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描写が苦手な人向けのコツ3つ

小説を書き始めたばかりの人の中には、描写が苦手な人も多いと思います。

「何を書けばいいの?」
「どういう順番で書けばいいかわからない」
「そもそも描写できない…」

そういう人向けに、知っておくといいポイントを3つほどご紹介します。


描写のコツ

以下くらいを知っておくと、描写するときの見通しが立つと思います。

  1. 見たままを書く

  2. メインの要素を書く

  3. カメラの動かし方を知っておく

それぞれ見ていきましょう。


1.見たままを書く

誰しも見たままは書けるものです。

描写が苦手な人でも、いま見えているものを書くのは簡単でしょう。

たとえば私の場合なら、こんな感じです。

目の前にモニタがあり、ノートパソコンに繋がっている。机にはノートが広げて置かれ、傍らにはペンがある。白いトレイにはスマホが置いてある。


このように、見たままを書くのは難しくありません。

小説になると描写できないのは、その場面のビジュアル(画像、映像)が頭に浮かんでいない(見えていない)からです。

当然ですが、見えていないものを書くのは難しいのです。


ぼんやりとしたものを書けば、ぼんやりとした描写になります。

ですから、場面をある程度しっかりと想像し、頭の中のビジュアルの解像度を上げておくことが重要です。

そのビジュアルを見たまま書くと考えれば、描写は簡単になります。


「でも場面なんて想像できない!」という声が聞こえてきそうですね。

困ったら、文明の利器を使いましょう。

たとえば「王宮でのディナーの場面を書きたい」と思ったら、

  • 「王宮 ディナー」で画像検索する

  • 画像生成AIに「王宮 ディナー」で画像を作らせる

などで、画像を入手すればいいです。

「王宮、ディナー、夕方」で画像生成


イメージが掴めれば、描写するのは難しくなくなります。

何度も同じことを言いますが、見たままを書けばいいからですね。


初心者のころは、積極的にこういった方法を使ってイメージを固めるのもいいと思います。

さまざまな場面のストックが頭に蓄積されてくると、徐々に何も見なくても書けるようになります。


2.メインの要素を書く

「場面は想像できても、結局、何を書けばいいかわからない」

こういう悩みを持っている人も多いと思います。

そういうときはこう考えるといいです。

  • 場面を成立させているメインの要素を書く


ある場面には、その場面の象徴となるようなメインの要素があるものです。

たとえば、先ほどの例にあった「王宮でのディナー」という場面だとしたら、メインとなる要素としては、

  • 豪華な料理

  • 王様や貴族といった貴人

  • 荘厳な室内の様子

などがあり得るでしょう。

その中で、「もっともその場面をその場面たらしめている」と判断した要素をしっかり書けばいいです。

それ以外はふわっと書いても問題ありません。


「でもメインの要素ってなに?」と疑問に思うかもしれませんね。

たとえば、あなたが友だちの部屋に遊びに行ったとき、「あ、この人らしいな」と思う室内の何かに気づくはずです。

それは壁を覆う本棚かもしれませんし、巨大なベッドかもしれませんし、長すぎるカーテンかもしれません。

それが、その部屋をその部屋たらしめているメインの要素です。

それを書きましょう。

思いきって言ってしまえば、それ以外の要素は書かなくてもいいくらいです。


いろんな要素を均等に書くのが「描写」ではありません。

適当に書くものときちんと書くものを分けて、場面を成立させるのが「描写」です。

ですから最初は「とにかくメインの要素だけ書く。それ以外はテキトーでいい」くらいに考えると楽になるでしょう。



3.カメラの動かし方を知っておく

「どういう順番で書けばいいの?」

これは初心者だけでなく、上級者になっても浮かぶ疑問だと思います。


描写は、場面内のどこかにあるカメラを基点にして描かれます。
(カメラは視点人物の目か、視点人物の背後にあるのが普通です)

ですから、カメラの操作を知っておくと、書きやすくなると思います。

このくらい知っておけばいいのではないでしょうか。

  1. 基本は「寄る」か「引く」

  2. 並列は「パン」する

  3. 間を飛ばさない

それぞれ簡単に見ていきましょう。


3−1.基本は「寄る」か「引く」

カメラ操作の基本は、寄るか、引くか、の2つです。

カメラは寄るか引く

図でわかるとおり、描写の順番はこうなります。

  • 寄っていく場合

    • 遠景(状況)→中景(場所)→近景(対象)

  • 引いていく場合

    • 近景(対象)→中景(場所)→遠景(状況)


それぞれのメリット、デメリットはこんな感じでしょう。

  • カメラが寄っていく
    オーソドックスな描写の順番

    • メリット :最後が対象の描写になるので、そこから対象の動作や発話に自然に繋げやすい

    • デメリット:やや退屈?

  • カメラが引いていく
    驚きのある描写の順番

    • メリット :最初に対象から描写するので(たとえば人物のセリフから始まるなど)驚きがある

    • デメリット:ややわかりにくい


どちらで書いてもいいですが、あまりどちらかに偏るのはよくないかもしれません。


3−2.並列は「パン」する

描写対象に重要度などの違いがなければ、カメラをパンする(左右に振る)動きで描写すればいいです。

たとえば、机の上にあるものを描写する場合、特に重要なものがないなら、並列に書けばいいということです。

カメラが引いたり、寄ったりすると、どうしても重要度に違いが出てきます。

パンするように描写すれば、並列になるので重要度の違いは感じられません。

その上で、何か重要なものがあれば、改めてカメラを対象に寄せ、詳しく書けばいいでしょう。


3−3.間を飛ばさない

間というのは、遠景←→中景←→近景、の間のことです。

遠くのことを描写(あるいは説明でもいい)したあとで、突然、目の前のことを描写されると、読者は困惑します。

驚かす演出ならそれでもいいですが、基本的には間を抜かさず、順番どおり遠景←→中景←→近景と書くことを心がけましょう。
(もちろん、遠景←→中景、近景←→中景、といった感じでもいいです。要はいきなり距離を飛ばさない方がいいということです)


映像だと、間を飛ばしても問題ないことが多いですが、小説は文字だけなので、丁寧に書かないと読者はすぐに混乱してしまいます。

奇をてらわず、順番を守り、読者に親切にすることを意識するといいですね。


今回のまとめ

「描写が苦手な人向けのコツ3つ」でした。

  1. 見たままを書く
    誰でも見たままは書ける
    イメージが湧かないなら、画像検索などを使ってもいい

  2. メインの要素を書く
    場面を成立させるメイン要素がある
    最初はメイン要素だけを書き、他はテキトーに書けばいい

  3. カメラの動かし方を知っておく
    基本は「寄る」「引く」
    並列は「パン」
    遠景、中景、近景の間を飛ばなさい

最初はこれくらい知っておけば、なんとかなると思います。

上手く書けるようになったら、いろいろ工夫してみるといいでしょう。

それではまたくまー。


(2023.3.27追記)
え! カメラで?

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