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【ニコラスの休職最終回?】「休職」を選択したあの日の自分を褒めたい

2023年3月。1年間の休職が終わり、復職が現実味を増してきた。時に雑に書いた手帳の毎日日記も途切れることなく続き、見返すとその時のことが鮮明に思い出されるエピソードも多々ある。

休職してよかった

 今まで進学も就職も順調にきて、「働き続けること」が自分にとっての「あたりまえ」だった。今までは多少嫌なことがあっても、その状況を楽しめる余裕があったり、それ以上にやりたいことがあったりと我慢できていた。
 が、「嫌なこと」が勝った後の心の折れ方はあっけなかった。「辞めたい」「学校から距離を置きたい」と思うようになり、職員室の同僚の話し声が気になり始め、仕事終わりに車に乗った途端涙が流れることもあった。「職場から距離を置く=辞める」という選択肢しかないと思い、その決断をある先輩にしたところ「休職いけるんじゃない?」と一声。校長には辞める意思を伝え、退職願も手渡されていたが、こちらから休職を打診。医師の診断書があれば傷病手当もいただけるということで、「適応障害」という病名はついたものの安心して1年過ごせる環境を整えられた。「自分の仕事の穴埋めを誰かがしなくちゃいけないんだよな。」と申し訳なさはあったが、休職を提案してくれた先輩や休職手続きなどをしてくださった事務長は、「イチ社会人」の視点から「使える権利だから使ったほうがいい。一年休んで戻れそうなら戻ればいいし、ダメだったらやめればいい」とこの決断を肯定してくれた。

社会と切り離された感じがした休職初期

 2023年4月から休職期間がスタート。それまでの、どこかに属して時間やルールに縛られる生活とは正反対の生活に嬉しさと快適さを感じた。いつ起きても、いつ寝ても、何を食べても、着替えなくても・・・周りに困る人はいなかった。ただ、しばらくこの生活を続けていると、「あれ?これひょっとしたら自分から動かないと世の中と関われない?」と思い、
 ①20年来の高校の友人や、仕事でお世話になっている人に手紙で休職の報告🖌️
 ②サッカー観戦で利用したホテルの口コミを投稿🏨
 ③企業がやっている販促キャンペーンに応募🍴
 ④姪っ子の子守り👨‍👦
など、こまごましたことをやった。③はさまざまな食品会社が同時多発で行っていることが多かったので、インスタントラーメンや麻婆豆腐の素などはフードドライブに貢献できるほど家に溢れかえった。

「先生」という肩書きがなくても、「私は私」ということに気づけた

 振り返ると、休職して一番よかったと感じれられたことは「その時その時そのままの自分でよい」と思えるようになったこと、同時に自分をより好きになれたこと。それまでは学校にいるときはもちろん、仕事終わりや休日、買い物している時でも私のことを知っている人からは「(本来は名字だけど、ここでは)ニコラス先生」と呼ばれ、今もそう呼ばれている。
 ところが、休職中は、心療内科に行っても役所に行っても「先生」とは呼ばれず、ニコラス「さん」だった。呼ばれ方一つ違うだけだけど、「先生」じゃない自分も受け入れてもらえていることが嬉しかったし、安心した。休職して「先生」じゃなくなることに不安でいっぱいだったので、なおさら嬉しかった。

決断力が身につき、当たり前を疑うこと、目の前のできごとの背景を考えることを心がけるようになった

 先述の通り、これまでの人生を順調に送ってきた私にとって、「仕事をする」ことは「あたりまえ」のことで、「心療内科」や「休職」などとは無縁の人生だと思っていた。休職するにあたり、診断書が必要ということで初めて心療内科に行く時も「まさか自分がそういうところに行くなんて・・・」と抵抗感もあった。ところが、初診の際にドクターの一言「どうした?仕事イヤになっちゃった?」と軽い口調で一気に心が軽くなった。また、通院している方も多く、「学校」という閉鎖された空間では知り得ない社会の様子を垣間見ることができたのもよかった。

 休職期間を経て、自分が思っていた「あたりまえ」は「あたりまえ」ではなかったし、「○○でなければならない」という考え方も必ずしもそうではないことに気づけた。特に「学校の先生」は職業柄一般的に「真面目でなければならない」「生徒の前で弱音を吐いてはならない」イメージがあるが、休職中はことごとく逆の振る舞いをした。
 これまで未経験だった「弱い自分」「弱い立場」を体験できたことで、ものの考え方やとらえ方の新たな視点を手に入れられた。また、「休職」という重要な決断を自分でできたことで「決断力」がこれまで以上についた。
 これらの力は、復職した現在大いに役立っている。
具体的なことは今後【ニコラスの復職】編でお伝えします!

「自分の人生の代わりを送る人は他にいない」

現在、休学や休職中の方、休学や休職を考えている方、身近にそのようなことを考えている人がいる方などに、私の経験が少しでも参考になればと思い、投稿します。
休職する前はそのことを周りに知られたくないなと思っていましたが、今では胸を張って「休職してよかった!」と言えるし、「私はこういう理由で休職しました!」と自己開示もできます。

そう考えると、あの日休職を決断した、「あの日のニコラス」に感謝です。

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