なんで眠るの?(1)-記憶のこと-
─「結局、ぼくたちってなんで眠るの?」
─「それはまた 深遠な問いだね」
眠るのはなんのため?: 睡眠の役割
わたしたちが眠るのはなんでなんだろう。
答はね…「わからない」!
実はまだはっきりこれだ、と言える答にはたどり着いていないんだよ。
「寝なくちゃだめ」だし「眠ることは大事」だってことは分かっている。
少なくとも「眠ること」が果たしている「役割」があるんだ。
前に話したよね。
渡り鳥くんは飛びながら眠っているだとか、イルカくんは左右の脳をかわりばんこに眠らせて、泳ぎながら同時に眠っているだとか。泳いでいる間、細切れに数秒間ずつ眠って、一日の睡眠時間を確保するっていうイルカくんもいたよね。
ちょっと間違ったら、危ないことだと思わないかい?
渡り鳥くんは、飛んでいて何かにぶつかって落ちてしまうかもしれない。
イルカくんたちは泳いでいて溺れてしまうかもしれない。
危険があるかもしれないのに、それでも睡眠を取ろうとする仕組みがいきものには備わっているんだ。
何故眠るのか、はっきりした答はまだ出ていないけど、とにかく眠ることが大切だということだけは確かだ。
だったらまず、わかっていることから順にひも解いていこう。
「睡眠の役割」って何なのか、ひとつずつ話してみようか。
なんで眠るの?(1)-記憶のこと-
睡眠にはいくつか大事な役割がある。
まずひとつめだ。
-記憶の強化と定着-
例えば、お散歩に出掛けるとする。
道端に可愛いお花が咲いていたり、向こうの方で吠えている犬の声が聞こえたり。
どこかのおうちの前を通ったらおいしそうな匂いがただよって来て、お腹がすいたなーって思うこともあるかな。
そのおうちに可愛い子猫がいて、なでさせてもらったらふわっふわだった!とか。
可愛かったなー、うちにも猫がいるといいのになーと思ったり。
起きている間に起きることっていろいろあるよね。
これって皆ある種の「情報」なんだ。脳の中の、ある仕組みのおかげで、これが記憶となって残るわけだ。
でもわたしたちの脳が記憶できる情報量には限りがある。
だから眠っている間に、これは要るな、これは要らないな、と判断して整理するんだよ。
要らないものは捨てて、要るものを、ちゃんと脳に記憶として定着させるんだ。
この記憶の強化と定着が、ひとつめの睡眠の役割だ。
脳の中の記憶の仕組みについては、また別のときにくわしく話そうね。
「睡眠の役割」についても、まだ続きがあるぞ。