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【マイクロノベル】めぐる

 樹海に来て随分と時間がたった。今の私を見ても誰だかわかるまい。もはや人としての原型は留めておらず、醜く汚く朽ちた姿に慄くだろう。だがこれも命の繋がりの過程に過ぎない。私は獣や虫たちの餌となり、やがて分子になる。いつかここに小さな花が咲いた時、私は自分が無であることに気づくのだ。


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