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言葉を自在に操り、世界観を構築する

子供の頃知らず知らずの内に影響を受けたアーティスト紹介三日目。

本日はもう何も説明の要ら居ない御大・井上陽水。

こちらも姉がデビュー作から5枚目までは既に持っており、知らず知らずの内に耳にしていました。

初めの印象は歌詞が良く分からないというイメージ。

純然たるフォークソングと言うか抒情的な良い歌詞(君は静かに音もたてずに大人になった 何て名文です)もあるんですが、陽水の持ち味は狂気。

(東へ西へ)では、床に倒れた老婆が笑う とか 君は嬉しさ余って気がふれる という、歌詞に入れる言葉でないワードを使う。

(ゼンマイじかけのカブトム虫)では、カブトムシこわれた一緒に楽しくあそんでいたのに 幸福に糸つけ ひきづりまわして壊れた みたいな比喩の仕方がエグイ。

その最高潮が100万枚売り上げた(氷の世界)の歌詞。

窓の外ではリンゴ売り 声をからしてリンゴ売り きっと誰かがふざけてリンゴ売りの真似をしてるだけなんだろ 僕のTVは寒さで画期的な色になりとても醜いあの娘を グッと魅力的な娘にして直ぐに消えた、もう意味など全然分からない(笑)

でもメロディーと一緒になると、意味の分からない言葉たちが物凄い勢いで感情を揺さぶるのは天才としか言えなかった。

そんな狂気に溢れた言葉たちを抑えて、私が一番凄いと思ったのは(たいくつ)という曲の歌詞。

つめがのびている 親指が特に
伸ばしたい気もする どこまでも長く

初めて聞いた時、何じゃこの歌詞!と驚いたんです。

というかこれは歌詞なのか?

と憤慨さえも覚えたんだけど、(たいくつ)という情景を描く上で、総ての無駄を取り除いた完璧な言葉ではないかと後々に気づきました。

テクニックとかじゃなくて、感覚。

絶対に真似できない言葉たちです。

その他にも沢山凄い言葉あるのですが、自分で歌詞を書く私は、当然知らず知らずの内に影響をかなり受けています。

もう神ですね。

私が歌詞集を買ったのは、陽水さんとトム・ウェイツだけです。

二人共言葉の魔術師ですね。

そんな天才・陽水氏が昔出演したドキュメンタリーで、敵わないと思う作詞家さんは?という質問に驚くべき名前をあげました。

その名は。。。。

森高千里でした。

一瞬唖然としましたが、彼女の全盛期の歌詞(ストレスやミーハーなど)は、確かに誰にも真似できない視点かもしれないと納得しました。

皆様には衝撃の問題作(たいくつ)。

スライやスティーヴィーワンダー並のアレンジの(氷の世界)も凄い。


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