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定番と新規性の関係〜受賞する小説のつくり方(5)

崖っぷち作家のニジマルカです。

「受賞する小説のつくり方」5回目です。

4回目はこちら。↓


前回までのおさらい

大事なことなので何度でもおさらいしておきます。

受賞するには、出版社が欲しい作品を出せばいいです。

出版社が欲しいのは、以下の2つを満たした作品です。

1.これまでのヒット作と同じように売れ
2.かつ、今までなかった作品

これを言い換えるとこうなります。

1.定番を踏まえる
2.新規性を加える

前回までで1の「定番を踏まえる」の説明が終わりました。

どのようにして定番を押さえるか、だいたいわかったと思います。


これから2の「新規性を加える」に入るのですが、その前に「定番」と「新規性」の関係について見ておきましょう。


定番と新規性とは「古さ」と「新しさ」

定番というのは、表現を変えると「古さ」のことです。

定番は、「過去」に上手くいった作品の共通要素だからですね。


一方、新規性とは文字通り「新しさ」のことです。

今まで書いてきたように、出版社が欲しいのは、定番を踏まえ、かつ新規性のある作品です。

ですから、受賞する作品とは、「古さ」と「新しさ」を兼ね備えた作品ということがわかると思います。


古すぎても、新しすぎても上手くいかない

さて、ここで作品の「古さ」と「新しさ」が、売上にどう影響するかグラフで見ておきましょう。

こんな感じになります。↓

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横軸は古さから新しさ、縦軸は売上です。

売上は「受け入れられる度合い」と考えてもいいです。

図で見てわかるとおり、古すぎても、新しすぎても上手くいきません。

売上が最大になるのは、「古さと新しさの中間の作品」です。

もう少し詳しく説明しましょう。


新しすぎるものは売れない

「新しければ上手くいく」と思っている人がいるかもしれませんが、新しすぎるものは売れません。

なぜかというと、人は未知のものを嫌うからです。

未知のものを嫌うのは、手を出すと損するかもしれないからです。

たとえば、新製品のお菓子で「ほげほげチップス・むひょひょ味」というのが発売されたとします。

原材料を見ると「もげもげ」と書いてありました。

このお菓子を買うでしょうか?

ネタで買う人はいますが、ほとんどの人は買いません。

なぜなら未知すぎて(新しすぎて)損するかもしれないからです。

そういった未知のお菓子ではなく、多くの人は「ポテトチップス・ラー油味」といったお菓子を買うでしょう。

このようなお菓子はだいたい味を予想でき、失敗しなさそうだからです。

このように、市場では新しすぎるものは敬遠されます。

ですから、最終的には市場に出る受賞作も、新しすぎてはいけないのです。


古すぎるものも売れない

同様に、古すぎるものも売れません。

このグラフを人口分布だと捉えるとわかりやすいでしょう。↓

クラシック趣味の人は必ず存在しますが、その数は多くありません。

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両端の人は常に少なく、多いのは必ず「古すぎず、新しすぎないものが好きな中間的な人たち」です。

要するに「普通の人たち」ですね。

ですから、出版社が求める作品も「古さと新しさの中間的な作品」になるのは、当然のことなのです。


狙うのは「古さ」と「新しさ」がバランスした作品

以上のように、出版社が求めているのは「古さ」と「新しさ」がバランスしている作品です。

なぜかというと、そういった作品が売れるからでしたね。

そして、なぜ売れるかというと、「新しすぎず、古すぎない作品を求める普通の人」が多いからだとわかったと思います。


グラフでまとめるとわかりやすいでしょう。↓

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中央の点線から左は「過去」であり、そこに上手くいった「定番」があります。

「定番」は過去の作品を分析しないとわかりません。

一方、点線から右は「未来」であり、そこにちょうどいい「新規性」があります。

「新規性」とは、「今までなかった(存在しなかった)」という性質のことです。

この2つを併せ持つ領域が色の濃い領域であり、そこに入った作品が受賞する作品(売れる作品)です。

そして最も上手くいくのは、定番と新規性がぎりぎりでバランスした作品というわけです。

まずは、ざっくりとこの関係性を捉えておくといいでしょう。


今回のまとめ

受賞する小説のつくり方5回目「定番と新規性の関係」でした。

1.定番=古さ、新規性=新しさ
2.受賞するのは「古さ」と「新しさ」がバランスした作品
3.新しすぎるものは売れない=人は未知を嫌う
4.古すぎるものも売れない=極端な人は常に少ない
5.出版社が欲しい作品=売れる作品
6.売れるのは常に中間的な作品
7.定番と新規性のバランスがもっとも重要になる

次回は「新しさを出すには」です。↓

それではまたくまー。

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