塩分は摂り過ぎはいけませんが、少な過ぎても健康上問題が生じてきます。そんな「塩」について私たちはどう付き合っていくのがよいのでしょうか。
そもそもよく「塩を減らせば減らすほど心血管のリスクは下がる」と言われますが、塩分を摂り過ぎると何が問題なのでしょうか。

塩分を取り過ぎるとどうなるのか?

塩分の過剰摂取による健康への悪影響は、血圧を上げる(高血圧)ことです。そこから血管内部が傷ついたり硬くなったりして、動脈硬化が起こり、脳卒中や心筋梗塞や腎臓病などのリスクが高くなるとされています。
2012年の日本の研究報告では、塩分の摂り過ぎは、日本人の死亡率を上げる要因として上位にあげられるほどです。やはりできるだけ塩分の過剰摂取は控えた方が間違いなさそうです。
ではどの程度の塩分量が望ましいのでしょうか?

日本人の平均塩分摂取量

2020年の調査では、日本人の食塩摂取量は男性11g程度、女性9g程度であり、以前に比べれば減少しています。しかし、世界的にみるとなお、高いレベルにあるようですね。

目標塩分摂取量の数値がそれぞれバラバラ

ではどの程度の塩分量が望ましいのでしょうか?
厚生労働省による塩分の目標量(食塩相当量として)は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満を推奨していますが、WHOではもっと厳しく、1日5g未満を推奨しています。

一方でハミルトン・ヘルス・サイエンスなどのチームが2021年に研究報告した「ナトリウムと健康」に関する過去のデータから、精度が高いものをベースに議論が展開されたものもあります。ここでは1日当たり3~5gの間のナトリウム摂取量が最も健康リスクが低くなり、さらには、より質が高い食事やカリウムを豊富に摂取している人ほど、高ナトリウムによる心血管の病気リスクが下がるようです。ナトリウムを食塩に換算する場合は以下の式で簡単に算出できます。

・ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)

つまり、1日3~5gのナトリウム量は食塩約7.5~12.5gの塩分摂取量が最適範囲と考えることができます。

近年のデータでは、ナトリウム摂取量を1日3g(食塩7.5g)以下に下げても、心臓や血管の病気リスクが下がる可能性は小さい、むしろ1日のナトリウムを3g未満にすると、逆に死亡リスクが上がってしまう可能性もあるとも言われています。

食塩7.5~12.5gだと、平均の日本人の塩分摂取量の範囲内に収まっていますね。(日本人の食塩摂取量は男性11g程度、女性9g程度なので)

*ナトリウムと食塩の関係
ナトリウムと食塩は同じではありません。
ナトリウムは、人が必要とするミネラルの一種で、食塩はナトリウムと塩素が結合した塩化ナトリウムのことです。

結局どの程度の塩をとるのがいいの?

では一体厚生労働省やWHOでは塩分は多くても7.5gや6.5g未満を推奨しているし、一方では最近の研究結果から7.5~12.5gが最適とも言っているし、どちらを信頼すべきなのでしょうか。

共通して言えることは、ナトリウムの摂取量が5g(塩分摂取量12.5g)以上は控えるべき。

そもそもWHOの推奨する5g未満に抑えている人たちは、世界の5~10%程度とされていますし、観察研究では平均寿命が最も長い国のいくつかは、平均ナトリウム摂取量も最も多い国であるとも報告されています。
少なくとも12.5gを超えると、心血管疾患のリスクや死亡率の上昇などの健康リスクが高まることは間違いなさそうです。

色々なデータを見ていくにあたり、思ったことは、減塩というと現代では絶対の正義ように扱われますが、意外とハッキリした結論は出ていないようです(とはいえ、減塩の意義が否定されたわけじゃないですが)

さて、現状の科学的なエビデンスなどを考えると、塩との付き合い方は下記のような扱いが妥当と考えられます。

  • 塩分を過剰に控えるよりも塩分のとりすぎに注意が必要(特に塩分12.5g以上)

  • ナトリウムとカリウムの摂取量は直接相関しているため(カリウムはナトリウムの排泄を促進する)、食事全体の質を高めて、野菜や果物などカリウムを多く含む食品を取り入れるほど塩の悪影響を防ぐことができます(腎臓病の方を除く)さらに言うと、減塩にこだわるよりも「定期的な運動」や「野菜や果物の増量」「加工食品の減量」にこだわったほうが、よほど健康への効果が大きいと考えられます。もちろんすでに心血管などの疾患を持っていたり、医師からの指導があれば、従った方がいいと思いますが、それ以外の健康への取り組みの方が大事だと思います。

  • 現段階だと、多くの人の塩分摂取量は適正範囲にいると考えられるため、健康な人である程度健康な食事をして活動的な生活を送っていれば、意識的に塩を減らしてもそれほど大きなメリットは得られない可能性がありますが、これを確認するには、今後のより信頼できるデータが必要です。

*ちょっとした豆知識

皆さんの食卓に置いてある「食卓塩」として販売されているものは、塩化ナトリウムが99%以上で、更に炭酸マグネシウムを加えて、サラサラと振りかけやすくしているものが大多数を占めています。また不純物を取り除いたりする製造過程で海水の中に本来含まれるミネラル分も失われてしまっています。
一方で自然海塩などは食卓塩などと比較して、塩化ナトリウムの含有量が少なく、代わりにマグネシウムやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。見分け方は「食塩相当量」が95%以下のものや、ミネラル分が豊富に記載されているものが該当します。種類によっては沖縄の自然海塩などのように70%強食塩相当量のような塩も存在します。
食卓塩と違い、旨味やコクもあり、とても美味しいので、普段の調味料を食卓塩から自然海塩に変えることも一つ、ナトリウムの過剰摂取対策に役立つと思います。



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