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狗張子(中国古典を戦国時代にリブートした怪談、諸々)

先日ご紹介した、菊池寛の「三浦右衛門の最期」の原典が狗張子という江戸時代の怪談集に記載されてるらしかったので、それらしいものを検討つけて購入。
結果、載っていませんでした。
よくタイトルを観たら「怪談集」で「狗張子」じゃないですね。狗張子で探せば良かったのか。しかも古書で、そうぞう以上にぼろぼろ、バラバラになりそう。数百円だったし…。
ただ、雨月物語の菊花の契りは観れて良かったです。文体も明治期を再現していて好み!発行は昭和なので中身はお見せできませんが…。

追記
原文ですが、ネットで紹介されてる方がいらっしゃいました!!!!!

↓上記のブログより引用させて頂きます。

(三浦右衛門の最期)

「たとひ耳鼻をそがれてなりとも、命をだに、たすけられなば、限りなき御恩なるべし。」
と、こたへたり。
是を聞ける人々、

「惡(あし)き奴(やつ)が心ばせかな。あのきたなき根性故《ゆゑ》にこそ、重恩の主(しゆ)をすてゝ、これまでは落ち來りけれ、とくとく、首をはねて、不忠不義の佞臣(ねいしん)の、こらしめにせよや。」

と、いへば、三浦右衞門、身をもみ、足ずりして、聲をばかりに啼きさけび、おきふし、嘆きけるを、最後は、

「只今ぞ。念佛、申せ。」

と、いへども、前後ふかくに取みだして、太刀のあて所もも定まらず、太刀取りも不敏(ふびん)ながら、うつぶきに踏み倒し、搔首(かきくび)にぞ、したりける。

 尸骸(しがい)を野べにすてたりければ、鳶・烏、あつまり、眼(まなこ)をつかみ、はらわたを啄《つい》ばみ、犬・狼、むらがりて、手足を引ちらし、臠(しゝむら)をあらそふ。

 往來(ゆきゝ)の人、是を見ては、哀(あはれ)とはいはずして、

「因果のむくいは、かくこそ、あらめ。」

と、彈指(つまはじき)して打通る。

 運に乘じて威をふるふ時は、大龍(《だい》りう)の雲にのぼり、猛虎の風に嘯(うそぶ)くがごとく成《なり》しも、一旦に、果報、盡きて、屍(かばね)を草むらにさらし、恥を殘すこそ、哀れなれ。"

戦国時代当時の生命と倫理観に関する凄惨さが伝わってきますね…。

近世物語文学  6

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