30を過ぎて、正装とまではいかないけど「割とちゃんとした小綺麗な服を着る場」がちょこちょこ出てきた。どんなシーンでも使える「黒の一張羅」がほしいなあと思っている。

これは私の体感だが、おしゃれな先輩方はだいたいみんな黒のサマになる服を一着はお持ちな気がする。前職のとき、年に一度の大イベントを毎年行なっていた。社員総出でイベント運営を行うのだけど、黒子なので運営スタッフはみんな地味な色の、それでいておしゃれで格式高い会場でも映える服を着ていた。

当時20代半ばで営業職だった私は毎回無難なスーツで参加していたけど、先輩たちは「自分に似合う黒の一着」で参加していた。

高身長で姉御肌のカッコイイ先輩は、黒のノースリーブとパンツのセットアップ。それにゴツいゴールドのバングルとミンクのファーにハイヒール。

身長150cmで小動物のような可愛さの先輩は、裾が上品に広がっている黒ワンピ、ふわふわの髪の毛はベロア生地でできたリボンで低めの位置でゆるく束ねていた。

運動が趣味でスタイル抜群の営業お姉さん二人組は、どちらも体のラインに沿った黒の膝丈ワンピースに黒タイツ。体のラインは割とがっつり出るけれど、生地が上質で厚めだから変なセクシーさは全くない。名刺入れと社用携帯を入れる用のチェーンバックもとても可愛かった。

ママさん営業の先輩はシンプルな黒のパンツスーツとカルティエのピアスと腕時計がすごく似合っていたし、ボーイッシュなショートヘアの先輩が繊細なレースの黒ワンピにバービーみたいなビビッドなピンクのリップをがっつり引いていたのも超おしゃれだった。

毎年、先輩方のコーディネートを見るのがイベントそのものよりも楽しみだったなあ。

黒に負けない年齢に差し掛かってきたとき、自分に似合う黒の一着を選び取れるひとはカッコいい。自分を分かっているからできることだと思う。

当時の先輩方に近づいた今の私は、いいカンジの黒の一張羅を選べるだろうか。