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〇〇さんに訊いてみた!♯03|スペシャリストへの道 ━ 劇場・ホールの監理心得━

八田 暢之、津村 勇次、原 和樹
日建設計 設計監理部門 監理グループ

日建設計の監理とは?現場づくりとは?120年以上にわたり脈々と受け継がれてきた心得からノウハウまで、若手監理者がベテラン監理者にインタビューという形で発信していきます。今回は、劇場・ホールのスペシャリストである小野さんに、設計兼務監理者ならではの視点でもお話を訊きました。

── どのような経緯で劇場・ホールのスペシャリストになったのですか?

入社5年目くらいに新神戸国際会館こくさいホールの設計を担当することになったのが始まりです。それまで舞台設備設計を担っていた大先輩が後継者を育てるという話が持ち上がり、これに手を挙げて担当したのがきっかけだったと記憶しています。それ以降、途切れることなく劇場・ホールの設計が現在まで続くという恵まれた縁のおかげで、自然と知見が身に付いたように思います。自然にとは言ったものの、実際には設計を通じて多くの専門家から指導・助言をいただいたり、多くの劇場を視察して知見を深めています。仕事の延長として、プライベートでも観劇する趣味もできました。

── 多くのホール経験から伝承(継承)すべきたくさんの技術があると思いますが、どのように伝承されていますか?

OJTで一緒に仕事をするのが理想的ですが、20年ほど前に上司から社内教材を作成するよう指示があり、社内向けの舞台設備設計マニュアルを作成して、社内ポータルにアップしました。一緒にホールの現場を担当する若手には紹介するようにしています。

── 日建設計の劇場スペシャリストとして、設計・監理業務以外で対外アピールのために実践していることはありますか?

多くのホール設計・監理を通じて、劇場運営や舞台制作などの専門家たちと、舞台づくりのためのヒアリングやディスカッションをする機会に恵まれました。そのような交流がきっかけで、劇場関連の研修・フォーラムなどで講師を頼まれたり、パネルディスカッションに参加して日建設計のホール実績をアピールしています。また、そのような機会を通じ、日建設計として舞台設備技術コンサル依頼を受けることもあります。

── 設計兼務監理者から見た「設計事務所の監理」とは?

設計図に描き込まれた設計者の意図や思想を理解して、その思いをかたちにすること、そして設計品質が満足できているか確認すること。これを心がけています。私自身は監理部に異動してからも長らく設計を兼務してきたので、設計者の立場・視点でも現場でコミュニケーションをとっていますが、監理者であっても同じような姿勢が大切ではないかと思います。

── 若手監理者が大切にすべき姿勢やスキルはありますか?

例えば、施工者との接し方については、(難しい施工検討をお願いすることもあるが)お互いの目的意識や思いが通じ合うよう、「納得感」を大事にしながら仕事を進めることだと思います。

── 日建設計の監理業務には、どのような特徴があると思いますか?

現場においては発注者と施工者の間に立って万事うまくいくように俯瞰できる指揮者のような広い視野と、この先に起こることを予知する船頭のような先見性が求められると思います。もちろん建築技術に関する知識も必要ですが、人望も兼ね備えた先輩たちをいっぱい見てきました。

── 私たち若手監理者は今後、スペシャリスト/ゼネラリストどちらに重きを置くべきでしょうか?

どちらと言うものではありませんが、若いうちは多くのことにチャレンジすればいいので、自然とゼネラリスト志向になるんでしょうね。一方でスペシャリストは意識して目指すものではなく、日々多くの業務をこなしていく中で、何かしらのご縁で得意分野が身についてくるのかもしれません。

── その他、若手監理者に対してアドバイスがあればお願いします!

現場においては、監理者の人格・振る舞いで現場の雰囲気も大きく変わってくると思います。一方で、監理者のジャッジや指示が疎かになるとうまく機能しません。失敗を恐れず、「俊敏さ」と「軽快さ」を大切にして欲しいですね。 
建築は、「失敗の可能性がないところに成功はなく、創作過程に抵抗がないところに芸術性もない」ものかもしれません。 

< インタビュアーコメント >

八田 暢之
スペシャリストを目指していた訳ではなく、いつの間にか自然にホールの仕事が自分に回ってくる。その裏には小野さんの日頃の仕事に対する向き合い方が影響していると感じました。ホールのスペシャリストである小野さんに様々な意見や思想を聞くことができたことは良い経験になりました。

津村 勇次
「専門技術の習得は日々の業務から」とのお話もあり、日々の業務に対する自身の意識も変わりました。またプライベートでもよく劇場に足を運ばれるとのことで、仕事の延長として趣味も楽しんでいるのがとても印象的でした。

原 和樹
日建設計の監理について改めて再確認する良い機会となりました。読者の皆さん、日建設計の監理について興味を持っていただけましたでしょうか。

【まとめ】
基本的なスキルは当然ですが、お互いの思いが通じる「納得感」を大事にし、失敗を恐れず俊敏さと軽快さを大切にした心のこもる監理業務をクライアントに提供したいと思いました。

小野 茂樹
日建設計 設計監理部門 監理グループ 
ダイレクター
1992年入社。専門は電気設備設計・監理。2002年まで設備設計に従事後、監理業務とホール・劇場建築における舞台特殊設備の計画・設計を兼務。フェスティバルホール、札幌文化芸術劇場hitaru、熊本城ホール、姫路市文化コンベンションセンターなど担当したホール建築多数。

八田 暢之
日建設計 設計監理部門 監理グループ
監理業務の基本スキル習得に奮闘中。
担当プロジェクトは京都市北庁舎、枚方市周辺開発。

津村 勇次
日建設計 設計監理部門 監理グループ
10年空調・衛生設備の設計に携わった後、2021年に監理部に転籍。
主な担当現場:テナントオフィスビル、大学、工場、研究施設等。

原 和樹
日建設計 設計監理部門 監理グループ
ユーモア、真面目さ、根性で日々の監理業務と向き合っている。
監理担当現場:データセンター、ホテル
彩都粟生北増築工事、関西新センターA棟建設工事、堂島2丁目計画等。

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