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読書が苦手な中学年におすすめの本

読書が苦手な子にとって、読書の時間って何となく居心地が悪いんじゃないかなぁと思います。中学年は、絵本から児童書への移行期。本に対する苦手意識も顕在化してくる時期です。そんな時期の子どもたちに、どう関わるかということはここ何年も考え続けてきました。今日は、現時点での自分の考えと、読書が苦手な中学年の子どもたちに勧めたい本を紹介します。

隙間時間に読書を

学校の授業で、「テストが早く終わった」とか「提出課題をもう仕上げた」という子には、読書をするよう促しています。低学年の場合は、できるだけ絵本や易しい読み物をたくさん用意しておき、取りに行ったり戻したりできるようにしますが、中学年以上には、隙間時間に読む本を1冊いつも机の中もしくは机の横の手提げに入れるように言っています。これは、読書習慣を身に付ける工夫です。

(我が家では、電車で出かけるとかレストランで待ち時間がありそう…などの場合は必ず本を1冊持たせます。それだけで移動時間や待ち時間は苦にならないし、静かに過ごせます。)

ちなみに、隙間時間は絶対に読書というきまりではありません。席で静かにできることをするという基本ルールです。でも、隙間時間用の1冊を入れておくという習慣があると、本に触れることが自然になっていき、ほとんどの子が読書をしている状況になります。(ちなみに、本を読まない子は絵を描いたり、席でできる係の仕事をしたりしています。それもいい時間の使い方ですよね。)

中学年の読書

中学年(3・4年生)の読書は、とても大事だと考えています。冒頭でも書いた通り、絵本から児童書に移行していく時期だからです。別に移行しなくても良いのですが、「高学年になっても絵本しか読めないのは恥ずかしい」という子どもたちなりの恥じらいが出てきます。でも、文章が多い本はどうしても読む気がしない。いろんな人に「読書は大事」「本を読みなさい」と言われることも多いので、読書への負担感が増えてくる時期です。

本が好きな子は、背伸びをしてすこし自分のレベルより難しい本を手に取るなどして自分自身で読書をレベルアップさせていくわけですが、本が苦手な子はマンガや、先日noteの記事で描いたような実用書、絵や写真のたくさん載っている本に手を伸ばしていきます。これはこれで、良いことです。図書室にあるマンガや本は、小学生に読むのに良いものが選ばれていますから。マンガを読むのに読解力も必要ですし、知識の修得も可能です。大人のビジネス書などにも「マンガでわかる~」などのものがたくさんありますよね。

でも、中学年以上ではマンガしか読みませんでした。では、ちょっともったいないような気がします。本によって世界が広がる。文章を理解する際に自分の頭の中で映像化したり、理屈を考えたりするということも大事なことです。本が苦手な子にも、手を出しやすい本を紹介してあげることによって、新たな学びの世界が開かれるのだとしたらそれはうれしいことですよね。

というわけで、本が苦手な中学年の子どもたちにおすすめの本を紹介していきたいと思います。もちろん、低学年や高学年に勧めてもらってもかまいません。そして、ここに出てくる本は、本が好きな子たちにも大人気の本でした。「本が好きな子も苦手な子も一緒に楽しめる本」という認識で見ていただくのもよいと思います。(中学年が開いていて、恥ずかしさを感じにくい絵本も含んでいます。)

《本が苦手な中学年におすすめの本》

ヨシタケシンスケさんの本

ヨシタケシンスケさんの本は、小さい子どもから大人まで、みんなに人気ですよね。絵本なんだけれど、日常をちょっと違う目線で捉えることができるような作り方で、何度も読みたくなります。ストーリーを追うだけではない面白さがあります。学級文庫に置いておくと、低学年でなくても何度も何度も手に取られます。絵本でも幼さはあまり感じないので、読書の苦手な子もすごく手に取りやすい。ご家庭で読む際には、感想を話し合うのも楽しいです。

