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体型と産業

 今日は1984年、37歳時の旧い日記です。

 7年前の30歳で、初めて米国に出張した時、米国人の太っている事が強烈な第一印象だった。自動車がバカでっかいのも当然だ。太っている理由の第一は勿論食生活、肉が主体で、味付けも脂っこい。出張の3日目には、脂っこさに辟易し、最初の一口に多大な努力を要した。第二は、細かいことを気にしないおおらかな性格である。相手が太っていても、性格や能力は別だ。米国人の平均は日本人の太った大男だ。

 彼らの太っているというのは、日本なら相撲取り程度だ。すべては標準の差であり、日本人が痩せすぎとも言える。尤も、日本も最近は太り過ぎに悩んでいる人が多い。将棋の大山名人は棋士の性格について、太目の棋士は受け将棋で、細めの棋士は攻め将棋だと言っている。知力の競争である将棋の棋風と体型との関係は興味深い。

 私が子供の頃、日本人は西欧人と較べて、体力が劣っていると言われ、栄養価、カロリーの高い食事を勧められてきた。食物を残すことは悪とされ残り物を全て食べ、腹を壊すこともあった。今日では全く逆であり、ダイエットを勧める本が良く売れている。

 話は一転するが、日本は今、中心国に追い上げられ、日本の得意分野であった重厚長大型産業は、韓国をはじめとするNICEと呼ばれる国々に、徐々に市場を奪われている。このまま油が安く、円の高い現状が続けば、日本は産業構造を変えて対応しなければならないだろう。せめて油が18ドル、円が180円になれば、一息つけるかもしれないが、あてにはならない。過去に日本は、オイルショックも円高も切り抜けてきたから、今度も何とかなるだろうと思うかもしれないが、今度ばかりは何ともならないかもしれない。

 特に我々の分野である鉄鋼、造船は、構造不況と言われ巨大な赤字である。鉄鋼会社に勤務している私も、少しでも赤字を減少させるために、努力しているつもりだが、1年先、2年先はどうなるか全くわからない。

 私は残念ながら韓国にも、台湾にも行ったことはないが、彼らの給与水準は低く、産業の競争力確保の上で、重要な要素となっている。おまけに日本は、彼らの工業近代化に積極的に協力している。ポスコは日本の応援により、超一流の製鉄所になった。彼らにとって、当面の目標は日本であり、円が急激に高くなり、日本が国際競争力を失った今は、絶好のチャンスであり、日本が10年前に、米国を目標にしていたころと全く同じ状況かもしれない。我々は、創意と工夫と、努力により、彼らの追上に対抗しなければならず、そうでなければ会社はすぐにでもつぶれてしまうかもしれない。

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