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【読んだ】ドリトル先生ガラパゴスを救う

おすすめ度 ★★★★★

面白いー!福岡伸一さんがドリトル先生を書くとこんなにも面白いのか。

原作ファンの人がどう思うのかわからないけど、福岡ファンとしては福岡節が全開で、ワクワクが詰まっていてとても良かった。

といっても私はドリトル先生の原作を読んだことがない。
ファンタジーとか冒険ものが子どもの頃からあまり好きじゃなかったし、虫や動物も苦手だった。同じ理由でファーブルとかシートンも読んだことがない。ページを捲ると急にリアルな挿絵があったりして無理だった。

だから元々苦手分野のはずなんだけど、福岡さんの緻密でこまごました写や、科学的視点、当時のイギリスの歴史など、私の好きな要素が満載であっという間に読んでしまった。
面白い話って一気に読んじゃうなぁ。

ドリトル先生と助手のスタビンズくん、そして賢くて可愛い動物たちの会話が面白い。巻き起こる事件もドキドキしながら読める。
冒険部分は少年の心で、科学の部分は大人の頭で読めるのでずっと面白い。

子どもにも読ませたいけど小学生にはちょっと難しいのかな。(それでも福岡さんの普段の本よりだいぶわかりやすい)
でも中学生には表紙やテーマがかわいすぎる気もする。冒険もの好きの小学校高学年向けかな。

先生はどんな人間に対しても、あらゆる生き物に対しても、偉そうにすることは絶対にありませんでした。
「人間は自分のことを特別な生き物だと思っているようだが、それはとんでもない思い違いだよ。他の生き物たちがいて、初めて人間が生きられるのだ。植物が多めに葉や実や果実を実らせてくれるから、昆虫や動物が生きられるのだし、その命の一部をいただいて、人間は生きている。(中略)
だからわたしたち人間は、他の生物たちに感謝することはあっても、それらを好き勝手に搾取したり利用したり権利があるなんて考えるのはとてもおこがましいことなんだよ

これが、原作のドリトル先生の考えなのか、福岡さん自身の考えなのかは知らない。福岡さんは少年時代ドリトル先生の大ファンだったというから、思想の礎になっているのだろう。

何れにせよ、小説の根底には、ドリトル先生と福岡さんの「生物への敬意」が常に流れているように感じる。

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