なかがわちひろさんの本

かわいい絵とそのそばに添えられた言葉、ストーリーから伝わる遊び心や優しさ。なかがわちひろさんが絵と文を手掛ける本を知り、大ファンになりました。ネットで検索してみると、翻訳家として活躍されている方だと知り、自らの無知を恥じました。「おたすけこびとシリーズ」をはじめとした、これまで読んできた多くの本の翻訳者がこのなかがわさんだったのです。

理論社の「おはなしパレード」のシリーズでは、なかがわさんの本が他にもたくさんあります。もし1冊読んで気に入ったら、ぜひ他の本も読んでみてくださいね。なかがわちひろさんの本は、とても読みやすいのに、中学年くらいの子が気持ちをのせやすいようなちょっと複雑なテーマも含んでいるのです。なので、わたしは中学年の子どもたちに本の勧めるのにとてもいいと思っています。

にんきものシリーズ

森絵都さんも大好きな作家さんです。にんきものシリーズは、中学年にぴったりの読みやすいお話です。学校が舞台で、「人気者になりたい」とか「好きな子がいる」とかそういう中学年の子どもたちの関心事がテーマになっているので、読みたいと思う子がたくさんいるのも頷けます。絵が中心に構成されているのも手に取りやすい理由です。教室に置いておくと、いつも誰かが席に持って行って読んでいました。

チュウチュウ通りシリーズ

これは、ちょっと絵本っぽいので、中学年の子どもたちから大人気かと言えば、そうではないかもしれませんが、私はすごくおもしろかったのでここで紹介します。チュウチュウ通りシリーズは10冊あり、同じ通りに住む10匹の個性的なネズミがそれぞれ主人公になっています。作者はたくさんの児童書を手掛けてきたエミリーロッダさんです。
わたしが「これを中学年に」と思ったのは、ストーリーの意外性です。小さい子向けのお話って、平和的に解決するものが多いのですが、チュウチュウ通りシリーズのお話はひとひねりあって、ちょっと毒気があるんですよね。そこがたまらない。人生そんなにうまくいかないよね。でも知恵や工夫、ちょっとの勇気、仲間たちの理解などで楽しく生きていけるよねというメッセージには大人が読んでも励まされます。

ちなみに、もう一つ。本のサイズについてです。内容は絵本っぽくても、本のサイズが小さいと大人っぽく感じられるってあるみたいです。この本は絵本に比べるとかなりのミニサイズ。だから、この本も中学年向けのカテゴリーで紹介しました。

よい子への道

初任の時(今から15年以上前)から今に至るまで、毎年学級文庫で人気になる本です。私の方から勧めなくても、あるタイミングで誰かが「ちょっと、この本めっちゃおもしろいよ」と見つけてきます。そして、必ずと言っていいほどこの本がブームになり「次貸して!次貸して!」の大合唱に。自分が本棚にあるたくさんの本の中からこんなに面白い本を発見したんだという体験は、その後の読書体験にとても良い影響があるのではないかなと考えています。

ちなみに、中はほとんど絵やマンガです(笑)おかべりかさんのユーモアが堪能できる1冊。低学年向けには、「よい子れんしゅう帳」も出ていますのでこちらもどうぞ。(←息子も気に入って、大爆笑していました。)

グレッグのダメ日記

けっこうな分厚さがあるのに、読書嫌い男子が気に入って読んでいたのがこちらのグレックのダメ日記シリーズ。横書き、しかも罫線が入っていて、他の本とも少し異なる造りになっています。ほぼすべてのページに入っている挿絵は、モノトーンでらくがきのようです。グレックの語りの文体が理解しやすく、内容が無理なく頭に入ってくることも人気の理由かもしれません。グレックのだめさ加減に笑ったり、癒されたりするのでしょう。本を読んで思わず笑っちゃうような体験っていいですよね。

おわりに

今日は、本が苦手な中学年向けの本を6種類紹介しました。読みたいと思ったものがあったら、ぜひ手に取ってみてくださいね。多くの子どもたちが本を楽しんでくれたらうれしいです。






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